治安維持法国賠同盟の総会

出来事

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午前11時から橋本市で治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟(治安維持法国賠同盟)橋本伊都支部の総会が行われた。ぼくは、メールで送られてきた講演のレジメと資料を持って、開会5分前に会場に着いた。今回の総会で副会長に選出された。事前に本人に了解があった?訳ではなさそうだった。
総会は1時間で終わり、12時から会場でお弁当を食べた。講演の講師は、有川功さんだった。治安維持法国賠同盟大阪本部の会長を務めている方だ。
「誰か良い講師はいませんか」
という会議での問いかけに対し、大坂の有川さんを紹介したのはぼくだった。
今日の総会には、来賓として鶴田至弘治安維持法国賠同盟和歌山県本部の会長さんも参加されていたので、和歌山と大阪の府県本部の会長の両名が参加する異例の総会となった。
27歳になったばかりの冬、吉井英勝さんが初めて参議院補欠選挙に立候補し、当選した選挙があった。ぼくは、この選挙のときに20日間ほど大阪河南地区委員会にオルグに行き、富田林のみなさんと活動をともにさせていただいた。そこで富田林の市会議員の有川さんと奥田さんにお世話になった。当時、有川さんは富田林市議会の副議長だった。有川さんとの出会いは忘れられないものになった。当時、富田林の日本共産党市委員会は、外環の昭和町2丁目の近くのビルの3階(だと思う)にあったと記憶している。ぼくが30歳でかつらぎ町議会議員に立候補したとき、有川さんはかつらぎ町まで応援に来てくださった。街頭演説に同行し、東渋田の家並みを見た有川さんは、「いい景色やなあ。見ていて飽きへんわ」と言った。古い町並みに対する有川さんの思いは深かった。
今年の5月27日、有川さんに会いに富田林に行った。25年ぶりの再会だった。富田林の寺内町を保存する上で有川さんが果たされた役割は非常に大きい。寺内町の案内をしてくれたことは、ぼくにとって今年の大きな収穫の一つになった。
講演の最初に講師である有川さんを紹介させていただき、ぼくとの出会いについても説明させていただいた。
「治安維持法と戦争法」──テーマはこういうものだった。

戦前の日本の姿について、少しずつ、ぼくなりの認識を深めている。当時の日本は法治国家とは言い難い旧社会(封建時代)の母斑を色濃く残している、というのが次第にぼくの認識になりつつあるが、今日の有川さんの講演の冒頭もそういう感じがした。大日本帝国憲法が制定されたのは1889年。明治維新から21年が経過している。憲法のなかった明治の20年間は、農民一揆を弾圧したり、自由民権運動を弾圧するかなり激しくも野蛮な時代だったようだ。弾圧法にも歴史があることを有川さんは紹介された。
憲法制定以降も、日本は憲法に基づかない国の体制、仕組みがたくさんあった。成熟した法治国家でない日本。成文法に基づかない部分がかなりを占めていた日本は、戦争への暴走をくい止める仕組みをもたなかったともいえる。
日本の弾圧法の画期となったのは1925年の治安維持法だろう。国体を変革するものは死刑もしくは無期懲役となったこの法律は、国民主権を求めることや侵略戦争に反対を唱えることを徹底的に否定した。民主主義の世の中を作ろうとする運動を、国体の変革者として弾圧の対象にしたこの法律は、そういう思想を持つこと自体を禁じるものだった。

1時間10分の講演の後、質問が行われ質疑応答になった。次第にいろいろな質問が出され、話は治安維持法国賠同盟の運動をどう発展させるのかという方向に向かっていった。和歌山県本部も大阪府本部も歴史教科書をテキストにして集団で学習会をしているという話が出た。日本の歴史を多方面で修正しようとする勢力の運動が強まっている中で、歴史を学び直すことの意味は非常に大きい。
有川さんは、「国賠同盟の運動の目標には明確な実利・実益がない。そこが他の団体との違いです。それだけに歴史を学ぶ、学習する意味は大きいと思います」と話された。話を聞きながら若い世代に伝えるために、学習運動とともに「戦争に反対した人々展」(仮称)のようなものを開きたいと思いはじめた。治安維持法の紹介や弾圧された人々の紹介、写真パネル、抵抗した文学、手紙、こういったものを多面的重層的に展示すれば、なかなか見応えのある展示ができるように思う。国賠同盟の中央本部にこういうパネルを作ってもらいたいな、という気持ちが湧いてきた。
総会を締めくくると4時前になっていた。大阪府内の運動と和歌山の運動との交流のような感じもした。なかなか充実した1日だった。

有川さんには、お疲れ様でした、ありがとうございましたと心からお礼をいいます。またお会いできる日を楽しみに。


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Posted by 東芝 弘明