1年をふり返って

雑感

さて、12月31日。一年を振り返りたい。
今年は、かつらぎ町議選挙があるので、構えて正月を迎えることになった。昨年末は、特定秘密保護法が可決成立したことを受けて、「ここ数年、日本の進路が問われる数年間になる。危機と展望が入り混じりせめぎ合う時代の中で、精一杯たたかいたいと思う」と書いた。
この情勢は、基本的に変わらない。

12月、安倍政権は、解散総選挙を行った。アベノミクスを争点にして選挙をたたかったが、鎧の下に隠した剣には、憲法改正や集団的自衛権行使などがあった。この隠し持った剣を抜いてたたかった政党があった。それは次世代の党だった。この党は選挙で惨敗した。
安倍さんの心底実行したい計画は、真正面から掲げると国民の支持を得られない、ということを次世代の党の惨敗は物語っている。

日本共産党は、アベノミクスだけでなく、選挙の争点には、消費税増税の是非や憲法改正、集団的自衛権行使、原発再稼働、沖縄基地問題などがあることを訴え、対案を示しながら選挙をたたかった。日本共産党は議席を2.6倍にする躍進を果たした。次世代の党が惨敗し日本共産党が躍進したところに日本の情勢の一つの特徴がある。
国会が始まると次第に日本の進路をめぐる問題が、日本の最大の焦点となって争われることになっていく。もちろん、政権の基盤を揺るがす最大の問題は、経済の行方だろう。日本経済の失速状態は、年明けになると目に見えて鮮明になる可能性がある。アベノミクスの破たんは、経済の現実によってあからさまになる可能性が高い。

国民主権と国家主権、恒久平和、基本的人権、議会制民主主義、地方自治。この5つの原則を日本共産党は守りたいと考えている。これは、戦後の原点とも呼べるもの。日本共産党は、この原点を守ることが、21世紀の希望を開くものだと考えている。原点を守るということは、守りのように見える。この保守的な態度が、未来への希望と現在の革新につながるところに深い意味がある。
改革という言葉が、ここ数年もてはやされてきたが、構造改革をはじめとした勇ましい改革論は、新自由主義的な色彩を帯びた、反動的な改革だった。改革だと言って規制緩和が進む中で、日本社会に広がったのは、格差と貧困だった。

地方自治体は、貧困が広がるとともに衰退傾向に拍車がかかっている。
今日、山手の集金に行くと、質問が飛びだした。
「東芝さん、かつらぎ町は本当にもつかい?」
「どういうことですか」
「あと20年もしたらこの地域も限界集落になる。農業で飯は食えんこともないけど、贅沢をするとか、休みがほしいとか言いだしたらとてもやないけどそんなことはできん。年に2回ほど道に落ちた枯れ葉をどけなあかんし。若いもんにそんな苦労はむりやし」
農業に未来を感じない話が、農家の中から出てくる。生活にゆとりができるほどのものにはならない、めしがくえん、こういう話が蔓延している。
昨日は、別の農家から、
「最近は、耕作ようせんのでつくってくれやんか、というと、断る農家が増えている」という話が出てきた。少し前までは、耕作を頼むと引き受ける傾向にあったのに変わってしまったという話だ。

耕作放棄地が年を追うごとに増え、生産量が減り農家が減少している。こういう状況なのに役場の中には、ひりひりするような危機感はない。もちろん、危機感だけでは事態を打開できないのだけれど、衰退している状況に対し立ち向かうことなしに衰退は止まらないことは明らかだろう。

「日本は、本当は資源の豊かな国。資源は農林水産業にある。もう一つ、田舎を再生するためには、医療と介護にうんと力を入れればいい。そうすれば、お年寄りも多いけれど若者も多い地域はできる。こういう方面を徹底的に傷つけながら地方創生だといってもうまく行かない」
ぼくはこういう話をした。
大企業中心の政治が、農林水産業の破壊につながり、2000年に入ってから本格化した構造改革が社会保障を破壊してきた。この政治をさらに推進するのがアベノミクス。このアベノミクスを推進しながら地方創生だというのは、鍋の底をぶち壊しながら水を注ぐようなもの。そんなことをしても水は満タンにならないし、お湯を沸かすことはさらさらできない。

それでも、現実の中で一生懸命展望を切りひらくために、地域の活性化に取り組むべきだと思っている。根本的問題をたえず見すえながら、自分たちの足元からできることを実現していく。矛盾の中で悪戦苦闘することが、地域で生きるということであり、具体的な努力の中に喜びや共感がある。私たちは、日本の大状況を根本的に変えるような力は持っていない。理由は簡単。政治と経済の中心に私たちはいないからだ。
日本社会を根底から動かしている経済の大きな力は、地域にも作用して、破壊を進行させていくのだけれど、矛盾のかたまりの中で苦しんでいる地域にこそ、現実を変えなければならない理由があり、日本を変革すべき根拠がある。
日本的な規模で考え、地域から行動を起こしていく。ここにこそ豊かな創造力があり豊かな人生がある。
田舎の現実に向きあいながら、ときどきは大都会にも出て、社会の変化を肌で感じたい。都市と農村。この対比の中で新しい1年は、新たな努力をしたい。

ブログをお読みいただいたみなさん。1年間ありがとうございました。
ぼくのとりとめのない、行き当たりばったりの、自分の思考錯誤のかたまりのようなブログにお付き合いいただき、誠にありがとうございました。思考を深めるために書いた文章は、読み手にとっては非常に読みにくいものだったと思います。
「長い」「難しい」という話も聞きますが、ここで書いたことが、色々な人との会話に生きていることを深く感じています。書くことは思考を深めることに直結しています。自分のものの見方や感じ方を深めるために、これからも10年を超えていくこのブログを書き続けたいと思います。
読んでいただく相手のことに心をくだいて、文章を書けば、もっと読みやすくなるのだと思いますが、自分の文章修業のために始めたこのブログで、確立したスタイルは、自分の思考を深めるために書くというスタイルでした。
読み手のために書こうという意識を持とうとしてきましたが、なかなか出来上がったスタイルを変えることができません。新しい1年は、読み手を意識して書く、という努力を自分に課したいと思います。
エッセイ風の記事があったり、論評したり、詩を載せたり文学論があったりとさまざまな「日々雑感」ですが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。


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雑感

Posted by 東芝 弘明