もし、日本が戦争に勝っていたら

雑感

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日本が、第2次世界大戦でアメリカに勝って、アジア・太平洋をを占領していたらどんな国になっているでしょうか。
荒唐無稽な設定ですが、戦前を「美しい国」だと言ってあこがれている安倍首相という存在があるので、荒唐無稽なことを真面目に、真剣に考える意味はあると思います。
アジア・太平洋戦争に勝つということは、植民地支配を広げた状態で勝利するということですから、日本は戦後も戦争を継続している可能性があります。こういう想像力の下で書いてみましょう。

天皇は現人神で、小学校や中学校には、奉安殿が設置されたままです。学校の正門を入ると奉安殿があり、その中には御真影と呼ばれる天皇の写真が納められています。子どもたちは、この写真に最敬礼して学校に通います。「畏れ多くも天皇陛下にあらせられましては」と校長先生が発言すると、子どもたちは全員直立不動の姿勢を取ります。教育は、御国のために命を捧げることが、最も美しい生き方だとされ、大きくなったら軍人になることが最高の目標になります。学問の自由や表現の自由は大きな制限を受けます。

国民は、隣組に組織され、お互いに監視が義務づけられます。学校には憲兵が常駐し、子どもたちには軍事教練が行われます。国民は天皇の赤子であり、国民の権利は、法律の範囲に制限されます。女性に参政権はありません。戦前は「女は三界に家なし」ということで、家庭は、夫を中心になり立っていました。女性の地位は、法律で制限されており、家父長的な家庭のあり方は、教育勅語や軍人勅諭によって、大事な考え方として貫かれるでしょう。
この当時の男性は、暴力的な人が多かったと思われます。

教育は、きわめて複雑な複線路線が取られます。今以上に国民は、階層に分離させられます。半封建的な農村地域の生活水準の低さが、都市で働く労働者の賃金を抑制します。
オリンピックは、国威発揚の重大な場となります。戦前、水泳の選手だった橋本市出身の兵藤秀子さんは、金メダルを取れなかったら、真剣に自殺しようと考えていました。
外国の広範な地域を植民地する日本は、徴兵制と兵役義務を必須のものにしていると思われます。
自由を唱え、主権在民を掲げる運動は、最も激しい弾圧を受けます。作家の手紙や作品は、検閲の対象になり、危険思想とされた人の本は、伏せ字だらけになります。発刊禁止の本を手にしていた人は、逮捕投獄される危険があります。特別高等警察の権限がものすごく強く、この警察にマークされた人間は、逮捕されると、ときには拷問によって虐殺される可能性があります。

日本に占領された朝鮮や中国、東南アジアの人々は、日本の国策によって、ときには日本本国に強制連行され、奴隷的な労働に従事させられます。日本は、アジアの盟主を自認していたので、他民族を蔑視する傾向が色濃く存在しました。この他民族蔑視の思想は、日本国民の不満を吸収する役目を果たしていたので、占領された国々は、日本以上に屈辱的な状態におかれる可能性があります。従軍慰安婦の制度が今も存在しているかも知れません。
侵略の軍隊をもつ強大な大日本帝国は、科学技術の発達の中で核兵器を開発し、核兵器を使用する可能性をもったきわめて危険な国になっている可能性もあります。
科学技術が発展し、コンピューターが現在のように発展しているとすれば、国民には背番号がふられ、国家が国民の個人データを徹底的に管理するようになっている可能性があります。都市の角には監視カメラが張り巡らされ、耐えず国民は監視の目にさらされるかも知れません。

地方自治体の長は、国家の任命によります。地方自治についての選挙は、議員だけとなります。そもそも、大日本帝国には、地方自治体という概念がありません。おそらく、同和問題の解決さえしていないと思います。国民に基本的人権を認めなかった戦前の日本では、同和問題の解決の展望は開けないと思われます。
農村は、強大な地主が、広大な農地をもち、多くの農民は、小作として年貢を納めることになります。

安倍首相は、国家が絶大な権力を持ち、この権力に国民が無条件で従う国を美しい国だと思っている感じがします。
日本が、第2次世界大戦に勝利したと考えてみてください。ぼくは、どんなことがあってもそういう国には住みたくないと考えます。戦争に負けていなければ、日本は、北朝鮮に酷似した国になっていたのではないでしょうか。
日本が戦争に敗北し、政治的な転換が必要になったことは、心底良かったと思っています。主権在民、恒久平和、基本的人権などは、当時の日本の支配層の敗北なしには実現しなかったとも思われます。大日本帝国の敗北は、日本に自由と民主主義を生み出す決定的な契機になったのではないでしょうか。

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上の写真は作家が1941年12月8日の太平洋戦争開戦のとき、どういう文章を書いたのかを特集したものです。多くの作家が戦争に協力しています。本質を見抜く役割をもっていた作家が、その力を失っていた時代だと言ってもいいと思われます。こういう時代を再び繰り返すべきではないと思います。


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雑感

Posted by 東芝 弘明