『天気の子』
『天気の子』を観てきた。新海誠さんは、10代の子どもたちの話をずっと書いている。この監督の新しい世界を観てみたいという気持ちになった。雨をリアルに描くという点では、『言の葉の庭』で十分にできていたと思うので、もういいかなという感じだった。
背景は、今回もすごく綺麗だった。でも人物の動き(動画)がぎこちなかった。特に走っている姿が、真剣に走っているように見えない。スローモーションのように見えた。走り方を描かせたらジブリの方がはるかにうまい。ディズニーが人間の動きを映像に撮って、それを克明にアニメーションで再現したら、走っているように見えず、ふわふわ浮いているような感じになったという話を聞いたことがある。克明に人間の動きを再現しても体重のある人間に見えない。今回の『天気の子』の動きにも体重があまり感じられなかったし、走っている姿が途中で別人の走りのようにぎこちなく見えたりした。
アニメにはアニメの表現の仕方と工夫が必要らしい。走っている人間のように見せるためには、アニメによる表現の仕方が必要な感じがする。『魔女の宅急便』でキキがホウキにまたがって空を飛ぶシーンで風が起こって体が浮いてという描き方がすごいと思った。飛ぶという表現にリアリティが込められていた。
上映中の映画なので、内容に踏み込んで書いてしまったら、観ていない人に申し訳ない。そういいながら『風立ちぬ』や『ハウルの動く城』のときには、内容に踏み込んで書いたりした。今回はしかし、書かない。宮崎さんの作品は、内容に踏み込んで書いたとしても、観れば、観た人なりの豊かな感じ方がかなり残ると思ってきた。内容に触れて書いても作品は色あせないという思いがあった。
書いてしまえば、底が見えてしまう。天気の子だから空の上、雲の世界が見えてしまうような気がしている。