美しい街の選挙だった

雑感

IMG_6540

「橋本市の市議、阪本ひさよさんの選挙対策本部の責任者になって、橋本市に行ってほしい」
この要請を受けて、橋本市に行ったのが金曜日の17日。この日は夜の会議に参加した。翌日の18日の午前中に小原田のビラまきに行き、午後から阪本事務所に行った。全体の状況を把握できたのは、19日の告示日だった。
そこから1週間で1000数百人の方々と対話し支持を広げないと当選を勝ち取ることができなかった。みんなと相談して会議を開き、対策を講じ、大奮闘した結果、1686票という得票を得ることができた。多くの人が、支持を広げ、アナウンサーや運転手をしてくれた。
今回の選挙は、短期間だったけれど、印象深いものになった。ぼくは、今まで多くの選挙に関わり、選挙対策本部の責任者もさせていただいてきた。今回の選挙は、選挙期間中の作戦が決定的な意味をもった選挙になった。多くの人々の力によって、短期間で候補者を押し上げた気持ちのいい選挙になった。桜の花が雨の中に散っていき、葉桜へと移っていくのを見ながらの選挙になった。2議席勝利の喜びによって、人々の力を合わせた取り組みが、景色をより一層綺麗に見せてくれた。ぼくの中では、美しい街の選挙という印象が結晶化した。

橋本市議選でも日本共産党の候補者の政策が、最も具体的だったと思う。候補者の阪本さんは、170回を超える街頭演説をおこない、応援の演説も60回になった。
水道料金や国保税の値下げ、ごみ袋代の値下げとプラスチックごみ袋の無償配布、コミュニティバスの充実と乗り合いタクシー制度の導入などが政策だった。いかに具体的な政策を掲げるのか。日本共産党は、ここに心血を注いで政策を組み立てる。実現可能な政策なのかどうかに政策の力点がある。もちろん、公約は、簡単には実現しない。実現のためには、署名運動なども必要になり、時間もかかる。
橋本市のコミュニティバスは、18年前に日本共産党議員団が提案し、9年かかって実現したものだった。このプロセスの中には、いろいろな紆余曲折が織り込まれている。
国民健康保険税の値下げは、学習会の組織から始まった。こちらも実現までに3年以上かかっている。やがて取り組んだ請願署名は、日本共産党以外の議員の多数によって否決されている。請願が否決された例は、結構あるのだけれど、そこから事態が動くことも多かった。国民健康保険税も、請願は否決されたが、市長が値下げに踏み切るという動きになって実現した。

市長が値下げに動くと、日本共産党以外の議員も賛成にまわることが多い。他党派の議員の方々に共通しているのは、市長の意向に従うという傾向だ。こういう傾向が強いので、日本共産党が提案した時には提案に否定的なことが多い。
昨年の12月、かつらぎ町の議会で日本共産党ともう一人の議員が共同で提案した中学校卒業までの医療費の無料化を、保守系議員全員が全力で否決したのも、同じような傾向だった。保守系議員が、「町長の意向に反してこのような施策を実現すべきではない」という趣旨の反対討論をしたことにすべてが現れている。市長や町長の意向に従うのが基本なので、事態を積極的に動かさないというのが、具体的な公約が少ないという事態を引きおこしているように見える。

橋本の街をビラまきで歩き回ることが多かった。小原田や橋谷、霜草は、美しく趣が深かった。橋本市は、田舎の風景の美しさと新興団地の美しさが背中合わせに存在し、混じり合っていないところに特徴がある。歩いているとビラまきが楽しくなっていた。

歩きながら同時に感じていたのは、この街は、ベッドタウンとしてまちづくりがおこなわれてきたが、果たして住みやすい街として発展してきたのかどうか、ということだった。都市計画によって大きな団地を何カ所も作ってきたのに、それらの団地が、人が住み続けられる機能をもったものとして形づくられたのか、という点では疑問が湧いてくる。
田舎の風景の中にもお店は極端に少ないが、新興団地にもお店は極端に少ない。チェーン店であるコンビニも少ない。林間田園都市駅も橋本駅も、商業的には人が集まってくる場所にはなっていない。橋本駅は塾だらけになり、林間田園都市は、送り迎えのためにだけ集まってくるような駅になっている。
あれだけ人口があり、住宅があるのに、必要なお店がなく、お店も生まれてこない。新しいバイパスの道の両側は、山を切りひらいた関係もあって、お店ができるようなスペースもない。いくつもある新興団地の中にコンビニもないので、歩いてちょっとした物を買いに行くという行為さえ成り立たない。
若者にとっても、高齢者にとっても歩いて買い物ができる便利な街を発展として考えていかないと、人口流出に歯止めがかからないようにさえ思う。
都市の便利さは、第三次産業によって維持されている。民間のサービス業が多面的に発展することによって、都市は便利になってくる。歩いて数分のところにかかりつけ医やカフェがあり、雑貨屋やスーパーや美容院、散髪屋があり、飲食店があり、居酒屋があり、本屋さんがあり、クリーニング屋さんがあるなどの仕組みが都市の中に盛り込まれていれば、住みやすいことになる。
車社会が、郊外型の店舗を生み出し、商店街を破壊してきた結果、高齢化すると住みにくさが表面化してくる。
乱開発の岩出市と整然と都市計画を行ってきた橋本市は、どちらが住みやすいかという問いは、設問によって、意見が真っ二つに分かれるように思う。人口増がまだ続いている岩出市と人口減少に転じた橋本市との違いは、都市機能の差にあるのかも知れない。

街の再生と世代が循環していくようなまちづくりをどうすれば実現するのか。まずは、街が再生し世代が循環するようなまちづくりになっている街との比較検討から始めればいい。都市のあり方の比較検討から見えてくるものは多いだろう。


にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 和歌山県情報へにほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へにほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログへブログランキング・にほんブログ村へ

雑感

Posted by 東芝 弘明