民主党はなぜ自民党型の政治に屈服したのか

雑感

民主党は、自分の手でマニュフェストを投げ捨ててしまいました 。普天間基地の県外移設問題でくじけたことが、マニュフェストを投げ捨てる出発になり、その後首相になった菅直人さんは、消費税増税を掲げるに至りました。この2つの事件は非常に象徴的でした。これは、政治がどういう勢力の力によって歪むのかを国民に見せるものになりました。
自民党型の政治というのは、アメリカと財界の圧力を受け入れ、この勢力の要求に従って政治をすすめるというものです。

政治と経済と軍事、外交は、60年間の自民党型の政治によって、物理的な仕組みが作られてきました。仕組みの中心には、日米安保条約があります。この条約は、第6条でアメリカ軍に日本の領土を提供するとともに、第2条で経済的な協力を規定しています。
アメリカと日本との関係は、米軍基地のことを定めた地位協定だけに止まりません。地位協定は、治外法権的な権限を米国に与えています。極めて異常なものです。同時にこれに匹敵するのは、経済的な従属関係です。TPP問題を積極的に推進する根拠も日米安保にあります。

大企業・財界と政治の世界の関係の根底にはお金の問題があります。企業団体献金によって日本の政治は買収されてきたということです。その結果、自民党型の政治は、60年間も大企業・財界の利益を守る制度や法律をつくってきました。

アメリカと財界に都合のよい制度というのは、かなり分厚い内容を持っています。このような政治に立ち向かうためには、アンタッチャブルでなければなりません。誰に依拠すればアンタッチャブルになれるのか。
答えははっきりしています。国民主権をつらぬき国民に支えられる政治を貫けば、アメリカと財界の支配的な状況を打ち破ることができます。当然、さまざまな圧力は覚悟しなければなりません。

自民党と民主党は、悪い政治を競い合うようになりました。消費税増税と社会保障の一体改革は、社会保障制度の深刻な破壊や後退を含んでいます。競い合いは、極めて右翼的な傾向を強めています。憲法改正は当たり前、集団的自衛権という名の共同軍事行動も平気で口にする、徴兵制にまで言及する。核の抑止論も展開するということが、いろいろな人の口から飛び出します。「貧困はファシズムの温床になる」という言葉がありますが、貧困と格差は、怨嗟を生み出し、国民同士の対立が簡単に組織できるようになっています。いじめ社会の根底に広がっているのは貧困です。

国民の怨嗟を利用して、政治が反動化しています。この先頭を走っているのが、維新の会です。仮想敵である公務員を徹底的に攻撃することによって、国民の不満を解消しながら、極めて非民主的なことをやってみせる。こういうことを繰り返しています。弱いものいじめをして楽しんでいる橋下さんと石原さんは、国民の生活や福祉を破壊することに躊躇がありません。
公務員攻撃の矛先は、いとも簡単に国民に向かいます。

戦後60年間続いてきた自民党型政治は、アメリカと財界の要求を実現するためには、国民の自由と民主主義、暮らしを破壊しなければならないところに追い込まれています。政治の右傾化・反動化は、国民生活破壊の政治の必然的な結果です。国民の支持を失っても、政権を維持するためには、自由と民主主義を抑圧し、少ない支持でも政権の安定を図る必要があります。自由と民主主義の破壊は枠組みを作るところから始まります。それが憲法の改正です。自由と民主主義の破壊は、国民をだますところから始まります。外国とのあつれきを最大限に利用しナショナリズムを煽れば、論点をそらすことができるし、ナショナリズムをあおれば、戦争できる国への道も開けます。しかし、忘れてならないのは、「他民族を抑圧する民族は自由ではありえない」ということです。
国会議員の定数削減は、少数政党の締め出しであり、自由と民主主義の危機に他なりません。アメリカは、戦争をずっと行ってきた国なので、民主党と共和党以外の政党が大きな力を発揮できない仕組みを張りめぐらせています。自由な国アメリカの自由は、極めて制限された自由だということです。それは、アメリカの大統領選挙の仕組みに見事に現れています。
日本は、少数政党の締め出しと憲法改正という自由と民主主義否定の極めて危険な入り口に立っています。

この反動的な政治動向の根底には、経済的な問題が横たわっています。巨大企業の側の利益を追求すればするほど、国民の生活を破壊せざるをえない事態が進行しています。ここには極めて大きなジレンマがあります。このジレンマは、一方の側への富の蓄積に根本的な原因があります。アメリカでは金融分野でのマネーゲームが異常に肥大化し、一握りの富裕層の富が一国の富を上回る例まで生まれています。
日本でも小泉改革以来、資本の側に内部留保が蓄積され、その額は260兆円に達しています。国民から奪い去ったこれらの富が、経済循環をぶち壊し、貧困化を拡大しているのです。

強欲の資本主義(オバマ大統領の言葉)が、国民の生活を破壊しています。
このジレンマから抜け出すカギは、国民の所得の引き上げ、若者の雇用の拡大、派遣労働の原則禁止、正社員化の促進などです。このためには、古い自民党型の政治を変える必要があります。

アメリカと財界の圧力こそが、日本の政治と社会を歪めている根本問題です。この日本の最大の問題を把握できない政党は、自民系列か民主系列かに属さざるをえません。日本共産党のように、日本社会の根本問題を見据える政党はいつか生まれるでしょう。そういう勢力と共同したいと考えます。明るい未来、明るい今日を実現するためには、日本共産党の躍進こそが、必要です。日本共産党の躍進こそが事態打開のカギを握っています。


にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 和歌山県情報へにほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へにほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログへブログランキング・にほんブログ村へ

雑感TPP

Posted by 東芝 弘明