井上哲士議員の質問に寄せて

雑感

集団的自衛権について、法律の条文には、最少限度の武力行使という規定はない。自分で条文を調べた時にこのことを確信した。なのに3要件に基づいて、武力行使は最小限になるという説明が繰り返されている。
この問題を井上哲士参議院議員が追及した。いつかこの問題を追及してくれるだろうと思っていたので、わが意を得たりの質問だった。
この問題についての内閣法制局長官の答弁を引いておきたい。

横畠裕介内閣法制局長官
それの条文上の根拠でございますけれども、自衛隊法の88条というのがございます。これは防衛出動を命ぜられた自衛隊の権限を規定している規定でございますけれども、88条第2項におきまして「事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならない」という規定がございまして、これがまさにその必要最小限度を表している規定であるというふうに理解しておりまして、先ほど大臣からお答え申し上げました対処法の3条4項、ご指摘のありました3条4項のただし書きも同じ全く表現であるということで、その点が担保されていると理解しております。

法律の条文に書いているのは、「事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならない」という規定だ。自衛隊の防衛出動の権限の規定と同じ文言だから、これは必要最小限度を表していると答弁している。 防衛出動の場合の「事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならない」という規定は、個別的自衛権という中でのものだから、他国の陣地まで行って攻撃をしかけるものではないから、自ずから限定的になる。しかし、この限定は、「事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならない」という規定から必然的に導き出されるものではない。
同じ「事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならない」という文言でも、集団的自衛権の下での文言と個別的自衛権の下での文言とでは性格が違ってくる。井上哲士さんは、「個別的自衛権の場合は、わが国に来た攻撃を排除すると、追いかけてまでいかないと、必要最小限度性が非常に明確」だといい、集団的自衛権とは全く違うと指摘している。まさにその通りだ。引用した法制局長官の答弁は、法制局長官としては「失格」ではないだろうか。

必要最小限度ということを答弁するのであれば、条文に必要最小限度という文言を入れるべきだろう。そういう文言を入れないで、「事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならない」という規定が、必要最小限度を表しているというのは、ごまかしだ。
必要最小限度の武力行使=「事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならない」ということにはならない。これが結論だろう。

法律の条文論議でさえ、まともなやり取りにならない安倍内閣というのは、信じがたいほどひどい。


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雑感

Posted by 東芝 弘明