再び「ウェブ進化論」に寄せて

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グーグルという会社は、5000人の従業員がいて、仕事の20%は新しいプログラミングにあてなければならないのだという。5000人の従業員がすべて情報を共有し、1人が立ち上げた新しいコードに価値が見いだされると多くの従業員が関わってきて新しいコンテンツや技術を確立していくという。仲間の注目を集めるコードが良いコードであって、注目が集まらないものは淘汰されるのだという。
ここには、アメリカ人の特徴がよく現れている。
アメリカでは、オープンソースのもとで見ず知らずの方々がネット上でつながり、仕事をおこなえば、より良い方向に進化するということが強く確信されているという。肯定的に物事をとらえるのは、日本の文化との違いであるかも知れない。
アメリカに暮らしていた友人が、しみじみと語ったことがある。
アメリカの学校は、ボランティアが盛んだった。積極的にボランティアをおこなう人とそうでない人がいたが、アメリカ人は、ボランティアをしない人を一切責めないという。
「あの人はよくやってくれるが、この人はやってくれない」などという人物評価が出てこないらしい。アメリカには日本人学校もあり、そことも関わりをもったが、こちらの世界は、アメリカの中にある日本という感じだった。ボランティアをおこなわない人は責められるし、クラスでパーティーをやりたいと申し出ると、全体とのバランスを問題にして、1つのクラスでやるのは難しいという返事が返ってくる。一方、アメリカの学校では、そんなバランスなどは考えない。
アメリカ人の人格攻撃をしない風潮は、子育ての中心的な考え方にも根をはっているらしい。子どもの失敗への対応は、「あなたはいい子、この点をもう少しがんばったらもっといい子になる」──こんな感じになるというのだ。根本的に人間を善だととらえる考え方がここには横たわっている。
今日は、日本のウキペディアにIDを設定してログインしてみた。ログイン後、ウキペディアの状況を把握しようとすると、記事をめぐってのバトルが展開されており、「保護を求める」、「保護の解除を求める」、というやり取りが多く、また書き込み合戦が盛んにおこなわれているようだった。みんなが協力していいものを作り上げるという感じから離れてしまって、困っている感じも見受けられた。ぼくには、どれぐらいの比率でそうなっているのか分からない。こういうバトルが少ないことを願いたい。
日本人は、すぐに人間性や性格に論及しその人物を否定したりする。
本人のいないところでの会話は、日本の場合、ものすごくリアルな人物評価と人格への批判だったりする。Blogや掲示板にもそういう傾向が現れたりする。
多くの人の協力を得たら、より良い方向に発展するという哲学に支えられていれば、人格攻撃などはおこなわれないだろう。グーグルという会社は、この哲学の上に成り立っている。──「ウェブ進化論」はこう書いている。
オープンソースへの協力によっていいものが生まれる──この考え方はおもしろい。
アメリカのBlogは、本名で作成されているものが多く、人格攻撃などは起こらないらしい。
人格攻撃や人物への辛辣な評価を、本人のいないところでおこなうから、会議を公開できないのだ。辛辣な人物評価をおこなわない会議なら、誰に公開しても不都合なことはない。
みんなが力を合わせればより良いものが生まれてくる。人格攻撃をせずにこの考え方を信じて動く──アメリカがこういういい面をもっているのであれば、ここからは、たくさんのことを学びたい。

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Posted by 東芝 弘明