桜の花とウグイス 2006年4月12日(水)

かつらぎ・発見伝

桜の花が散り始めている。
新聞配達のために空き地に車を停め、車から降りると、ウグイスの鳴き声が空気にしみいるような感じで聞こえてきた。
コンクリート舗装の地面には、うす桃色の桜の花びらが敷きつめられている。そこを歩いて下り坂を下りていくのが惜しいような気がした。
道ばたには赤やすみれ色の花が咲いている。
ウグイスの声には、太く深いもの、明るく細いもの、軽やかなもの、丸みのあるものがある。重なったり、受け答えするかのように聞こえる。
ジャズのセッションのようだ。
鳥の声はウグイスだけではない。遠くに見える山、近くの竹林という景色が、鳴き声によって深みが与えられ、景色への印象が深くなる。
春の朝の空気が澄んだ時間。下り坂を下りたところにポストがある。歩いて坂道を上り、車まで戻る時間が惜しいような感じだ。
朝10時から「和(なごみ)福祉会」の竣工式があった。かつらぎ町にあった障害者の作業所だった「自立の家」と「星の家」がいっしょになって作られた福祉法人だ。
場所は、かつらぎ町妙寺の元法務局の事務所。法務局が橋本の事務所に吸収合併し施設があいていたので、国から払い下げを受け、福祉法人が受けることのできる補助金を受けて改修され、今日の日を迎えた。
多くの方々がお祝いに駆けつけていた。
施設内は、きれいに改築の手が入り、見違えるように生まれ変わっていた。
事務所、作業場所、厨房、食堂、休憩室、和室など、なかなか快適な作りになっている。
竣工式の最後に、働く仲間がSMAPの「世界に一つだけの花」を歌った。手話が混じる歌だった。一生懸命歌おうとする気持ちが伝わってくる歌だった。CDデッキから流れるSMAPの声に重ねて歌った歌だったが、こんなにSMAPの声が優しく聞こえたことはない。
働く仲間が歌った歌。記憶にしみいるいい歌だった。
事務長のOさんや保護者の方があいさつで声を詰まらせていたが、胸に暑いものがこみ上げてくる竣工式だった。
あいさつの中に自立支援法への不安が少しずつにじみ出ていた。厳しい環境、厳しい条件。障害者と障害者運動を苦しめる制度。自立支援という言葉がパラドックスのように響く。
晴れやかな祝いに日なのに、自立支援法が目に前に立ちはだかって、不安を残した船出となった。


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かつらぎ・発見伝

Posted by 東芝 弘明