2011年をふり返って

雑感

2011年は、3月11日の東日本大震災によって、多くの人々の生き方を変えた1年になったように感じています。とくに文章を書くことを仕事にしている人や、歌や演劇やさまざまな表現活動を行っている人々は、3.11の震災に対して真剣に向きあい、自分に問いかけ、生き方を問いなおす契機になったと語る人がたくさんいました。

ぼくたちのように政治に関わった人々はどうだったでしょうか。あの大震災は、まさに日本の政治のあり方を根本から問いなおすものになりました。そして、実際に自分たちの政治活動を問いなおした方々も多かったと思います。
しかし、その一方で、この大震災を通じても、根本的には変化しなかった政治の現実も数多く存在しました。
ぼくも遅ればせながら11月に大船渡にボランティアに行き、わずか数日間でしたが被災地に立ち、被災した方々を訪問して大震災の現実に触れさせていただきました。日本共産党は、現地にボランティアの受け入れセンターを確立して、救援活動を行っていましたが、日本共産党以外の政党は、ほとんど組織的な活動をしていませんでした。現地に行き、「政党で来てくれるのは日本共産党だけだ」という話を聞かせていただきながら、日本の政治の現実について、考えさせられました。
国民に寄り添わない政治とは一体何だろうという怒りがあります。政党の中では、日本共産党だけが草の根のボランティア活動を行っている政治の現実は、あまりにも悲しいのではないでしょうか。
東北から帰ってきて、テレビをつけると事業仕分けのニュースが流れていました。外郭団体や予算について勇ましい切り込みが行われていましたが、被災地に目を向けない政党が、こういう切り込み方を行っている姿が、白々しく映りました。国民の苦しみに向きあわないで、どうして生きた政治ができるのか──こういうことを感じざるを得ませんでした。

日本の政治は、大企業中心主義とアメリカ一辺倒の政治の中で、展望が見えなくなっています。国政は、復興財源を含む財源問題で大きく揺れています。民主党が打ち出しつつある政策は、大企業に対するさらなる減税を進めながら、庶民に対する増税を実行に移そうとするものです。消費税増税がその戦略の中心に位置づけられています。普天間基地の問題では、辺野古への移設を強行する方向で事態を動かそうとしています。TPPへの参加という問題でも、国会論戦を避けながら参加をアメリカに約束するという異常な事態になっています。
巨大な企業とアメリカの要求に忠実になればなるほど、自民党と民主党の政策には違いがなくなりました。政策の幅がなくなり選択肢がなくなりつつあります。
国政は、推進しようとしている中心命題で行き詰まりに直面しています。大企業とアメリカの利益に忠実になる=国民に犠牲を押し付ける政治にならざるをえないというところに矛盾の深さがあります。この矛盾は、大企業中心主義とアメリカ追随の政治は、国民犠牲なしには前に進めないことを物語っています。
この行き詰まりを打開する道は、国民の暮らしを守る方向に政治のかじを切ることです。国民の所得を向上させ内需の拡大を図る、大企業に税の負担を増やすという、一時的には大企業の儲けを目減りさせる方向にこそ、危機を打開する力があります。この方向への転換は、国民の団結した闘いなしには実現できません。この闘いが勝利できなかったら、日本の政治と経済はより一層深刻な矛盾に直面せざるをえないと思います。

こういう行き詰まりの政治の中で、大阪の橋下徹さんへの強い支持が生まれています。この方が掲げている道州制に至る地域主権改革は、自民党や民主党が求めてきたものであり、財界の一部の勢力が切望してきた課題です。
橋下さんの改革は、目新しいものではなく、民主党が一丁目一番地の課題だとしていたものです。推進できなかったのは、当面する課題が困難に直面する中で、推し進められなかったということです。推進できなかった問題を、地域の自治の担い手である橋下徹さんが掲げて気勢を上げているというのが、現在の状況でしょう。民主党が改革できなかった問題を橋下さんが実行に移しつつあるのではなく、大きな一つのプランの一部分である地域主権改革を担う人物が現れたということでしょう。
維新の会が、政権を担うようなことになれば、地域主権改革だけで政治を進めることはできないので、自民党や民主党と同じジレンマを抱え込むことになるのは明らかです。民主党とは細部における手法は違うでしょうが、政府と同じ方向を向いた改革の部分を担っているのが橋下改革に他ならないということです。

2012年は、国民にとって生活をより一層破壊するような動きが強まってくると思われます。このゆきづまった状況の中で維新の会が改革の新しい担い手として、熱烈な支持をえて伸びる可能性もあります。
国民の暮らしを直接守る政治を実現しなければ、本当の意味で改革はありえないということを具体的に語る必要があると思っています。
権力を握っている勢力にとって、打開できない危機はありません。国民との闘いのなかで、国民が本質を見抜けないで維新の会に強く大きな期待をもつことも充分考えられます。新しい年は、政治の根本的な転換への道がひらかれるのか、それともいっそう反動的な方向で日本が再編されていくのかどうか、こういうせめぎ合いの年になると思われます。
衆議院選挙については、2012年の年度内に選挙が行われる可能性が生まれつつあります。日本共産党の躍進で、国民の幸福の条件を広げる方向に政治を転換したいと思っています。

あたらしい2012年が始まります。よろしくお願いいたします。


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雑感

Posted by 東芝 弘明