「どんぐり小屋」の展示会 2006年5月4日(木)

かつらぎ・発見伝

朝、6時30分すぎに広浦にある「どんぐり小屋」で陶磁器と木製のお盆やお椀を見せていただいた。5月3日〜7日の日程で向井博之さん(木製品)と内田有二さん(陶磁器)の展覧会が開かれているものだ。陶磁器は、備前焼に少し似た磁器、信楽焼のような作品、緑色の味わい深い作品などが並べられていた。驚いたのは、さまざまな焼き物すべてが同じ人の作品だったということだ。
内田さんは熊本県出身の陶芸家で、縁あってかつらぎ町に移住されてきた方だ。
かつらぎ町で焼き物を営んでいる人は多い。移り住んできた人も何人かいる。わが町は起伏に富んだ地形をした町で、山のかなり高いところにも家が構えられているので、焼き物をするのに条件がいいのかも知れない。
陶器や磁器がかもし出す空気が好きだ。気に入った作品を見ると、妙にまわりの空気が表情をもっているように感じる。空気に流れがあるような感じ。空間との調和とでもいえるだろうか。そこに光が加わると陰影が見る角度によって違うので複雑な表情が見えてくる。見ていて飽きない焼き物に出会うと印象が長く記憶に残る。
木製品は、木の匂いを部屋の中にあふれさせていた。
「森林浴みたいでしょう」
招き入れてくださった奥さんがそう語りかけてくださったのが印象的だった。
木をそのまま磨いて底を平らにし、お盆の形に整えたものには、何だかホッとさせてくれる暖かみがある。
朝からいい作品を見せてもらったので、気分が良かった。
焼き物の中でも備前焼が好きだ。釉薬を塗った作品の中にも好きなものはたくさんある。そちらにはそちらの良さがあるので比較するのは困難だ。おそらく備前焼が好きだというのは、個人の好みに属する問題だ。
ぼくの場合、備前焼に、光と陰がより豊かに宿るように感じている。焼くのは登り窯。釉薬を一切使わない備前焼は、薪の燃える力によって焼き方に微妙な変化が出るらしい。作家の努力の先に、手の届かない領域に、炎と土の共演と競演、饗宴があると思われる。釜の中での火の変化には、まさに一期一会のような変化があるらしい。炎の変化は焼き上がった陶器に複雑な陰影を与える。ここには人間の手の届かない領域がある。
展示を見ていると1つの記憶がよみがえってきた。
以前、和歌山市の近鉄百貨店で、備前焼の展示会があった。1つの壺に心惹かれて飽きずに眺めていると、ぼくのとなりで同じようにその作品を静かに眺めている男の人がいた。
「そろそろ行きましょうか」
お連れの人が声をかけると男の人がこう言った。
「これを見ていると飽きない。今日はこれ1つでいい。いつまでもこの壺を見ていたい」
ぼくは、その声を聞きながら、通じるものを感じてうれしくなった。
10時からは、治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟の方と一緒に会員まわりをした。11時前に出発して5人をまわり、訪問を終えたのが1時45分頃だった。
訪問の途中で北山の高台に登って下界を見ると、景色がきれいだったので何だかのどかで幸せな気分になった。
事務所に顔を出したのが3時40分頃。ビラ配りの地図を作成し、コーヒーを飲んだ後、集金に行った。
「20日はもつから」
そういって友人は卵を10個くれた。単車でカゴに乗せても割れないように袋をいただいて帰った。集金に行くとさまざまな人から色々な物をいただく。優しい気持ちをいただくという感じだ。
9時を回ってからウエストコーストに立ち寄った。カウンターに同級生夫婦が座って遅い夕食を食べていた。
昨日、和歌山の実家に帰ってきて、明日横浜方面に帰るのだという。
ゴールデンウイークの民族大移動の一組がご飯を食べている。
思わぬところで久しぶりに会えたのでうれしくなった。
夫婦2人、相変わらず仲がいい。


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かつらぎ・発見伝

Posted by 東芝 弘明