日本共産党という個性 2005年7月11日(月)

雑感

月曜日は、基本的に会議の日だ。今日も会議、今日も会議と書いてもおもしろくない。
日本共産党の言い分は、マスコミが報道している視点から言えば、かなり個性的だ。
党の見解を紹介すると議論が起こることもあるし、いろいろな質問が返ってくることもある。
面白いのは、質問が返ってくるときのことだ。
日本共産党の政策に疑問を感じて、質問してくる方々の意見のほとんどは、テレビや新聞がそれぞれのテーマで報道している論調と瓜二つのことが多い。
質問を出してくれる方は、おそらく自分の考えを述べていると思っている方の方が多いだろう。
しかし、それらの質問の多くがテレビやマスコミの論調と同じトーンなのはどういうことだろう。マスコミが流している論調さえ知っていれば、多くの疑問に答えられる。そういう質問に答えていると、次第に胸の内に積み重なっていくのは、情報が操作されているという思いだ。
たとえば、イラク戦争。この戦争に対して、国民は、なかなか生の情報にアクセスできない。これは無理からぬことだ。みんなが戦場に行けるわけがないのだから。したがって、多くの情報は、マスメディアというフィルターを通して伝えられることになる。
NHKは、戦争が起こったときジオラマを用意して戦局報道をおこなった。米軍がここまで侵攻し、こちらを包囲したというような報道だった。戦場に初めてカメラが入って砲撃にシーンをリアルタイムで映し出したなどなど。
査察を受け入れないイラクが悪いとか、
大量破壊兵器をイラクは確実に持っているとか、
平和を維持するために戦争は避けられないとか、
こう思っていた方は多いのではないだろうか。
攻撃の直前イラクはミサイルなどを廃棄した。
大量破壊兵器はなかった。
イギリスでは戦争の是非が激しく問われたが、日本では、大量破壊兵器がなかったのにイラク戦争を支持した政府の責任は激しく問われなかった。
もちろん、日本共産党は真正面から小泉総理の責任を追及した。
しかし、新聞はほとんどこのテーマを取り上げなかった。
戦争が起こってから「国連は無力だ」という感想を複数の人から聞いた。
これに対し、日本共産党は、今回ほど国連が力を発揮したときはなかったと報道した。
この問題でも180度違う論調がなぜ出てくるのだろう。
日本共産党が極端な思いこみの激しい政党だからだろうか。
そうではないだろう。
米英軍は、国連決議なしに一方的に先制攻撃をおこなった。これは、国際法を正面から踏みにじる行為だった。
国連の資料を読んでいただきたい。戦争を認める決議は存在しない。
世界は、歴史上初めて戦争の起こる前からイラク戦争反対の世論が巻き起こり、ロンドンでもアメリカでも日本でもイラク戦争反対の運動が高まった。NATO加盟国のフランスとドイツが最後までイラク戦争反対を主張し、米英軍に加わらなかったことも非常に大きな変化だった。中国も最終局面でイラク戦争反対の態度を鮮明にした。
アメリカとイギリスは、イラク戦争の開始からすでに世界的には孤立していた。この孤立している多国籍軍に日本は支持を表明し、自衛隊の派遣を急いだ。
ベトナム戦争の時には、国連は米ソ対決という枠組みの中で、力を発揮することができなかった。しかし、国連加盟国の圧倒的多数の国々は、最後までアメリカとイギリスの論調にくみしなかった。
イラク戦争は、明らかに国際法を踏みにじる侵略戦争となった。イラクは独裁国家かも知れないが、アメリカとイギリスは、このイラク以上に暴力をふるってイラクを一方的に攻撃したのだ。
しかし、日本の新聞で、米英の引き起こしたこの戦争を、侵略戦争と書いた新聞は「赤旗」しかなかった。
民族自決権という権利がある。これは、その国の国民の運命を決めるのはその国の国民しかないという権利で、国家主権とも重なる権利だ。当然、イラクには民族自決権がある。アメリカとイギリスは、この権利を正面から侵犯した。同時多発テロで被害を受けたアメリカは、テロリストと同じ行為を、イラクという人類最古の文明の地だった地域で今もなお続けている。
保守系議員の方々とは、イラク戦争反対の意見書をめぐって論議をおこなった。
しかし、「イラクに対する侵略戦争」──この明白な事実確認でさえ合意できなかった。
「イラク戦争はアメリカによる侵略戦争」──今もこの論調を認めない人の方が多いだろう。
なぜか。
テレビや新聞はそんな報道をしていないからだ。
イラク戦争の継続は、国際世論や国連全体の流れからも孤立している。
こう書くと「そんな馬鹿な」と思う方も多いだろう。
国際的な支持をえているかどうか──この謎解きのヒントは、多国籍軍による戦争参加国の状態にある。当初参加した国々は次々に撤退している。赤旗はこのことを2004年11月に指摘し報道している。↓↓↓

この表を否定する方は、調べていただきたい。戦争を継続している国々は日本を含め22カ国。全世界の中ではほんの一握りになっている。
自分の意見=マスコミの論調と同じという方は、ぜひともインターネットで情報を検索していただきたい。政府資料でもいい。公式資料は真実を雄弁に語っている。
ぜひ日本共産党の資料も参考にしていただきたい。共産党の言い分が信用できないという方は、共産党の資料をヒントにさらに検索を進めていただきたい。そうすれば、様々な情報がいろんな分野から手に入る。
イラク戦争の真実を見極めることができないようなマスコミの報道を、ぼくは恐ろしく思う。侵略戦争を侵略戦争だと語らず、人道復興支援だと言って自衛隊を派遣する。最初の方に書いたようにNHKは戦局報道をおこなって戦争を詳しく伝える。この姿勢は、日本の過去の戦争と二重写しになる。
第2次世界大戦。日本は、自存自衛の戦争だと言って国民を戦争にかり出し、勝った勝ったという戦局報道をおこなった。新聞は聖戦とは書いたが、侵略戦争だったとは絶対に書かなかった。
マスコミと同じでない論調に耳を傾けなければならない時代になりつつある。テレビやマスコミは、事実を伝えつつも、ことの本質を国民にきちんと伝えない場合もあるのだ。
マスコミの多くは、真実を映す鏡を戦後60年という時間をかけてゆがめてきた。
戦後、マスコミが真実を映しとる鏡は日本国憲法だった。それは、憲法こそが戦前の侵略戦争から得た教訓であり、日本を導いていく羅針盤だったからだ。
マスコミが描き出す世界は、戦前の世界への回帰とアメリカへの忠誠、企業への忠誠というフィルターを通過したものだ。このフィルターは、日本国憲法という鏡とは共存できなくなっている。憲法を変えろという大合唱が、政界と財界、マスコミとの組曲として流されている。このBGMは、耳障りもよく、未来志向というベールに包まれている。
日本共産党の個性的な論調には違和感があるだろう。しかし、日本共産党は、事実を重視して論調を組み立てているという自負がある。
こんなエピソードがある。
アメリカの国立図書館。
ここには朝日、産経、毎日、読売とともに赤旗日刊紙が置かれている。
なぜか。──言い分はこうだ。
“日本のことを知るためには赤旗新聞が欠かせない”
アメリカは、赤旗新聞に第一級の資料価値を見いだしている。
赤旗が果たしている役割を赤旗編集局長の関口孝夫氏が語っている。
↓↓↓ お読みいただければ幸いです。
「しんぶん赤旗」がいま、はたすこと


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雑感NHK

Posted by 東芝 弘明