「空気」と「世間」

雑感

『同調圧力』という新書版を読んだのでさらに『「空気」と「世間」』(鴻上尚史著)を注文した。Amazonからこの本が今日届いたのでさっそく読みはじめた。なかなか面白い。日本共産党がどうして世間から忌み嫌われたのかということもよく分かる。個人の確立をもって近代が始まったという側面が、明治以降あった。夏目漱石や芥川龍之介、太宰治など多くの作家は、個人の自我の確立と政治、社会との間で苦しんできたと思ってきたし、個人の確立は戦前と戦後を通じてかなり達成してきたと思っていた。しかし、鴻上さんの本を読んでいると、今の時代も含めまだ日本では、個人の確立が未達成のまま、今日も非常に大きなテーマとして残されていると思い始めた。

安保法制反対の運動のときに、多くの人々が自分の意志で官邸前に集まってきた。個人がまさに立ち上がってきて、運動が起こった。この運動を通じて、憲法第13条の個人の尊厳の尊重に光が当たり、まさに個人の尊厳を保障する方向に日本の未来があるということを考えさせられた。しかし、この課題は、まだまだ非常に根の深いさまざまな問題をはらんでいることが見えてきた。

「空気」と「世間」、そこから生まれる「同調圧力」。日本の中で自分たちを取り巻いているこれらのものは一体何なのか。これは、深く考えるべき多くの問題を含んでいる。しばらくはこの知的な模索の中に身を置きたい。


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雑感

Posted by 東芝 弘明