アメリカの戦争に自衛隊が参戦する日がすぐそこに

雑感

irakusennsou

戦争法について、文献を読んでいる途中。『すっきり!わかる集団的自衛権Q&A』(浅井基文著)を読んでいると、恐ろしくなってくる。
小泉内閣の時に日本はイラク戦争に賛成の態度を取った。このとき、アメリカが国連を含め、世界に訴えたのは、テロとの戦いで急迫な事態になっている時には先制攻撃も許されるべき、それは先制的自衛権だと主張した。このようにして始まったアメリカとイギリスなどの有志連合によるイラク戦争に対し、日本は賛意を表明し、いまも正しかったという態度を取っている。
日本は、イラク戦争の時にサマワに自衛隊を派遣し、アメリカ軍の支援をおこなった。このときの日本は、集団的自衛権行使容認という態度を取っていなかった。したがって、海外での戦闘行為はできないという憲法9条を守らざるを得なかった。つまり、集団的自衛権は行使できなかった。
今後は、安倍政権によると、集団的自衛権が行使できるようになる。

では、イラク戦争と同じような戦争が起こったときに、日本はアメリカの戦争に集団的自衛権を行使して参加するのかどうか。
アメリカとイギリスなどの有志連合によるイラク戦争は、国連によって自衛のための戦争ではないとされた。事前防衛のための攻撃は許されるという一部の議論は、国際的にも存在するのだという。しかし、イラク戦争は事前防衛ではないとされた。アメリカは、イラクのフセイン政権は、大量破壊兵器を持ち、テロ集団(アルカイダ)とも深い関係にあると主張した。日本は、アメリカの先制的自衛権という国際的には認められなかった主張に賛意を表明し、自衛隊をイラクに派遣したということだ。
この経験に照らすと、国連の承認がなくても、日本がアメリカの要請を受けたらイラク戦争型の先制攻撃の戦争に、集団的自衛権を行使して参加する可能性が出てくる。そのときに検討されるのは、集団的自衛権行使の3要件だ。
3要件は次のとおり。
1 我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
2 これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
3 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

アメリカのテロとの戦いが、我が国にとっても「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」だと判断すれば、自衛隊はイラク戦争の兵站活動に入ることになる。判断するのは国民ではなく政府だ。厳密に言えば国家安全保障会議が判断することになる。国会の承認が必要だということだが、国会承認というのは、過半数の承認だろう。自民党と公明党の賛成で、自衛隊はイラク戦争に参加することになる。

日本国民の感覚では、イラク戦争が「国民の生命や自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」だとは思えないだろう。
アメリカの側はどうだろう。アメリカは日米ガイドラインで集団的自衛権行使にもとづいて、日米同盟が切れ目なく機能することを具体化した。イラク戦争の時に自衛隊はサマワまで来たが、戦場とリンクしている基地などでの兵站活動(後方支援)は実現できなかった。集団的自衛権行使を宣言し、ガイドラインを作り直したのだから、今度からは兵站活動に参加してもらえる。これがアメリカの言い分だろう。アメリカは、9.11のテロを受けてから、イラク戦争もテロとの戦いであり、専制的自衛権があるといい、自衛戦争だと主張し、有志連合をつのって戦争を仕掛けた。ここに日本が参加するのは当然だということになる。
日本の国内で言っている3要件によって、自衛隊を派兵しなかったら、イラク戦争の時には自衛隊が出てきたのに、集団的自衛権を行使できるようになったら、出てこれなくなったということになる。アメリカにとっては、こんな奇異なことはない。

3要件はいかようにも解釈できる。国際社会が先制攻撃は許されないといっても、実際はアメリカの要請によって、自衛隊が戦争に参加することになる。

今日のアクセス数は12720だった。自分でも驚いた。


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雑感

Posted by 東芝 弘明