『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』を読みはじめた

雑感

3日間で1冊程度本を読めるようになってきた。もちろん、さまざまな仕事をしながらだ。目を早く動かして内容を理解する努力をしていると本を読むスピードが増した。面白くないなと感じた本も、スピードを上げて読み飛ばすことによって、立ち止まらなくなった。

この読み方なら難しい本も読めると思い始めて、『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』を読みはじめた。この本は、1848年の革命によって共和制に移行したフランスが、複雑な政治的過程を経て、1951年のルイ・ボナパルト(ナポレオン三世、ナポレオンの甥)のクーデターによって共和制が崩壊し、帝制が敷かれたときに書かれたものだ。当時のフランスの具体的な状況を全く知らない読者にとっては、第1章がかなり難解だという訳者の断り書きがあったが、ぼくにとっては2章も分かりにくかった。このまま読み進んでも字面を追うだけになりそうだったので、不破さんの本に『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』に触れた文章があったと思って探し始め、『マルクス、エンゲルス革命論研究』(上)に行き当たった。

『マルクス、エンゲルス革命論研究』(上)は以前読んだことのある本だった。ぼくが『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』という論文が、史的唯物論の具体的な論考になっていることを知っていたのは、この本から得たものだった。
本を速く読めるようになったので、2日程度で『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』を読んで見ようと思ったが、理解不能が積み重なってくるので「これは無理だ」と思い始めて、歴史的な背景を踏まえるために本を漁り始め、結局不破さんのこの本に戻ってきた。『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』を読もうと思ったきっかけは、不破さんのこの本にあったが、結局この本を導きの糸とする必要が出てきた。

この前、『人新世の「資本論」』を読んだが、この本には日本社会をどういう道筋を通じて変革していくのかという見通しがない。マルクスを研究するのであれば、革命家としてのマルクスの姿を全面的に把握して、マルクスの研究の成果をくみ尽くす努力が必要になる。つまり、哲学と経済学と革命論という3つの分野の全てを視野に入れて研究する必要がある。革命論の武器になるのは、史的唯物論だが、史的唯物論のものの見方考え方は、教条主義とは全く無縁であり、大切なのは具体的事物の具体的研究にあり、社会体制の分析にとって重要なのはこの視点だということになる。その社会を分析したかったら、その社会の全体像を深く把握して、どのような力が社会を動かしているのかを具体的に、その社会の動きの中から導き出す必要がある。社会の具体的分析にとって、史的唯物論の分析方法が役に立つということであって、図式的な社会の捉え方によって社会を裁断することと史的唯物論の研究方法は無縁だ。マルクスの『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』を読んで、ほんの少しでも史的唯物論のもつ分析力を体感したい。

そう、例えば、各自治体の分析でいえば、首長の政治的分析が出発になる。例えば、紀の川市の市長の分析を行うためには、二階幹事長との関係を抜きには分析できないだろう。自民党の二階幹事長と親密な紀の川市の市長の政治姿勢は、紀の川市政に大きな影響を与えている。どのように具体的な力が働いているのかを具体的に把握する必要がある。

同じ紀川筋の自治体でも、各自治体の分析を進めると大きな違いが出てくる。首長の分析が重要な意味をもつのは、地方自治体の制度が大統領制であり、かつこの大統領が議案や条例案をほとんど全て提出している姿にある。アメリカ大統領よりもはるかに大きな権限をもった日本の地方自治体の分析を進めるためには、首長の政治姿勢分析が欠かせない。

それと同時に、自分たちの住む地方自治体が、どのような力によって動かされているのかを正確に把握する必要がある。階級間の対立がどのように具体的に表れているのかという視点に対する答えは、国政と地方自治体との関係にあるだろう。自分たちの住む地域の中には、階級間の対立というようなものはほとんど存在しない。地方自治体における階級闘争は、たえず国政との関係で発生していると言っていいだろう。こういう基本点を把握した上で自分たちの地方自治体の分析を行い、変革の展望を明らかにする必要がある。日本の中山間地の経済の衰退や産業の縮小、人口の減少がいったい何を原因として発生しているのか。この点を明らかにすることが求められる。このような仕事は、地方自治体と向き合っている地方の日本共産党の仕事だとも言える。マルクスの視点を生かすことも問われている。


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雑感

Posted by 東芝 弘明