Mac OSX10.5(Leopard)の発売に寄せて

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10月26日にMacOSの新バージョンLeopard(10.5)が発売される。今回も日本における販売価格は、1万4800円。前回、前々回とも同じ値段だ。
Windows Vistaの発売の時に発表された価格と比較すると戦略の違いがはっきりする。
Windowsは、次のような価格だった。

マイクロソフトは26日(2006年10月)、次期OS「Windows Vista」日本語版の推定小売価格を発表した。
パッケージ版は、すべての機能が含まれる「Windows Vista Ultimate」が51,240円、企業ユーザー向けの「Windows Vista Business」が39,690円、家庭ユーザー向けの高機能版「Windows Vista Home Premium」が31,290円、家庭ユーザー向けの基本版「Windows Vista Home Basic」が27,090円。


価格.comで現在の最安値を検索すると、Home Basicで21000円強、Home Premiumで2万4000円強、Businessで3万1000円弱、Ultimateが3万9500円程度となっている。
なぜ、こんなに種類を分けてしまったのか。選択肢が広がるというより、迷ってしまう。パソコンの性能差に対応するために、細かく分けざるをえなかった、ということだろうか。
Mac OSX10.5は、種類は1つで、この1本にすべての機能が搭載され、しかもマルチリンガルのOSになっている。インストールできるMacのスペックは、そんなに高くない。Ultimateをインストールするためには、メモリが2ギガ必要という話だが、Mac OSX10.5は、512メガバイトでOKということだ。
Vistaの使用フォントは、最新のJIS X 0213:2004を採用した。このJIS規格の採用は、Mac OSXより一足早かった。これに加えてVistaは、日本語表示を綺麗にするためにメイリオという新しい文字を採用した。
これに関わる記事がマイクロソフトのサイトにあったので、かなり長くなるが、以下に引用しておきたい。

◆JIS X 0213:2004対応について
背景:
マイクロソフトでは、文字の不足を解消するために、従来JIS第1及び第2水準漢字(JIS X 0208に規定されている6,355文字)をベースとしたShift JISの漢字に加え、1998年にはJIS補助漢字(JISX 0212に規定されている5,801文字)を加えた12,156文字の漢字を標準フォントとして組み込むなど、最新の日本語情報処理規格に基づいて文字の拡張を行ってきました。その結果、近年のパソコンの普及とあいまって「常用漢字表制定時の予想をはるかに超えて」*(註)表外漢字を含めた自由な日本語表現がだれでも簡単に行えるようになりました。一方、従来のWindows日本語版に搭載されてきた日本語フォントの文字の字体は1990年に改正されたJIS規格の例示字体と同じ字体を基本的に採用しており、歴史的な経緯により「一般の書籍類で用いられている字体」*(註)とJIS規格の例示字体に合わせたフォントを搭載するWindowsや「ワープロ等で用いられている字体との間に字体上の不整合が生じた」*(註)という問題がありました。
*(註) 『表外漢字字体表』(2000年12月国語審議会答申)の「一.前 文」からの引用。詳細に関しては以下の以下のURLを参照ください。 

12/kokugo/toushin/001218.htm
 
情報化に対応した国語施策、印刷標準字体:
元来、表外漢字(常用漢字表外の漢字、「常用漢字表」にない漢字)の字体に対してはこれまで標準字体が確立しておらず、2000年12月の国語審議会答申『表外漢字字体表』を待って初めて「一般の社会生活において,表外漢字を使用する場合の『字体選択のよりどころ』」が定まりました。この新しい国語施策に対応して、2004年に改正された最新のJIS漢字(JIS X 0213:2004、以下JIS2004)では、『表外漢字字体表』に示された「印刷標準字体」が全面的に採用されました。
 
法令に基づく施策、新人名用漢字:
2004年9月に戸籍法施行規則(昭和22年司法省令第94号)の一部が改正された結果、「子の名」に用いることの出来る漢字が大幅に拡張され、漢字の表(以下、新人名用漢字)として公示されましたが、追加された漢字に関しては、字種についてはJIS2004の漢字から選定され、字体については原則的に印刷標準字体が採用されました。言い換えれば、JIS2004に対応するフォントを搭載したパソコンの間では新人名用漢字のすべての漢字が支障なく情報交換できます。
 
マイクロソフトの取り組み:
マイクロソフトでは、日本文化に根ざした情報化社会の実現を引き続き支援するために、次期Windows Vistaで、「国語施策として示されている印刷標準字体」及び「法令に基づく施策である新人名用漢字」の双方に対応した最新のJIS規格、JIS2004に対応した日本語フォントを 搭載する予定です。MSゴシック3書体(MS ゴシック、MS Pゴシック、MS UI Gothic)、MS明朝2書体(MS 明朝、MS P明朝)のJIS2004対応は、株式会社リコー(本社:東京都港区、代表取締役社長:桜井 正光)と共同で行われました。
◆ 新開発の日本語ClearTypeフォント「メイリオ」について
 今回のJIS2004対応と同時に、日本語ClearTypeフォントを新規開発いたしました。このフォントは、ClearTypeの効果を最大限に利用でき、特に画面上での日本語の文章の可読性を画期的に向上させるべく、全く新たにデザインされたもので「メイリオ」と名付けられました。 メイリオは本文用レギュラーと見出し用ボールドの二つのウェイトからなるフォントファミリーとして次期Windows Vistaに搭載されます。
 メイリオは画面上で見ても印刷しても極めて明瞭で読みやすく、広い用途に適した新世代のサンセリフ系(角ゴシック)フォントです。特に液晶画面上の可読性を極限まで追求しました。ふところが広く、バランスの良いスタイルは小さな文字サイズでも鮮明に読むことができますし、大きな文字サイズでは迫力あるディスプレイ効果を発揮します。メイリオは単独の欧文フォントとしても、美しいスタイルを持ち、複雑な欧文組版にも対応できる完成されたフォントですが、和文フォントとしての最大の特徴は、和文と欧文とを違和感なく調和させて組むことができる点です。特に横組み文章を更に読みやすくするため、和欧文字間の比較サイズ、黒み、並び具合、字間スペースなどが巧みに調整されています。また今回、レギュラーと十分にウェイト差を持つ見出し用ボールドを追加したことで、メリハリのあるレイアウトを構成することができるようになりました。メイリオは、和文と欧文を含む膨大な文字セットで構成され、完全にスケーラブルで、どのように組んでも読みやすいアウトライン・フォントとして、あらゆる種類の情報交換や印刷・出版の用途に適しています。
 メイリオのデザインは河野英一、マシュー・カーター、及び株式会社シーアンドジイ(本社: 東京都新宿区、代表取締役社長:坂本 達)が担当しました。
 今回、開発を進めている新しいフォントの提供方法は以下のとおりです。
JIS X 0213:2004対応MSゴシック3書体、MS明朝2書体、および画面用の新しいフォントであるメイリオは、開発者向けのWindows Vista Beta 1に含まれ、Windows対応製品を開発されている開発者の方々に評価していただくことを目的にまず提供されます。
 
