知識か学力か

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いちおう犬山市に行った時の視察について、3回に分けて書いた読者ニュースの原稿が完成した。
水曜日までにMさんに目を通していただいて、意見をもらい手を加えて印刷にまわす運びになる。
1回と2回は、犬山市の教育改革の特徴を紹介するという内容にし、3回は、自分の感想とともに、かつらぎ町の教育でも少人数学級による少人数授業をという観点で、犬山市から学ぼうという呼びかけをおこなった。
昨日、NHKで討論形式の「学力 日本の、これから」という番組があった。
「知識か応用力か」
という2者択一の設問を聞きながらいろいろなことを考えていた。
発言の中には、この設問自身に問題があるという意見もあった。知識とともに応用力をという意見でもあったが、話を聞きながらぼくは次のようなことを考えていた。
本来、知識というのは、神経細胞のように(納豆のように)さまざまな枝葉が伸びていて、他の知識(納豆)とつながっている。しかし、日本の教育では、どうも知識がバラバラに把握されていて、知識の詰め込みと応用力とには溝があるようなとらえ方になっている。知識か応用力かという2者択一の設問のしかたそのものが、このバラバラなとらえ方を反映している。
本来の知識は、その知識そのものが連関と連鎖の中に置かれて理解されるべきなのだと思う。知識を、その知識のもつ多面的な側面を生き生きと把握する努力の中で学ぶようにすれば、頭の中に構成された神経細胞のネットワークのように、知識のネットワークを形成していく。神経細胞のネットワークと同じように、知識のネットワークを頭の中に構築していけば、新しい知識を獲得する度にネットワークが強化されていく。これが学ぶということであり、応用力そのものになる。
欠くことのできない知識によって応用力が豊かになる。
新しい知識を獲得するたびに応用力が高まるというのが、本来の学習のしかたであり、学ぶということなのだ。
1+1がなぜ2になるのか。これだけでもかなりの内容がある。1年生で1+1を学ぶのだけれど、学年が上がっていけば、1+1=2になる条件というものは何か、1+1が2にならないものとは何かを学ぶようにすることが大切なのだと思う。そうしてはじめて1+1=2という計算式を多面的に学んだことになる。こういう学び方の中で認識は豊かになるし、柔軟な思考方法も身につくようになる。
先週のNHK教育の「サイエンスZERO」は、iPS細胞についてだった。ゲストは、iPS細胞をつくった山中伸弥(京都大学再生医科学研究所教授)さんだった。
人間の皮膚細胞に遺伝子を組み込むことによって、細胞をリセットし受精卵からすべての細胞が生成できる万能細胞をiPS細胞と呼ぶ。
ゲノムの解読によって、遺伝子の個別認識が進んだ。この解明が、iPS細胞の生成に必要な遺伝子を特定するうえで非常に重要な役割を果たした。個別に特定できている100万個もある遺伝子の中から、100まで遺伝子を絞りこむのに3時間しかかからなかったのだという。そこから24個に絞るのにかなりの時間(年月日)がかかったのだという。
24個の中からiPS細胞を生成する遺伝子をどのようにして特定できるのか。このときに学生だった1人の院生が、組み合わせを一つ一つ探っていくのではなしに「重要な遺伝子なら一つ一つ除いていき、反応を調べれば、原因となる遺伝子を発見することは可能ではないか」という趣旨の提案をおこなった。
これによって、膨大な組み合わせがあるにもかかわらず、4つの遺伝子がiPS細胞生成に関わっていたことが明らかになった。
膨大な組み合わせがあることに対したじろいでいたときに、柔軟に実験方法を提案できる力、これが応用力なのだと思う。
そういうことを考えさせてくれるNHKの番組は、意味深いものだったような気がする。


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Posted by 東芝 弘明