衆議院解散、選挙へ 2005年8月8日(月)

郵政民営化

賛成108対反対125。郵政民営化法案廃案。衆議院解散へ。
今日は朝から衆議院選挙必至の情勢を受けて、候補者の日程をどうするか、候補者事務所をどうするかなど準備を急がなければならない問題について相談した。
昼1時から国会が始まった。世耕弘成参議院議員が自民党を代表して賛成討論をおこなった。和歌山選出の自民党国会議員の面々はすべて郵政民営化賛成という態度をとった。最後まで悩んでいた鶴保庸介参議院議員も奥さんとは袂を分かって賛成の態度をとった。
かつらぎ町には簡易郵便局を含めると8つほどの郵便局がある。郵政3事業をバラバラにして運営されたら、JRが不採算なローカル線を切り捨てているように、非効率な山間部から郵便局はなくなるだろうし、全国を結んでいる郵便事業はズタズタになるだろう。ニュージーランドはその典型となった。ここでは、最近国営の郵便局が復活しつつある。
「近畿のおまけ」と揶揄されてきた和歌山県は、県全体が過疎に位置づけられる県の1つだろう。過疎地域だらけのこの県は郵政民営化のあおりをまともに受ける県ではなかろうか。
不思議なのは、マスコミの報道の仕方である。郵政民営化は国会の2分する意見の分かれた問題だ。しかし、マスコミは郵政民営化賛成、この民営化なしに日本の構造改革はできない。というような論調を展開している。意見が分かれる問題については、賛成、反対双方の意見を広く紹介して、多角的に報道し、国民が判断できるように論点を明らかにするという報道姿勢をマスコミはとっていない。
賛成側が進歩的で反対派は改革を望んでいないとでもいうような報道の仕方だ。これはマスコミの姿勢としておかしいのではなかろうか。
郵政民営化=構造改革なのだろうか。ここにも疑問がある。癒着の構造を批判する意見もあった。本当に癒着をなくしたいのであれば、官僚の天下りを禁止する、企業団体献金は禁止するという2つのことをまず実行に移すべきだ。郵政の資金が無駄に使われているのは、郵政の側に問題があるのではなくて、財政投融資を自由におこなえるように法改正し、マネーゲームにつぎ込んで損失を出しても責任を問われないようにしたことだろう。
それでも、郵政事業には税金が1円もつぎ込まれていない。黒字である。
しんぶん赤旗は、4月10日、政府案を紹介しながら、現行制度について次のような説明をおこなっている。

郵政事業は二〇〇三年四月、日本郵政公社に移行して非営利の国営形態でユニバーサル(全国一律)サービスを提供しています。独立採算で税金を一切使わず、事業を離島や過疎地にも展開。市町村合併や農協の合併、地方銀行や信金・信組の支店がなくなった地域で、郵便局は暮らしを支える安全・安心の場になっています。
全国津々浦々に二万四千七百の郵便局があります。まちかどの郵便ポストは総数で十八万六千本。全国一律の料金で手紙やはがきを配達しています。
安全・確実な郵便貯金の口座数は約一億一千八百万です。日本の人口にほぼ匹敵。一千万円以下の小口貯金は、文字通り庶民金融です。しかも、現金自動預払機(ATM)の引き出しや両替手数料は無料です。時間外の引き出しが百五円、百円玉を両替すると三百十五円かかる東京三菱銀行などの民間銀行とは対照的です。
職業の区別なくだれでも加入できる生命保険(簡易保険)も国民に提供しています。過疎地では、自治体と連携して「ひまわりサービス」を実施。現在、二百十の市町村で、独り暮らしのお年寄りへの声掛け、生活用品購入の手助けなどを行っています。
昨年十月に発生した新潟県中越大震災。郵便局は被災地でも頼りになる存在でした。民間の宅配大手各社が、集配を見合わせるなか震災直後から小包の配達や現金書留も取り扱いました。利潤目的ではない国営だからこそできた対応です。


小泉総理の民営化論は当初、「国営が民業を圧迫する」と説明していた。つまり、郵政が国営のままであれば、非営利で運営され、民間にはないサービスを展開しているので民業圧迫になっているということだった。ここに民営化の本音がある。しかし、今は公社のままではじり貧になるかのように説明している。ほんとにおかしい。
マスコミも公社のままでは赤字になってやがて国民につけが回ってくるだとか、マネーゲームで穴を開けた問題などを取り上げて、この体質を変えなければならないなどと宣伝している。
ごまかしてはいけない。
マネーゲームと土地登記でバブルを引き起こし、自らも巨額の破綻を生み出したのは民間銀行ではなかったか。バブルの付けは失われた10年という言葉まで生み出して、今日の不況へと連動しているのではなかったか。しかも、この民間の不始末をカバーするために巨額の公的資金=税金がつぎ込まれたのではなかったか。
効率、非効率と分けて比較するのは大嫌いだが、バブル破綻とその後の不況によって極めて非効率な、人間という価値ある人的資源さえ有効に使えない恐慌を引き起こしたのは金融資本ではなかったのか。効率という名で極めて非効率な社会システムを結果として招いたのは誰なのか。
郵便局の全体は、バブル経済には踊らなかった。この安定性が国民に支持され、民間の金融機関から郵便局へと預金が流れたのではなかったか。
こういう現象があったからこそ、小泉総理は、「国営が民業を圧迫する」といって金融資本の要求を受け入れて郵政民営化といったのではなかったか。
これらのことをまともに扱わないマスコミの姿勢は、世論を誘導するものだ。
和歌山県で山間部から郵便局がなくなったら直接生活に影響が出る。
和歌山県人は、この理不尽な改革に黙って賛成せよというのだろうか。


にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 和歌山県情報へにほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へにほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログへブログランキング・にほんブログ村へ

郵政民営化

Posted by 東芝 弘明