カーボンバジェット(炭素予算)の話

雑感

日本の地球温暖化対策の最大の原因は、大企業の利益最優先という大原則にある。EUは、こういうことを乗り越えている。日本の政治が、大企業からの献金を受け取り、国家の官僚機構の中にかなりの「天上がり」を受け入れ、政策決定に企業の意向が深く反映するような仕組みを作り上げているので、石炭火力温存、原発温存という形が考えの枠組みとして居座っていて、再生可能エネルギーへの転換という方針が打ち出されないようになっている。

ここにメスが入らなければ、カーボンバジェット(炭素予算)を使い果たしてしまう。カーボンバジェットというのは、炭素排出量の予算という意味。産業革命以来の地球の平均気温の上昇を1.5度抑えるためには、あとどれだけ二酸化炭素を排出できるのかどうかという計算が、国際協調の中で行われている。二酸化炭素の排出が許容される量から産業革命以来の二酸化炭素の排出量差し引くと残余の数値が出てくる。
ぼくは計算の専門的な方法を理解していないが、全世界の排出可能量は4000億トン、日本の排出可能量は64億トン〜65億トンだと指摘されている。毎年の日本の二酸化炭素排出量は11億トン。今のまま排出を続けていけばあと6年でカーボンバジェットを使い果たしてしまう。猶予期間は6年しかない。言い方を変えればあと10年で64億トン〜65億トンの二酸化炭素排出を削減しないと1.5度C以上に気温を上昇させてしまう、ということだ。
石炭火力発電の年間の二酸化炭素排出量は2億5000万トン。日本は、今後9基も石炭火力発電を増やす計画なので毎年石炭火力だけで今後、3億トンも二酸化炭素を排出することになる。つまり、石炭火力による発電を続けていたら、これだけでカーボンバジェットの半分を10年間で使い果たしてしまうことになる。石炭火力をゼロにして再生可能エネルギーに切り替えなければ、日本の国際的な責任は果たせないというのが専門家の見方だ。

なぜ石炭火力にこれだけこだわるのかと言えば、年間の二酸化炭素の排出の39%を発電が占めているからだ。石炭火力をゼロにすれば、二酸化炭素の排出の25%強を削減できる。石炭火力発電から出る二酸化炭素がいかに多いかということだろう。
逆に言えば、石炭火力発電をゼロにしなければ、地球の平均気温を1.5度C以内に抑えるための責任を、日本は果たせないということになる。

「科学は仕事をした。今度は政治が仕事をする番だ」
IPCCの会議でこう言われたようだ。
しかし、日本の資源エネルギー庁の資料を見ると、言い訳に一生懸命だ。今国は、石炭火力にしがみつき、原発にしがみついているが、本当は、発電会社に働きかけて、産業の転換を行い、会社の利益と地球の存続とを両立させる道を真剣に探究しようと訴える必要がある。日本政府が、法律を作り、産業界に真剣に働きかけなければ、国民の命は守れない。
「我亡き後に洪水は来たれ」という資本の論理に対し、政府が国民主権に立ってメスを入れなければならないのだ。

もう遅い、いやまだ間に合う。

2030年まであと8年。非常事態だというところから、具体的に始めよう。
省エネと再生可能エネルギーによる日本社会の大改革。それは新しい雇用と地域中心のエネルギーシステムの構築につながる。
地域の再生と産業の発展による新しい未来。21世紀は地方が元気になる時代。
私たちは、危機とともに希望のある未来の扉の前に立っている。


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雑感

Posted by 東芝 弘明