かつらぎ町教育委員会のオンライン学習の準備って?

雑感,出来事

教育委員会によるオンライン学習の準備が進められています。9月3日までに契約してほしいという通知がWi-Fi環境のない各家庭に配布され、月額3850円の負担がいるという通知でした。聞き取りに行くと要保護、準要保護の家庭は、教育委員会が業者と契約して無償貸与するという新しい話が出てきました。この文書は後日配布すると言っています。このようなやり方も極めて不親切です。どうして最初からその趣旨を通知しなかったのか。この辺のところもまだよく分かりません。以下は、昨日聞き取りをさせてもらったことを踏まえて、ぼくが考えていることを書きました。Facebookへの書き込みのコピーというものです。ご意見があればお寄せ下さい。

聞き取りに行ってきました。要保護、準要保護の家庭は、無料にするようです。しかし50人程度は有料になるようです。

今回、契約を急いでいるのは、学校を休校にしなければならない事態に備えて、今から準備をしたいということです。9月は試験的に活用を開始するということです。
しかし、本当に小学校の低学年、小学生全体でオンラインの授業と双方向通信によるやりとりがきちんとできるのかどうか。授業を見せる方法にもいろいろな形がありますが、カメラを定点に設置して授業風景を見せて、カメラワークはなしという形になると、子どもたちの集中力は維持できないと思います。カメラワークを導入することになると、学校側の負担はかなり増大します。映像配信のできる長けたスタッフが学校に配置されるのであれば(議会の映像配信のように)、子どもが集中できるようになるかも知れませんが、それでも普通の授業よりは、はるかに劣るのは間違いないと思います。
教室にいて、先生の声が肉声で届き、子どもたちの発言が手に取るように分かるというスタイルとオンライン授業とは大きな差があります。子どもの発達段階に対応できるものなのかどうか、これは実際に子どもの前に立っている教員の研究なしには、進めるべきではないと思います。
そういう教育的な準備は、ほとんどできていないと思います。中学生でも対応できるかどうか。一番大切なのは、教育が本当に成り立つのかどうかということであって、いち早くオンラインの環境を整えることではありません。
双方向の通信は、マイクロソフトのチームスで行うということです。こちらの方のハードルは、オンライン授業を見るのとはちがった別のハードルがあります。子どもがどうしても機器を操作する必要が生じます。これが全ての子どもにできるかどうかという不安があります。
いま、学校のなかで多くの子どもたちが、早く進む授業についていけない状況にあり、なかなか学習がきちんと積み重ならない状況にあります。その中で小中学校でオンライン授業を開始したら、より一層ついて行けない子どもをつくってしまう可能性があります。教職員の声や子どもの実態に本当に合致しているのかどうか。ここがものすごく心配です。新しいものに飛びつくのではなく、子どもの発達と学習にとって本当にいいのかどうか、丁寧な研究が求められます。

そういう上に立って技術的なことも書いておきます。子どもが持ち帰る学校で貸与しているタブレットは、子ども用にフィルタリングをかけているので、学校から配信すること、学校によって使用が認められているものにしか使えないようになっているそうです。そうであるならば、モバイルルーターも全員に無料貸与してもいいのではと思います。自宅にWi-Fi環境のある家庭は、自宅のこのシステムを使うことになります。自宅のWi-Fi環境を活用することが基本なので、どこまで行っても全員が平等という形にはそもそもなりません。
モバイルルーターという教材を活用して、オンライン学習をするという側面はありますが、それよりも重要なのは、義務教育である教育、授業の機会を均等に保障するという側面が今回の事業の中心です。モバイルルーター機器を貸与することによってはじめて教育の機会均等を保障できるのだから、ルーターのない家庭は無償貸与でいいと思います。

町が活用するモバイルルーターは、SIMフリーのもので3キャリアの携帯の回線4Gから最適な回線に自動接続するという優れものなので、かなりつながる可能性は高いと思います。それぞれの家庭のお家の状況によっては、別の民間のサービスを活用した方が料金が安くなるケースもあります。会社によって、実質機器無料とか1円とか、キャッシュバックがあるとか、数年間は実質月2440円とか1700円台とか、さまざまなモバイルルーター環境があります。笠田や妙寺という平坦地であれば、自分で契約をした方が安上がりということも成り立ちます。

自宅にWi-Fi環境のない家庭にとって、月額3850円という負担はかなり重いといわなければなりません。4Gのキャリア(会社)の3回線の最適を自動で選択してつなげるということで、接続の不安はかなり和らぐと思いますが、全ての家庭で安定的に回線がつながるかどうかは、調べて見ないとわかりません。
教育委員会による戸別の調査はできていません。これができていないのに契約を求めているのは、乱暴で急ぎすぎです。山間部になると携帯の電波が届きにくい家庭があります。本当に全ての家庭で安定的に回線がつながるのか。契約をしてつながらなかった場合どうするのか。今のところ、この問いに対する答えはありません。


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雑感,出来事

Posted by 東芝 弘明