アベノミクスの真実は統計にあり

経済

「しんぶん赤旗」の山家悠紀夫さんの上下のアベノミクスに関する記事が分かりやすかった。
統計の指標を軸に経済の動きを見ると、アベノミクスの前から少し、大企業を中心に賃上げが始まり、アベノミクスはこの傾向の中で始まったようだ。野田政権の末期の12年12月から始まった景気回復は、13年1月から3月までが前期比実質1.4%、以降0.8%(4月から6月)、0.6%(7月から9月)、10月から12月は0.4%減と下がっている。
14年になると悲惨な状態になってくる。1月から3月期が駆け込み需要があったので、1.6%増、4月から6月が駆け込み需要の反動もあって、マイナス1.9%、7月から9月がマイナス0.4%となった。年単位で見ると野田政権の最後の1年である12年が1.5%の経済成長率、安倍さんの1年目の13年が1.5%だった。あれだけ鳴り物入りでアベノミクスを持ち上げても、野田政権時と同じ経済成長率を実現しただけで、14年は、このままだと実質GDPはよくても0%前半になると見られている。

サラリーマンの賃金はどうだろう。山家さんはこの視点も欠かさない。民主党の野田政権の最後の年、サラリーマンの家計収入は、名目で1.6%伸びた。12年の実質収入は、物価が横ばいだったので、実質収入も1.6%増となっている。
安倍政権に替わった13年はどうか。
1年目の13年の家計収入は、1.0%増となった。野田政権の前年よりも、伸び率が下がっている。円安によって物価が上がったので13年の実質収入は、0.5%にしかなっていない。14年の直近のサラリーマンの家計収入は、今年の7月から9月の指標から見ると名目で2.1%減、実質で5.9%減となっている。

現在始まっている不況は、円安と消費税増税(5%を8%に)によって、消費が冷え込んだところに原因がある。
この中で企業の実績はすごい。13年度の全規模法人企業の経常利益の総額60兆円は、リーマンショック前の06年度、07年度の54兆円を大きく上回っている。大企業だけが儲かって、庶民の暮らしは、円安と増税によって苦しめられているという姿が見えてくる。

これはいったいどういうことだろうか。アベノミクスとは一体何なのか、これらの統計は、この問題が根本的に問われているものだと言わなければならない。景気は明らかに後退局面に入っている。これが見えてきたので消費税10%増税をあきらめざるを得なかったというのが現在の局面だ。
アベノミクスは、量的金融緩和をおこなって、日本銀行が市中銀行に74兆円にのぼる資金提供を行っている。これにもかかわらず、民間銀行の貸し出し額は12兆円にしかならず、「民間消費も設備投資もほとんど増えなかった、景気はよくならなかった」(山家さんの指摘)ということだ。
「世界で一番企業が活動しやすい国」をつくると言うように、アベノミクスは、一部の企業にのみ恩恵を与えている。

経済全体が成長していないのに、アベノミクスを持ち上げてきたマスコミの責任も大きい。日本のマスコミに比べ、海外のメディアは事態をよく見ている。英紙ガーディアンは、「4月に消費税を5%から8%に引き上げたことが、個人消費を弱め、景気悪化へ逆戻りさせている」と書いている。


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Posted by 東芝 弘明