たたかいこそ、歴史の教訓を引き継ぐ母なる大地

雑感

第2次世界大戦当時、日本には国民主権がなく、戦争に反対することはできなかった。男子は赤紙が来たら有無を言わさず徴兵され、皇軍の命令には絶対の服従を誓わされた。戦争への思想動員は、国民生活の隅々にまで張り巡らされ、国民は相互監視の関係に置かれていた。教育は、国民を戦争に駆り立てるものになり、軍国少年や軍国少女が教育によってつくられていた。

第2次世界大戦に日本が敗北して、はじめて国民主権が実現し、恒久平和と基本的人権が永久の権利として保障された。
日本国憲法の原則が、戦争の敗北によってもたらされたものであること、「もう二度と戦争を繰り返してはならない」というのが、戦後の原点であり、この原点に従って憲法が生まれ憲法9条が誕生した。

この戦後の原点をどう若い世代に引き継いでいくのか。
これは、非常に大きな課題だった。
日本の平和教育や運動には、「戦争体験を聞く会」のようなものが多かった。これは、実際に戦争を体験した人を語り部として、戦争の実際の姿を学ぶことによって、戦後の原点や憲法9条の大切さを学ぶというものだった。
しかし、戦後70年が過ぎ、戦争終結時に20歳だった青年は、90歳になった。戦争体験を聞き平和の尊さを学ぶという方法は、限界に近づいていた。
そのような中で、第2次世界大戦に至る日本の戦争を「アジア解放の戦争だった」というような、当時日本政府が語っていたごまかしを、いかにもそこに真実があるかのように捉える「右傾化」が強まってきた。

こういう状況のもとで、歴史の教訓、戦後の原点を受け継いでいくためには、歴史を文献から学ぶ以外にないという思いを強めていた。
この課題は、なかなか困難だった。若者をこういう学習運動に組織するにはどうすればいいのか。なかなか具体的な運動は提起できなかった。
しかし、状況は一変した。
現在の安全保障法案に対する反対運動は、若者に戦後の原点をどう伝えるかという課題を一気に実現した。戦争の危機が強まる情勢下で、多くの若者が、自分たちの未来の問題として戦争を捉え、自分の皮膚感覚で立ち上がっている。
「憲法を守れ」「憲法9条を守れ」
これが、老若男女の共通のスローガンになっている。国民の怒りに満ちたたたかいが、歴史の教訓を若い世代に伝えている。
こういう形で、歴史の教訓が受け継がれている。自分の中にそういう思いが大きくなっている。
戦争反対のたたかいは、弁護士が語っているように基本的人権を守ることと不可分一体のものだ。
21世紀の未来を切り開くのは、国民の自覚的な運動だ。この運動こそが、平和と民主主義を生みだす母なる大地だと思われる。


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雑感

Posted by 東芝 弘明