後期高齢者医療制度広域連合議会が行われた

出来事,議員の活動

後期高齢者医療広域連合議会が開かれた。
1時間前に会場に着いた。昨日まで視察だったので、自席について質疑の内容をもう一度確認することにした。
議会運営委員会がないので、議会運営委員会の内容は全員協議会で行われる。
議事運営について、という項のところで、質疑の通告制について議長に見解を問いただした。
ぼくが問いただしたのは、
(1) 質疑の通告制は何を根拠に実施しているのか。
(2) 通告しない議員が質疑できないとしている申し合わせは、会議規則のどこに根拠がある規定なのか。
という2点だった。

議長の答弁は、根拠は申し合わせであり、申し合わせは会議規則と同じ効力をもつというものだった。
ぼくは、会議規則の精神に反する申し合わせは無効ではないか、と提案した。
広域連合議会の会議規則は、次のように規定している。
会議規則第43条1項
「会議において発言しようとする者は、起立して「議長」と呼び、自己の議席番号を告げ、議長の許可を求めなければならない。」
第2項
「 二人以上起立して発言を求めたときは、議長は、先起立者と認める者から指名して発言させる。」

この2つの規定は、通告制にもとづかないで質疑を行うことを規定している。質疑に通告制を導入しているのは、市議会の方になる。市議会の標準会議規則は、
「(発言の通告をしない者の発言)
第52条  発言の通告をしない者は、通告した者がすべて発言を終った後でなければ発言を求めることができない。
2 発言の通告をしない者が発言しようとするときは、起立して「議長」と呼び、自己の氏名を告げ、議長の許可を得なければならない。
3 2人以上起立して発言を求めたときは、議長は、先起立者と認める者から指名する。」
という条項を設けて、通告しない議員の質疑を保障している。

町村議会の会議規則にしても、市議会の会議規則にしても、議員の発言を保障するという立場に立っている。広域連合の会議規則で言えば、一番正しい運用は、通告なしに質疑を行えるというところにある。申し合わせで、通告が必要だとしても、通告制を導入することによって、通告をしなかった議員の質疑を制限することはできない。そういうルールを導入することは、会議規則の精神に反することになり、そのような制限は、いかに多数で議決しても無効ではないか。市議会の会議規則を紹介したのは、通告制を導入している市議会でも、通告しない議員の質疑を完全に保障している。通告制を導入したいのであれば、市議会の会議規則を採用すればいい。しかし、いずれにしても、通告しない議員の質疑を保障するということにしかならない。これ以外の選択肢はない。これがぼくの提案だった。

本会議で全く通告もせず、発言を一切しない議員のみなさんの数人が、通告なしの質疑を認めるかどうかについては、手を上げて発言し、通告制の採用は問題がないとか、通告しない議員の関連質問はすべきではないとか、限られた時間の中で通告制を取るのは問題がない、などという発言を行った。
議会は、言論の府だ。この議会で、通告制度を取ると一切通告をしないで黙っていて、通告しない議員にも質疑を保障すべきだと言えば、そんなものは必要ないという。この議会は、会議規則が保障している質疑をよほど制限したいのだろうか。

ぼくの今回の提案は、これで2回目になる。日本共産党の議員は、通告制に従って質疑を行っている。ルールを守って会議に参加している議員が、通告しない議員への発言を保障せよと言い、一切通告をしたことのない議員が、通告にもとづかない質疑は不要だという態度をとる。広域連合議会が発足して8年。その内ほぼ4年ぼくは、この議会に議員として参加させていただいているが、この4年間、日本共産党以外の議員は通告をしたことがない。
通告なしに質疑ができたころは、それでも保守系議員の方が質疑をしたことはあった。通告しない議員が質疑できなくなったことによって、保守系議員の方々の質疑はなくなってしまった。
会議というのは、他人の発言を聞いて、賛同したり、意見を交わしたりするところに意味がある。当局提案の議案に大きな問題があれば、議員が手を上げて発言を求め、連携しながら当局を追及する。その中で議案の修正や取り下げが行われる。通告しない議員の質疑を保障しないと、会議が機能しない。重大な問題が発生しても、その問題について議員が連携して追及することさえできなくなる。通告しない議員の発言を規制する議会というのは、議会の体をなさない。

