おばあちゃん、ありがとう 2005年9月19日(月)

出来事

朝も昼からも会議。
敬老の日なので、今日は5時30分に帰宅した。おばちゃん(妻の母)とおばちゃん(妻の母の姉)を引き連れて「野半の里」の「蔵の湯」にお風呂に行く。総勢5人。男はぼくだけなので、1人で男湯へ。
お風呂に入りながら、山家悠紀夫(前衛9月号)さんと林直道(経済3月号)の論文を思い出しながら湯船につかっていた。
林直道さんの論文では、高度経済成長期に国内の購買力が飛躍的に増大した要因は、国民の所得が倍増したというより、労働力人口が爆発的に増大(15歳から64歳までの生産年齢人口が総人口の68.9%まで伸びた)したことによるという指摘が新鮮だった。企業の設備投資が飛躍的に増え、農村の余剰人口が、都市に流れ(いわゆる金の卵)、労働者が爆発的に増大したということである。その当時の成長率は、19年間平均で10%を記録するというすさまじさだった。
27歳の時、富田林市に選挙の応援に行ったとき、泊めてもらったアパートの一室には、富田林市の歴史的な変化を綴った写真集があった。1950年なかばから1970年半ばまでの間に地域の風景は劇的に変化しているのが手に取るようによく分かった。
子どもの頃、新城でも舗装されていなかったバラスを敷き詰めた県道が、簡易舗装され、本舗装される変化を体験してきた。ぼくが高校生になった頃には、舗装していない道の方がめずらしくなり、道という道はほとんどアスファルト、もしくはコンクリートが敷き詰められていった。
山家さんの論文では、日本の経済的な危機についても考えさせられた。とくに「国際競争力を強化しなければ危ない」という言い分には根拠がないということが示されていた。日本の経常収支(輸出力、海外製品と対抗する国内製品の力)は昨年18兆円の黒字である。これはダントツで世界一だ。日本の対外純資産は、昨年末で185兆円ある。世界最大の純資産国。世界第2位はスイスで約50兆円、ドイツ、フランスは20兆円、アメリカは借金大国、イギリスも借金国だ。
山家さんは、経常収支は、黒字でなければならないというのではなく、収支とんとんでいいという考え方を示している。
国際競争力という点でいえば、世界一の日本なのに、国際競争力を付けないと日本は危ないといって、労働法制を企業の都合のいいように改変して、税金をもっと負けろという。国民の所得を掘り崩して、国内市場を小さくしながら、資本の側に儲けを蓄積し、国際競争力をよりいっそう高めようとしているのは、狂気の沙汰なのかもしれない。
この狂気の先に待っているのは、巨大な恐慌だ。
日本の民間企業の現場は、働きながら死んでいく、体をこわしていくような現場だ。「乾いたタオルを絞る」と比喩的に言われる効率化された現場から、もっともっと効率化をという要求が出され、国民を追い込んでいく。
スローライフという言葉が生まれ、一定の力を持ちつつあるのは、こういう流れへの反発であると思う。
お風呂は、ゆったりとした空間だった。湯船につかって、こういうことを考えていると時間が思った以上にたっていた。
お風呂から上がって、休憩場になっている広場に出てくるとおばあちゃんとおばちゃんが座っていた。しばらくすると娘が暖簾をくぐって出てきた。
みんなそろってから食事に行った。
「今日は豪華やなー」
娘は何度かそういった。
「もうお腹パンパン」
満足そうだ。
娘は、朝8時に起きておばあちゃんとおばちゃんにプレゼントを作っていたらしい。2人にそろいのハンカチと手製のカードを渡していた。
おばあちゃんへのカードには、肩たたきとか、何でもカードとか書かれていた。おばあちゃんはとっても嬉しそうだった。


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出来事

Posted by 東芝 弘明