思いはじんわりと伝わって

出来事,教育

天野小学校の学習発表会があったので見に行った。12月議会で突然、廃校が決定したので最後の学習発表会となった。
子どもたちは、個人個人のパフォーマンス、演劇、オペレッタ、歌、太鼓の演奏などいくつも演技を見せてくれた。地域の人々も太鼓やバンド演奏、若い女の子によるダンスなどを演じてくれた。

人々の思いは、言葉によって伝わってくるものと、色々な演技によってじんわりと伝わってくるものがある。今日は、じんわりと伝わってくる思いに何度も心が動かされ、目頭が熱くなった。
会場には、小さな子どもたちが10人以上いた。天野の地域に移り住んできた人々を中心に生まれた子どもたちだった。小学校を残すという課題は、この未来ある小さな子どもたちに、地域の学校を保障し未来を保障することだった。

ぼくは、新城小学校という複式の小さな小学校を卒業した。胸の中に深く入り込んでいる自然への思いやイメージは、新城小学校で学んだことと一体のものだった。地域の中で育つというのは理屈ではない。空気や水に触れ日々生活する中で体の中にしみ込んでくるものだ。学校をなくすというのは、こういう機会をうばうということだ。この穴は埋まらない。
議員の中には、子どもたちの立場に立って統廃合を行うといい、統廃合に賛成した人がいた。しかし、今日の発表会は、子どもたち自身が、どれだけこの天野小学校を大事に思っていたかが伝わってくる発表会だった。

この子どもたちの思いを、地域の人々は大切にして立ち上がったのではなかったか。少なくなった生徒の現状を真剣に考えて、地域おこしをおこなって来たのではなかったか。子どもの声と子どもの姿を、ぼくたち大人は受けとめるべきだったのではないかと思わされる発表会だった。

天野は、学校の跡地利用に気持ちを切り替えようとして、一生懸命がんばろうとしている。行政は、この気持ちをくみ取るだけではなしに、後押ししたり支えたりして、力にならなければならない。
今日の発表会は、井本町長に見ていただきたかった。日程があってこれなかったのだろうが、地域にどのような思いや願い、夢があるのかを心に刻んでほしかった。企画公室のまちづくりの係の職員にも見ていただきたいとも思った。
小さな地域には、団結心がある。天野、新城、四邑、四郷。これらの地域の地域おこしの努力に対して、行政は、それを文章にして、かつらぎ町全体の活性化に生かす努力をしなければならない。地域の組みには、到達点の違いがあるけれど。地域によってはまだ地域おこしが形になっているとは言いがたいところもあるけれど、発展の芽はすべての地域にある。その芽に光をあて水をあげて育てなければならない。

かつらぎ町は、色々な施策に取り組むときに基本姿勢としてきたことは、「何事も無難に」というものだった。県内ではじめてという取り組みには、いつも戸惑いと躊躇がある。こんな悪しき習慣には意味がない。
こういう傾向を持ったままでは活性化はできない。無難に物事を進めるという傾向は、一掃されなければならない。現状を維持することに満足して、現状への問題意識を欠落させていることはものすごく多い。現状を原点に立ち返って見つめ直し、ひとつひとつの施策を突き抜けるように発展させなければならない。
施策を通じて町を活性化させるという姿勢が大事になる。このことは肝に銘じるべきことだと思う。

天野小学校の発表会は、子どもの笑顔とともに次のステップへの力を与えてくれるものになった。子どもたちのために、地域の活性化と発展を。
地域の取り組みから深く学びたいと思っている。


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出来事,教育

Posted by 東芝 弘明