9月議会が終了した。

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議場からは、西側の景色と東側の景色がよく見える。東側の景色の中には郵便局も国道もよく見える。外の世界の音は、議場の中に入ってこないので、パトカーや消防車などの緊急車両でないかぎり、国道を走る車の音も聞こえない。
冬に近づいて来ると、夕方の景色は、真っ青な世界となる。この独特の青い世界は議場からしか見えない世界でもある。
不思議なことに、9月議会のまだ暖かい季節には、この青い世界は現れない。薄暗くなって、時間とともに景色が闇の中に姿を隠すだけだ。
6時をまわるとすっかり暗くなり、議場が暗い世界の中に浮かび上がるような感じになった。
最後の議案は、新過疎法にもとづく計画書の採決を求めるものだった。
「如何にして過疎を克服するかが問われている。これはそのための計画だが、まだ計画に書かれていることをどう実行するのか、魂が入っていない」
ぼくはこういう趣旨のことを指摘しながら質疑をおこなった。
夕方、6時20分を回っただろうか。町長の壇上における散会にあたってのあいさつが終わった。
「これにて散会いたします」
議長の宣言が終わると当局側の課長と町長、副町長がいっせいに頭を下げる。これに合わせて議員も頭を下げ、議員はいっせいに自分の名前の入った標識を倒す。
この瞬間、集中していた神経が解き放たれる。
人々の顔には、笑顔がある。安堵感と開放感と疲れが入り交じっているように見える。
議会改選が7月にあったあとの初めての議会が終了した。
今までの議会よりも質疑が多かった。新人議員の声は、議場の中に伸びやかに広がった。それは選挙を通じて、議会に新しい息吹が入ってきたことを示すものだった。
一人の新人議員は、何度かの質疑の中で「答弁は結構でございます」という発言をした。
この質疑のおこない方は誰から学んだんだろう。
そういうぼくも答弁を求めないまま、質疑を終わったことが何度かあった。
ぼくは「答弁はいりません」とはいわなかった。
するとぼくの後を継いで、答弁を求める質疑が2回ほど出た。
一般質問は通告制なので、丁々発止のやり取りも、事前に示されたテーマの中での話になるが、質疑は、議員がどういう角度から問題提起をおこなって迫っていくのか分からないので、一般質問よりも振幅の幅が大きい。
それだけに、緊張感には独特のものがある。
1時間半も質疑をおこなっていると、疲れが出てくるので、議長がタイミングを見計らって10分程度の休憩を入れる。
議場は、台本なしに本質に迫ろうとする質疑のくり返しなので、神経を集中した会議にならざるをえない。議員と町当局が向かい合って、神経を研ぎ澄まして会議を進めていく。数ある会議の中で、これほど精神に負担のかかる会議はないだろう。
もしかしたら裁判に似ているかも知れない。
疲れがあった。自宅で夕食の時にアサヒスーパードライを1缶飲んだ。開放感のあるときのビールはうまい。


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Posted by 東芝 弘明