議会における業務継続計画の考え方

雑感

新型コロナに対して、会社は業務継続計画(BCP)を立てる必要がある。従業員が感染したら、従業員は会社に報告する義務があるというのは当然のことだろう。保健所は、年齢と住んでいる保健所管内の情報と職業等を発表することになる。会社名が表に出るかどうかは、会社次第だろう。しかし、販売店などの場合は、客にも影響を与えているので、会社内での濃厚接触者の調査と検査が必要になり、濃厚接触者についてもPCR検査が必要になる。感染が広がっていなくても、濃厚接触者は2週間の自宅待機となるので、小さなお店の場合は、営業停止にならざるを得ない。
会社が2週間も営業停止になる場合、自ら進んで会社名の公表と休業を明らかにする必要性も出てくるだろう。会社が公表したら、世間に伝わるのでその会社の営業所が新型コロナに感染したことが伝わることになる。こういう場合、初動が肝心だろう。公表しないという判断をしても、公表せざるを得ないということになったら、公表へと踏み切ることになる。公表しない状態から、社会的影響を考えて公表に踏み切る場合、「どうして最初から公表しなかったのか」ということになって、かなりメディアから叩かれることになる。

まだ感染者がいない状況のときに、感染者が出たら公表するかしないかを決めておくことは重要だろう。業務継続計画は、そういうことを想定しながら業務の継続の方策を今から検討しておくことになる。

会社や団体は社会的存在なので、その性格上、公表がやむを得ない会社や団体はある。役場、市役所、病院、大きな介護施設、警察、自衛隊、学校、民間会社でも感染すると社会に与える影響が大きい会社等々は、公表が必要になるだろう。

そのことを入り口にしながら、感染を広げないために濃厚接触者の洗い出しに積極的に協力することが問われる。そのうえで、いかにして業務を継続するか。という考え方を採用すべきだと思われる。

議会でもBCPの計画を立てるところが広がっている。これらの計画の中に、緊急事態になったら議会の窓口を一本化して、行政に対応しようということを盛り込んでいる議会がある。このような申し合わせは、行政が議員の問い合わせによって、対応が迫られ右往左往することを避けたいというところから出てくる。
議会の日程の短縮とか一般質問の自粛も行政の仕事に支障が生まれないようにという配慮から出ている。
こういう対応が真剣に求められるケースはあるだろう。それは災害時でも同じだ。住民への対応を徹底的に集中して行う必要がある緊急時は、議会の開催そのものを見合わせる必要がある。
しかし、これらのケースは、本当に緊急を要するときに限定される。どのような緊急時に議会の開催をしないようにするか。どのような状況のときに議会の短縮を図るのか。一般質問をしないようにするのか。という課題は、かなり具体的な事態を想定した上で考えを出すべきだろう。
むしろ、逆に緊急時だからこそ、議会を開いて行政としての意思を決定し、予算を組んでことに当たる必要性も出てくる。緊急時であっても行政の最終的な意思の決定は議会で行う必要があるということも考えるべきだ。

緊急事態宣言が全国に広がったとはいえ、かつらぎ町などの行政は、まだ非常事態に備えて特別の業務体制に移行している訳ではない。本町で本格的に感染が広がり、感染者へのケアが日常的に必要になり、自治体としても感染者を隔離できる施設を提供するという形をとるなど、まさに非日常的な業務が行われる事態が発生すれば、議会の開催を延期するなどの措置が問われるだろう。その場合、通常の議会は延期されるが、必要に応じて緊急性をもって議会を開く必要性も同時に存在するだろう。

現時点で、業務継続計画の一環として、議会の窓口を一本化して行政に負担を掛けないというような配慮が必要なのかどうかは、意見が分かれるのではないだろうか。
議員の日常の仕事の一つは、住民の要望、要求にもとづいて、行政にその要望を届けながら業務の改善、対応の改善を求めるところにある。行政にとっても新たな事態の下での新たな対応が求められるときに、日々新しい判断と対応が連続的に発生する。こういう緊急時に議員は、住民と行政との橋渡しとして役割を発揮する。行政の言葉の分かる議員は、住民の実情を行政に伝えて、こうすれば願いを実現できるのではないかという具体的提案が行える。住民の困りごとの相談に乗ることを通じて、今ある制度の活用が始まり、事務がスムーズに動き出すことは多々ある。
災害時、避難場所に議員がいることによって、行政との連絡がうまく行って、多くの人の役に立ったという事例はたくさんあった。議員として意見をあげる窓口を一本化するのではなくて、現在進行形の緊急対策に対して、資料の提出を求めたりするような、業務を止めてしまいかねないような態度は慎むべきだということであって、住民と行政との協力が前に向かって進むようなことは止めるべきではない。議員活動の何を自粛して、何を活発化するのか。こういう考え方を採用すべきではないだろうか。
議会の業務継続計画。これについては、具体的に考察する必要がありそうだ。


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雑感

Posted by 東芝 弘明