自転車のカギを交換した

出来事

娘が自転車のカギを、予備のカギも含めて両方ともどこかに落としてしまったので、笠田駅に自転車が10日以上放置されていた。YouTubeには、車輪をストッパーで止める馬蹄形のシリンダー式リング錠のカギの開け方を解説している。いとも簡単にカギを開けることができるという触れ込みの「カギの開け方」だ。この開け方に従って傘の中棒に仕込まれている「下はじき」と呼ばれるストッパーを取り出して駅に行ったのが数日前のことだった。駅前に行くと兄貴の同級生のS君が時間待ちをしていた。青い目の覚めるようなダウンジャケットを着ていた。手先の器用なS君に手伝ってもらって、カギを開けてみた。
「こんなところ見られたら自転車ドロボーみたいに思われるよね」
「『先生』やから大丈夫やろ」
「いや、余計に怪しいで」
そう言いながら「下はじき」の部品を鍵穴に差し込んでガチャガチャ、カギの解除を試みた。
「単純な構造やろけどなあ」
S君はそう言いながら挑戦してくれる。
「やっぱり怪しいで」
「あれ、折れたわ」
「下はじき」の部品が折れてしまった。YouTubeでは、細い部品では折れてしまうので太いものを使うようにという注意がなされていたが、太い部品はそもそも娘の自転車の鍵穴に入らない。
「あかんわ」
しかし、S君のアドバイスが返ってきた。
「マイナスドライバーで(カギの上蓋を)こじ開けたら簡単に開くと思うで」
「前は金切鋸でストッパーを切り落としたんやけど、そっちの方が簡単やね」
ここで作業は時間切れとなった。

「お父さん、今日やったら家にいてるで」
娘が朝、そう言ったので昼食後笠田駅に行くことにした。ラジオペンチ、マイナスドライバーとミニドライバーセット、交換用のシリンダー式リング錠を用意して車に積み込んだ。
「『僕たちは自転車ドロボーではありません』って背中に紙を貼って作業しようか」
やっぱり白昼堂々、2人で自転車のカギを壊すのには、誤解が生まれるのと「後ろめたさ」みたいなものを感じる。
「大丈夫やで。登録ナンバー調べてもらったら私って分かるし。免許証と学生証あるし」
娘は平気みたいだ。
マイナスドライバーを隙間に差し込んでカギのホルダー部分をこじ開け始めると、この部分が塗装された金属だということが分かった。
「樹脂じゃないんや」
そう思ってペンチで上に引き上げているとミニパトカーが近寄ってきた。
おお、そう思っているとパトカーが自転車の前に止まって、窓が開いた。
「何されているんですか」
「この自転車は、自分たちのものです。番号を調べてもらったら分かります。娘が自転車のカギをなくしたので、カギを壊しています」
ぼくはそう言った。
「カギ、新しくしたらきちんとして下さいね」
警官はそう言ってパトカーを動かした。
堂々としていたので疑われることはなかったようだ。

「堂々としていたらいいんやね」
「泥棒が堂々とできるか?」
そう言って蓋をこじ開けると中のカギのシリンダーが飛び出して地面に落ちた。
「こんなに簡単なんや」
娘がそう言った。
めくれ上がった蓋を少し戻すとシリンダーが元に戻って車輪のロックが解除された。

「やった」
後は家に戻って新しいカギを付け替えることにした。
シリンダー式リング錠を交換して作業は終了した。


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出来事

Posted by 東芝 弘明