コミュニティバスとデマンドタクシー・福祉有償運送の組み合わせの実現を

雑感

委員会の視察研修レポートを書いたので、ブログにも載せておきます。

かつらぎ町議会 
議長 赤阪 岩男 様

総務産業常任委員会委員 東芝 弘明

一. 研修日時及び視察先
日時 平成28年2月9日 午後10時〜午後12時まで
視察先 群馬県前橋市

一.  研修を受けての所見
視察の目的は、デマンドバスとデマンドタクシーの事業にあった。前橋市は、交通課の職員3人でデマンドバス2エリアと全市を対象にしたデマンドタクシーに対して責任を負っていた。企画・立案・実施・検証に至るまで一貫してこの3人が責任を負っていた。前橋市は、平成16年と21年に2段階で合併を行って中核市になった県庁所在地のある市だった。

 ○ デマンドバス
前橋市と合併した自治体は、それぞれの地域で循環型の定期コースを走るバスが運行されていた。このバスに対し見直しを行い、予約制のデマンド型のバスを運行していた。ふるさとバスは4台、バス停が約300か所(平成26年度の運行経費は経常経費ー運行費など3,468万7000円、経常収入ー運賃など601万3000円、買い取りによるシステム保守管理料30万8000円)、るんるんバスは2台、バス停が約150か所(平成26年度の運行経費は経常経費ー運行費など1458万9000円、経常収入ー運賃など209万6000円、リースによるシステム保守管理料218万4000円)だった。
バス停からバス停までの運行を自在に行うデマンド方式に切り替えることによって、利用者が増えていた。定期ルートのバスからデマンドに切り替える際に1年間の社会実験を実施し、住民のニーズを把握する努力を行っていた。
運行をタクシー会社への委託は、競争入札を組織して委託料で競わせて受注させるのではなく、必要な経費の全額を市が負担する方式だった。この方式であれば、地域交通との共存共栄は可能になるだろう。
感心したのは、企画立案力と実行力、検証力だった。これだけの仕事を3人で検討し、実施に至っていることには驚かされた。

○ デマンドタクシー
デマンドタクシーの「マイタク」は、4年前の市長の公約から始まった。いつでも、どこでも、どんな人でもデマンドタクシーを低料金で利用できるという公約は、10社あるタクシー会社の猛反発を受けた。
その結果、「マイタク」は、75歳以上の人すべて、65歳以上の運転免許を持たない人、身体障害者や要介護・要支援の認定者、小児慢性特定疾患患者、妊婦など1〜7の条件に合致する人、運転免許を自主返納した人に限定したこと、タクシー運賃への補助という形をとったことによって、今年の1月23日から実施できることになった。確認はできなかったが、おそらく市長に対し職員側から具体的な提案を行って、実現への道をひらいたと思われる。10月から登録を行い、現在登録者は8000人を超えていた。この施策は、担当職員による周知徹底の努力もあって最初から非常に大きなインパクトを与えていた。
前橋市は、前橋駅から放射状に多くのバス路線が走り、タクシー会社も多い地域になっている。合併によって新たな市のエリアになった山間部でデマンドバスを実施しているが、旧市街地は交通網の発達した地域であるといえる。しかし、この前橋市でも高齢化によってデマンドタクシーが必要な状況であることに注目する。それは、デマンドタクシーの登録が都市部の住民に集中していることにも表れている。

一. 本町に照らした所見
○ コミュニティバスとデマンドタクシー・福祉有償運送の組み合わせの実現を
かつらぎ町でも、現在のコミュニティバスを見直し、コミュニティバスとデマンドタクシーの組み合わせへと施策を発展させる必要性を痛感する。
花園地区や新城地区などでは、福祉有償運送の導入を考えるべきだと思っている。これらの山間部は、不採算部門になりかねないので、一定の運営費補助による福祉有償運送が現実的かも知れない。
コミュニティバスの路線は、四郷と花園地区に行く南北の路線に絞り込んで運行し、そのエリアも含めて、福祉有償運送とは棲み分けながらデマンドタクシーを導入すべきだと思っている。
移動が困難になっている交通弱者に対して、病院や公共機関への送迎、買い物、親類や友人宅への訪問などを実現することは、地域に人的な交流を生み出すだけではなく、社会制度にアクセスすることによって住民の基本的人権を保障することにつながるとともに、地域に経済循環を生み出す施策にもなりうる。
デマンドタクシーは、タクシー代への補助という考え方ではなく(この方式は莫大な費用を発生させるとともに、どうしても回数制限が生じるので使い勝手が悪い)、低料金(たとえば300円までの値段)によるタクシー会社への委託方式を具体化すべきではないだろうか。もちろん、この施策は、交通弱者への支援(住民の移動の権利の保障)に限定し、かつエリアを限定するなど、制限をかける必要がある。いつでも、どこでも、だれでも移動を保障する普通のタクシーとの違いを設けながら、ドアツードアのデマンドタクシーを導入し、タクシー会社の利益を一定保障すれば、競合は避けられるのではないかと思われる。
観光客への移動手段の保障という点では、当面は南北へ伸びるコミュニティバスで役割は果たせるだろう。
現時点では、町長がコミュニティバス以外の対応については、考えることが難しいという態度を取っているので、総務産業常任委員会が先行的に政策の検討を行い、議会の意思として提案できるよう、話をある程度詰めて、町当局に検討する委員会をつくっていただくよう話を進めるべきではないだろうか。


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雑感

Posted by 東芝 弘明