死の灰についての再考察

雑感

朝から夕方まで和歌山市内で会議があった。少し寝不足気味だったので、橋本市の市議といっしょに車で和歌山市内の会場に行った。話し相手がいれば、居眠り運転をしなくてすむ。思った通り、行きも帰りも眠くならないで、いろいろな話をすることが出来た。
2台の車で行くよりも経費が安いだけでなく、眠気防止にもなり、脳の活性化にもつながるので一石三鳥という感じだ。
会議で眠くなったが、それはほんの少しだけだった。Asahiにミンティア(MINTIA)という100円のお菓子がある。小さな錠剤のようなものだ。何種類ものミンティアの中にドライハードという一番辛いものがある。このドライハードには、カフェインが配合されている。これをなめると眠気が少し遠のく。会議ではこのミンティアのお世話になった。
7月3日に死の灰について書いた。しかし、ウキペディアの記述には、どうも不正確なところがあるようだ。以下がその部分だと思われる。

核分裂に寄与しなかった核物質
核兵器は核分裂性物質をすべて分裂させるわけではない。連鎖反応によって爆発的に生じるエネルギーは、反応中心の周辺にある核分裂性物質に連鎖反応が伝播する以前にこれらを吹き飛ばしてしまうからである。このため多くのウランやプルトニウムは核分裂せずに爆発で分散される。このような核分裂に寄与しなかった核物質は、主にアルファ粒子を放射して崩壊する。アルファ粒子は空気中では数センチメートルから数メートル程度の飛程しかなく、物質を通り抜ける力が小さいため、その発生源が環境中にある場合の危険度は低い。しかしこれらが生命体の中に取り込まれると、アルファ粒子が体内組織を直撃するために重篤な症状を招くことになる。これを内部被曝という。なお、ウラン・プルトニウムは、放射毒性はあるものの、砒素や青酸化合物といった代表的な毒物と比較して生化学的毒性はそれほど強くないといわれている。これらは空気中の酸素と速やかに反応し、粉末状になって周囲を汚染する。この粉末がひとたび気流に乗れば、何千キロメートル先までも拡散しつつ汚染範囲を広げる。核分裂生成物と異なり、これらの半減期は非常に長く、また最終的に放射線を放たない鉛に落ち着くまでには数千億年を超える期間を要する。その期間の長さは地球の歴史(約46億年)をも凌駕しており、人類の感覚でいうと「永遠」である。

他の本を調べてみると、「なお、ウラン・プルトニウムは、放射毒性はあるものの、砒素や青酸化合物といった代表的な毒物と比較して生化学的毒性はそれほど強くないといわれている。これらは空気中の酸素と速やかに反応し、粉末状になって周囲を汚染する。この粉末がひとたび気流に乗れば、何千キロメートル先までも拡散しつつ汚染範囲を広げる」という記述は見あたらない。調べても現在はまだ、このような記述を確認できない。この記述は、死の灰とは何かといった場合に、空気中の酸素と結合し粉末状になって降り注いでくるものとなる。これはイメージとして分かりやすい。死の灰=粉末状のもの、まさに灰だからだ。
「空気中の酸素と速やかに反応し、粉末状になって周囲を汚染する」という事実が、本当にあるのかどうか。特にここが未確認情報である。
広島での原爆は、核分裂反応を起こしたウラン235は4%、残りの96%は、分裂反応を引き起こさなかったといわれている。残りは死の灰となって降り注いだのだろうか。
長崎大学の発表に次のようなものがある。
「原爆の「死の灰」が今も体内で放射線を出し内部被曝の原因に 長崎大学七條和子助教授らの研究グループが世界で初めて確認」
記事を少し引用してみよう。

原爆投下で生みだされた大量の「死の灰」。
 これが原爆投下から60年以上たった今でも細胞の中で放射線を出し続け、内部被曝の原因となっている様子を、長崎大学の研究グループが世界で初めて確認した。
(以下、当時のテレビ映像が貼り付けられている)
 細胞から伸びる2本の黒い線が放射線だ。(これはこの映像の解説)
 被爆者は一般に強い放射線を浴びたことによる外部被爆が問題とされる。
 今回、放射性物質を体内に取り込んだことによる内部被曝もまた、確実に起きていることが明らかにされた。
 研究グループは、すでに死亡した7人の被曝者について大学に保管されていた組織を特殊な方法で撮影。
 その結果、「死の灰」が細胞の中で出す放射線を黒い線として映し出すことに成功。
 被曝から60年以上もたった今もなお、骨や腎臓などの細胞の中で放射線を出し続けている様子をとらえたのは世界初だ。
 さらに重大なのは、放射線の分析からこの「死の灰」の成分が原爆の原料であるプルトニウムであると確認されたことだ。
 半減期が何万年にも及ぶプルトニウムを環境中に放出することがどれほど危険なのかを物語っている。
 調査した七條助教授は次のように語っている。
 「その時だけ被曝して障害を及ぼすのではなくずっと体の中に蓄えられたものが 少しずつ少しずつですね、 体をやっぱり傷つけている可能性があるという何らかの糸口になればと思っております」
 さらに長崎大学の中島正洋准助教授の研究グループは、皮膚ガンになった被曝者を対象に手術で切除されたガンの周辺の細胞について研究を進めた。
 その結果、一見正常そうに見える細胞のDNAが傷ついているケースが多く見られることが判明。
 DNAの異常は爆心地から3キロ以上離れて被爆した人では5人のうち1人だったのに対し、 1.5キロ以内で被ばくした7人のうち5人に上った。
 原爆で被曝した人は現在も高い割合でガンになっているが、こうした患者は一見正常に見える細胞のDNAが傷ついていることも長崎大学の研究で判明した。

