ユリイカで「ハウルの動く城」を読む

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買ったまま読んでいなかった「ハウルの動く城」の特集を組んでいた「ユリイカ」を読んでみた。
あいかわらず、記号論的な評論が多いので、読んでいると妙に面白くなってくる。
ある評論は、「千と千尋の神隠し」と「ハウルの動く城」が酷似していることを一生懸命分析していたり、「ハウル」が「終わらない文化祭前夜」の系列に入る作品だといい、作品の最後で、別れも旅立ちも描かれずに床板一枚になった動く城の上で、みんな仲良くしているところを指して、「元祖オタクの巨大な歪みが垣間見える」と書いたりしていた。
しかし、こういう自分の主観で強烈に作品を分析し、共通の符号を探して一生懸命持論を述べるような評論のなかで、明らかにこの系列に属さない、目を見はるような指摘や評論もある。
面白いなと感じたのは、脳科学者の茂木健一郎さんの「文脈に抱かれ、自由を夢見ること」という評論だった。
宮崎駿の作品に出てくるトトロの「まっくろくろすけ」や「もののけ姫」の「こだま」などを子どもたちが見ても、違和感を感じないで日常の延長と同じ感覚でそれらを見るのではないか。──茂木さんは、こういう考え方を示していた。子どもは、この世の中にすべての事象を理解して向き合うのではなく、未知のものとして向き合っていく。子どもの目にこの世の中はどういう風に映っているのだろうか。
宮崎駿さんは、この子どもの視点をよく知っている作家として、作品世界を描いているというような指摘だ。この視点は、非常に面白いものだなあと思った。
こういう評論を読むのは楽しい。


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Posted by 東芝 弘明