住民自治と団体自治の結合は未来につながる

雑感

「住民こそ主人公」とよく言ってきた。住民が行政の主人公になるためには、「参加」が一つのキーになる。行政に対して意見を言って、後は行政がやればいいというだけでは、本当の意味で主人公にはなれない。行政の仕事というのは、住民の共同の事務や課題を税金で支えていくもの。職員を雇っているのは、自治体だが、この自治体を根底から支えて動かしているのは、主権者である住民だ。
主権者とは何かを紐解く必要もある。主権者は雇い主ではないからオーナーでも株主でもない。顧客でもない。株主も顧客も出資や購買という行為を通じてはじめてなれる。しかし、住民というのは、その地域に住むだけで住民として、主権者として権利が発生する。住民は国民よりも幅が広い。国籍を取得していなくても住民としての権利をもつ。

基本的人権というのは、いわば天が与えたもうた権利なので、生まれながらにしてもっているものだ。住民の権利も住民になった時点で地方自治体に対して対等の権利をもつ。さらに地方自治体は、滞在者や旅行者に対しても、権利を持った人間として対応する。税金を払っているかいないかによって、区別をすることはあり得ないというのが、地方自治体がとるべき態度だろう。この基本が、今の地方自治体に徹底して貫かれているかといえば、そうとは言えない。いろいろな施策が、税金を払っているかどうかを試金石にして判断されていることも多い。とくに経済的な利益や恩恵、+αの事業に対する補助金や追加の福祉施策を受けるときに、滞納がないかどうかが一つの試金石になっていることも多い。
滞納していても関係なしに受けられる制度の方が少ないかも知れない。生活保護は、税の滞納があるかどうかは問われない。健康で文化的な生活を営む権利という観点から住民の権利とは何かを見つめ直す必要もあるとも思われる。

地方自治体は、行政施策を実施するときに、住民をサービスを受けるだけの客体とするのではなく、基本的な考えとして住民とともに汗をかきながら、施策を構築するようにすべきだろう。こういう基本的な姿勢を確立するためには、国民の中に残業なしの8時間労働の確立、週休2日という仕組みが必要にもなる。自由な時間をもった人間が増えることによって、地方自治体とのコラボレーションは豊かになる。住民自治と団体自治が結合され、住民の主体的な活動と自治体の仕事が結びついていく未来は、なかなか楽しい未来になると思われる。住民自治がさまざまな形で活性化すれば、地方自治体は、住民のための機関へともっと変化するだろう。

「住民こそ主人公」という形を追い求めていくと、住民による地方自治体の自主的な管理と運営へと近づいていく。風通しがものすごくよくなれば、議会は不要なものになる。おそらく首長と議員という仕組みは、未来に至る一過性の仕組みだと思われる。そんな時代がやってくるのは、ものすごく先の話。社会主義になった未来になって、何世代も努力が行われた先の姿だ。しかし、住民と地方自治とのコラボレーションは、未来社会につながる新しい試みだということだと思われる。


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雑感

Posted by 東芝 弘明