これは、核分裂反応を引き起こさなかったプルトニウムが、体内被曝の原因物質だったという報告だ。したがって、ウラン235やプルトニウムも放射性降下物として落ちてきたことは、間違いないようだ。しかし、粉末状になって降り注いだというような記述は見あたらない。
次に財団法人「放射線影響研究所」という機関を紹介したい。まずは、この機関による自己紹介をご覧いただきたい。

財団法人放射線影響研究所(放影研)は、日本国民法に基づき、日本の外務省および厚生省が所管し、また日米両国政府が共同で管理運営する公益法人として1975年4月1日に発足しました。
前身は1947年に米国原子力委員会の資金によって米国学士院(NAS)が設立した原爆傷害調査委員会(ABCC)であり、翌年には厚生省国立予防衛生研究所(予研)が参加して、共同で大規模な被爆者の健康調査に着手しました。1955年に フランシス委員会 による全面的な再検討で、研究計画が大幅に見直され、今日まで続けられている集団調査の基礎が築かれました。
1975年の放影研への再編成時に、日米共同による調査研究を続行する必要性があると考えられました。これを受け、放影研の運営管理は日米の理事で構成される 理事会 が行い、調査研究活動は両国の専門評議員で構成される 専門評議員会 の勧告を毎年得て進められています。経費は日米両国政府が分担し、資金は日本は厚生労働省を通じて、米国はエネルギー省を通じて交付されています。

この機関に次のようなQ&Aがあった。

Q 広島・長崎にはまだ放射能が残っているのですか?
A いいえ、実質的には残っていません。
原爆が炸裂して、その結果残留放射能が生じることになるのですが、その出来方には2通りあります。一つは、核分裂生成物 あるいは核物質自体(広島原爆に使用されたのはウラン、長崎原爆に使用されたのはプルトニウムです)が放射性降下物(フォールアウト)として降ってきて地上を汚染するものです。同じような土壌汚染がチェルノブイリ事故でも起こりましたが、その規模ははるかに大きなものでした。 → [詳しい説明はこちらをご覧ください]
残留放射能のもう一つの出来方は、中性子線が地面や建物に当たって生じるもので(中性子放射化)、放射能を持たない物質に放射能を帯びさせることにより生じます。
放射性降下物(フォールアウト)
広島・長崎の原爆は、地上600 m(広島)、503 m(長崎)の高度で爆発しました。そして巨大な火球となり、上昇気流によって上空に押し上げられました。爆弾の中にあった核物質の 約10%が核分裂を起こし、残りの90%は火球と共に成層圏へ上昇したと考えられています。
その後それらの物質は冷却され、一部が煤(すす)と共に黒い雨となって広島や長崎に降ってきましたが、残りのウランやプルトニウムのほとんどは恐らく大気圏に広く拡散したと思われます。当時、風があったので、雨は爆心地ではなく、広島では北西部(己斐、高須地区)、長崎では東部(西山地区)に多く降りました。
この地上汚染による最大被曝線量は、広島では 0.01-0.03 Gy、長崎では0.2-0.4 Gyと推定されています。爆心地での降下物による被曝線量は上記の値の約10分の1と考えられています。
現在では放射能は非常に低く、特に1950年代60年代を中心に世界中で行われた(地下ではなく)大気圏核実験により世界中に降った放射性降下物による微量の(プルトニウムなどの)放射能との区別は困難です。

核分裂反応を引き起こさなかったウランもプルトニウムも放射性降下物の中に含まれるが、その大半は、「大気圏に広く拡散した」ようだ。広島や長崎にウランやプルトニウムがそのまま大量に降下してきたら、半減期が長いだけにずっと地域を汚染し続けることになる。しかし、現実にはそうならなかった。
その点では、チェルノブイリの事故の方が地域の汚染という点では汚染度が高かった。
ウラン235やプルトニウムは、放射性降下物のひとつになりうるのは間違いないだろう。しかしそれが粉末状になって降り注いでくるのかどうか。
目には見えない物質として降り注いでくるということではないだろうか。


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雑感

Posted by 東芝 弘明