JIS X 0213:2004対応MSゴシック3書体、MS明朝2書体は、Windows XP向けにも提供予定です。
 
メイリオは、Windows Vista向けにのみ提供予定です。
これらのサポートにより、日本語環境がより強化され、Windowsユーザーのエクスペリエンスが向上することを期待しています。


Vistaのこれらの考え方は、Appleの日本語環境の構築の仕方と似ているが、同時に大きな違いもある。この違いは、パソコン上の文字表示に端的に表れている。
アップルは、印刷関係に強かった歴史をもっており、画面上の文字表示を綺麗にするという点でも、Mac OSに移行する際、画期的な変化を実現した。最初のバージョンが発売されたのは、2001年だった。OSXは、プロ使用のヒラギノフォント(Open Type Font)を5書体搭載し、ほとんどのすべてのソフトで(MacOSXに最適化されたソフトはすべて)、画面上も印刷上も綺麗な文字表示を実現した。
Windowsの方も、Vistaではじめてインターネット上の文字が綺麗に見えるようになった。しかし、すべてのソフトで同じように文字が綺麗には見えないと思われる。店頭でさわってみるかぎりでは、まだうまくいっていない。その原因は、Fontにある。Vistaの場合、メイリオというFontを使用することなしに、ブラウザの文字が綺麗に見えない。新しいJIS規格のフォントとメイリオとの間には、画面表示上の違いがある。
Macは、OpenTypeのFontを使用すれば、どんなFontでも綺麗に見える。ブラウザ表示用に開発されたフシのあるメイリオ(ウエイトの違う2書体:角ゴシック)のようなFontを必要としない。
「パソコン上のフォント表示を印刷と同じように表示したい」──これがMacOSXが追求し実現したものだった。
今度のLeopardは、vistaと同じJIS X 0213:2004を採用するとともに、6書体のヒラギノフォントを搭載するようになっている。
この点については、アップルのサイトに次のような記述がある。

美しい日本語は、美しい書体から生まれる
商用出版向けに開発されたヒラギノフォント(6書体)を、Mac OS X Leopardに標準搭載。美しいフォントを、会議の資料やホームムービーのタイトルに使えば、あなたのアイデアをより魅力的に演出できます。また、Mac OS Xは最新のJIS規格「JIS X 0213:2004」をサポートしたヒラギノを搭載しています。それに加えて Leopard では「JIS X 0213:2004」に例として示された字体を使用したもう一組のヒラギノを新たに搭載。これまでに作った書類との互換性は確保しながら、両方のヒラギノを必要に応じて簡単に使い分けることができます。

日本語の使用環境が、OpenTypeという非常に綺麗なFontに統一され、表示・使用・印刷ができるという、この基本的な部分で技術の高さを実現したことは大きい。こういう地味な、しかしコアに関わる部分でMacOSは、未来を感じさせてくれる。
日本語Fontは、Fontのプロポーショナルと文字の詰め情報が命を握る。Macは、組み版印刷というきわめて細かく厳しい業界の中で、DTPを実現するという精緻なことを求められてきた。これを実現するためにFontに費やされてきた技術と費用には、ものすごいものがあった。
Mac OSXは、この歴史と成果の上に立って、OpenTypeというFontを採用し、わずか1万4800円というOSの中にプロの技術をとりこんだのだ。
vistaは、昨年の発売によって、Mac OSにかなり近づいたと思う。しかし、それはVersion10.4のMac OSXに近づいた、もしくは少し上回ったということだった。今回のLeopard発売は、Vistaよりもさらに未来を見せてくれるものになっている。
OSのさまざまな機能の比較は、使ってみる中でさらに明らかになってくる。
それは今後のお楽しみ。
OSXとつき合っていると、今も「このOSはすごいよね。楽しいよね」という感じがする。XPにふれて仕事をしてもOSに対する感慨はほとんどない。
道具は、人間の手に馴染み、しかも道具のすばらしさを感じさせ、愛着が沸いてこそ、人間の精神を豊かにしてくれる。包丁しかり、カンナしかり、筆しかり。Mac OSXは、使っている人にコンピューターのおもしろさと可能性を肌で感じさせてくれる道具に仕上がっている。
未来を見たい人は、Appleの世界へ。
夢をかいま見たい人は、Macの世界へ。
新しいLeopard発売を前にして、そんなことを感じている。


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Posted by 東芝 弘明