本の背中

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笠田小学校の校歌について調べていると、南海電車と和歌山線の歴史を知りたくなって、図書館に足を運んで、2つの鉄道の歴史の本を借りてきた。
紀陽銀行史などは、非常に分厚い本が置かれているのに、鉄道の本はものすごく薄っぺらなものだった。なぜ、深い歴史があるのに鉄道の本はうすっぺらいのか。
実は、今日は、この2つの本を図書館に返す日だった。
かわりに浅田次郎さんの小説1冊と石垣りんさんの詩集2冊を借りてきた。浅田さんは、最近、面白さが分かったので、続けて読みたくなった作家だ。「月島慕情」という本の名前が気に入った。東京の月島は、異ぜんNHKの連続テレビ小説で舞台になった東京の下町だ。もんじゃ焼きのふるさとでもある。
石垣りんさんという詩人を知っているだろうか。物静かな語り口の中に、芯の強さのある方で、しかも澄んだ水のごとく物事の中心を真っ直ぐ射抜く目をもっている。静かにやわらかく、強く、弱く。細やかな暮らしのことを語っているのに、現実の大きな問題が鮮やかに目の前に立ち上ってくる。
若い時代、ぼくは現代詩を書いていた。対象を見る目、短い言葉で物事の本質をとらえようとする努力。見つめること、感じることの大切さを知っていたはずなのに、いつのまにか、生活が慌ただしくなり、見つめる力が弱くなってしまった。対象をじっと見ていると、見えてくるものがある。見えてくれば心が動き出す。
石垣さんの詩に触れていると、自分が対象を見つめられなくなっていることに愕然とするが、同時に石垣さんの言葉に心が動いて、自分の中に新鮮な視点が戻って来るような気持ちになる。
さて。
図書館は静かだった。
6万冊の蔵書といえば、多いように感じるが、1人1人の作家の本棚のスペースを見ていると、悲しいほどに少ない。本が少ないということは、豊かでないというのに等しい。
図書館は、人間の第2の脳だ。本には、人間の豊かな知恵が宝物のように詰まっている。本というデータベースを熱心に検索してくれる司書がいて、図書館は、はじめて脳としての役割を果たせる。
図書館が軸になったら、生涯学習は活性化するし、質を高めるに違いない。
そんなことを感じながら、本の背中を見て、図書館の中を歩き回った。
本の背中を食い入るように見つめる。それだけでさまざまな物語が始まる。
なぜこんなに本の背中が好きなんだろう。


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Posted by 東芝 弘明