1300億円を超える予算規模を持つ後期高齢者医療の制度には、制度発足の歴史も浅いので制度上の不十分さも横たわっている。制度の廃止を求めている日本共産党の議員は、一所懸命制度の改善を求め、提案を行い、いくつかの成果も上げてきている。制度存続を求めるのであれば、日本共産党の議員以上に積極的に制度の充実を求めて発言をすべきではないか。全員協議会で、議員の発言に規制をかける話ばかり熱心にするのは議員の仕事ではないだろう。

広域連合議員は、各議会の代表であり、議会の総意を反映して質疑を行うという主旨の発言をした議員もいた。これは根本的に間違っている。
多くの議会が、議長による指名推薦(充て職)という形で議員を広域連合議会に出している。しかし、議長による指名推薦という形が原則ではない。基本は議会内で選挙を行うところにある。誰かが指名推薦に異議を唱えたら選挙をすることになる。議会内で選挙で議員を選出するということが原則なので、広域連合議会における議員の質疑は、選出母体の議会の総意を反映したものではない。あくまでも議員は、議員個人として発言が保障されている。各議会の代表委員による合議体では決してない。

今回、広域連合は、和歌山県の保険料を値下げないし据え置いた。値下げが実現したのは初めてのことだった。
一般会計と特別会計に対する反対討論を載せておく。

平成 28年度和歌山県後期高齢者医療広域連合
特別会計予算に対する反対討論

 一般会計と特別会計は、後期高齢者医療制度の一連の会計なので、2つの会計に対する反対討論については、特別会計のところで合わせて行います。
平成28年度は、2年に1度の保険料改定の年度に当たります。日本共産党の議員は、平成27年7月議会のときの26年度決算を踏まえ、30億円近い剰余金が発生していることを指摘し、保険料は抑制できるという指摘を行いました。9月になると国の被保険者の推計と医療給付費の推計が示されました。それを受けて、保険料の抑制は一層可能だという確信を強めてまいりました。今年1月末、県広域連合は、「後期高齢者医療給付準備基金」の残高が28億円になる見通しだと報告しました。その結果、平成28年度予算に組み込まれた保険料は、被保険者一人当たり、所得割率で0.83%増、均等割額で553円減となり、軽減拡充後の一人当たりの平均保険料は、マイナス1456円となりました。年金収入が200万円以上の方々においては、保険料アップとなりましたが、一人当たりの保険料が5万円を少し超える76%以上の方々は減額ないし据え置きとなりました。
保険料が減額ないし据え置きとなったのは、初めてのことだと思われます。県広域連合が、私たちの提案も受けとめ、保険料負担の抑制への努力を行ったことを率直に評価いたします。4分の3以上の被保険者の保険料が抑制されたことは、極めて喜ばしいことだということです。
日本共産党は、今後も制度の廃止を求めつつ、現行の制度内で改善につながる積極的な提案を行っていくものです。

会計全体に反対する理由は、75歳以上の高齢者を特別の保険制度に囲い込み、高齢者人口が増えるに従って、医療の負担を実感していただくという制度の仕組みそのものにあります。今回は保険料の値下げが実現しましたが、後期高齢者医療制度は、時間が経過するにしたがって、高齢者への負担を強いる許しがたい差別と国民分断の制度であるという本質は変わりません。すでに来年度は、特例軽減の廃止がなされようとしています。後期高齢者の収入が極めて低いため実施されてきた特例軽減の廃止は、制度の根幹に関わる深刻な問題です。消費税増税、特例軽減廃止、年金の削減という中で高齢者の生活はますます厳しくなります。高齢者に直接保険料負担と医療費の一分負担を強いる後期高齢者医療制度は廃止すべきだということを訴えて、私の反対討論といたします。


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出来事,議員の活動

Posted by 東芝 弘明