やっと帰ってきた

雑感,出来事

朝7時30分にホテルを出て、新山口駅8時11分発の新幹線に乗ることにしていた。ただしアナウンスによると自由席の乗車率は90%だったので、座れるかどうかは不確かだった。それでも駅のホームの一番前で新幹線を待った。すると10分後の8時21分発の臨時新幹線があることがアナウンスされた。駅員に聞くと、こっちに乗れば確実に席に座れるというので乗るのを遅らせて。この臨時便に乗車した。3人の席は十分に確保できたので安心した。1時間近く順調に新幹線は新大阪を目指した。
「よかったね」
「10分遅らせて正解やった」
こう言って、iPadで見逃していたテレビドラマを見始めた。すると
「静岡から○○の当たりで激しい雨が降り、新幹線の運行を見合わせています。この関係で当列車も倉敷に一時停止し、運行を見合わせます」というアナウンスがおこなわれた。
岡山でも長時間列車が止まった。仕方がないので、妻と娘が1階の駅構内にあるコンビニまで行ってお昼ご飯を買いに行った。
「これが最後の冷やし中華だった。ラザニアもこれが最後だった。私がレジで待っている間に振り返って棚を見たら、もう何もなくなっていた。おにぎりは既に売り切れやった」
娘は驚きながらそう言った。
「もうパンもなかったで」といって、もこもこした白いチョコレートパンを目の前に差し出した。
新神戸についたときにはホッとしたが、ここでも「前に列車があるため一時停止します」というアナウンスがあり、「まもなく新大阪です」と言いながら信号待ちで待たされた。博多─新大阪間は折り返し運転に入っていたが、駅に入った長い16両編成の新幹線をdockにいれ、さらに上りから下りに切り替えてホームに入れるためには、かなりの時間がかかるようだった。ぼくたちの前に何本新幹線やこだまがあるのか分からなかったが、駅の手前でもずいぶん待たされることとなった。8時21分新山口駅発の新幹線は、6時間以上かかって2時30分ぐらいにようやく新大阪駅に到着した。

駅の改札口は人で溢れかえっていた。3人は自動改札に乗車券と特急券を入れて改札の外に出た。娘の特急券だけが改札機からはじき出され、娘が見ると払い戻しという赤い字の打刻があった。
「お父さん、これなんやろ」
歩きながら娘はそう言って、怪訝そうだった。難波行きの地下鉄に乗り、移動中に娘は特急券の払い戻しを検索した。
「特急券は、2時間到着が遅れたら払い戻しを受けられるんやって」
そう言うので、難波に着いてからJR難波駅のみどりの窓口に行き、長蛇の列に並んで駅員に話を聞いた。
結局、新大阪駅に行って、人のいる改札口で話をしてから特急券を探してもらう必要があるというので、3人で新大阪に戻ることにした。

しかし、新大阪駅はぼくたちがついた頃以上と思えるほど混雑していた。
「疲れた。もう諦める」
娘がつぶやいた。
「諦めるか」
「諦めよう」
そう会話して、もう一度難波駅に行くために地下鉄に乗った。このために2時間以上を費やした。
結局、林間田園と市駅行きの急行に乗ったのは5時24分だった。6時10分に駅について、親戚のマンションの駐車場に止めていた車に乗り込み、丸亀製麺で夕ご飯を食べ、自宅に到着したのは午後7時だった。ほぼ12時間、一日中、移動のために動いていたことになる。

「1日、帰りが伸びたので、もう少し山口で遊んで帰るか」
という案を却下して、できるだけ早く帰ろうという判断をしたのがよかった。あと1時間出発を遅らせていたら、新幹線に乗れていたかどうか。乗れたとしても何時に新大阪に着いたんだろう。これを考えると恐ろしかった。

台風7号は、通過した後、湿った空気を吸い込むようにして鳥取県や静岡県、岐阜県などに大雨を降らせた。地球温暖化は、気候の変動を伴いながら気温の上昇を引き起こす。その結果、大気が不安定になり、台風の進行を遅らせたり、そのまわりに大雨を降らせたりという、今までの判断を狂わせるような現象を引き起こしている。誰が通過した台風の影響で日本各地に記録的な大雨をもたらすのを予想できただろうか。
JRは、14日に早々と台風7号の通過に合わせてすべての新幹線の計画運休を発表していた。この対応によって15日は、混乱をすべて回避し16日には台風が通過した後になるので、全線通常通り運行するとアナウンスしていた。したがって東に行く人も西に行く人も安心して16日の新幹線に集中していた。この時点では、誰もが順調に移動できると信じていたのだと思う。

それでも専門家は、今回のJRの対応を検証すべきだと言っていた。それはその通りだと思う。今回のような事態は今後も温暖化の中で起こると思われる。今後の対策のためにも検証は必要だろう。
これと同時に、日本は地球温暖化が一体どういう現象を引き起こすのかということを、鮮明に明らかにする責任があるだろう。毎年梅雨の時期から記録を塗り替えるような災害が発生し、台風による被害も拡大している。日本の温暖化対策が、本当にこれでいいのかどうか。問われている問題の一つはここにもある。2030年までにCO₂の削減を2013年比の46%(国際基準である2011年比では42%)では不十分だということを認めて、計画を作り直す必要がある。

温暖化対策に対して、国がアナウンスをしないことの方が問題が大きい。


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雑感,出来事

Posted by 東芝 弘明