岐阜県美濃市へ

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岐阜県美濃市に学校の再編成(統廃合のこと。美濃市は再編成と表現)について視察に来た。
2時から視察が始まった。
美濃市は、人口23000人台の自治体だった。
少子化と過疎化が進行している中で、学校が複式になり、再編成が必要だと判断した市が、学校再編成懇談会を25人のメンバーで設置し、1年の協議の上で中学校3校を2校に、小学校11校を3校にする提言をまとめて市長に提出した。提言の考え方の中には、30人学級、1学年3クラスがのぞましいという考え方が示されていた。この考え方にもとづいて、学校の再編成を打ち出すというものだった。考え方の中心には、複式学級の解消がすえられていた。
提言を提出したのが13年8月。それから2年、15年4月に4校の小学校を1校に集約し学校の名称も改めて出発した。16年4月には、さらに3校を集約し次の学校が再出発することとなった。その結果小学校は6校、中学校は3校となった。
提言から再編成が始まる2年間で、住民と行政の話しあいは、提言の報告懇談会が11回、それ以外に50回以上の話しあいがさまざまなレベルでおこなわれたという。その結果、市が最終的にまとめた案は、小学校4校、中学校3校というものだった。
学校再編成懇談会の提言をたたき台にして、住民から出される意見を徹底的に聞き、住民の意見を踏まえて市の方針が確立していった。複式学級の解消が、次第に住民全体の合意になってきて、方向がまとまってきたことが大きかったようだ。
学校再編成懇談会の委員会は、市がさまざまな代表をセレクトして作られたものだったが、この提言は住民のみなさんが市に提言した案であって、「市の方針ではなかった」のだという。住民と行政の話しあいによって、市の提言も変更され、住民の要望も踏まえて市の案が提示されていった。
美濃市の教育長は、「地域はみなさんが作るもの。市が路線をひくべきものではない」と語った。
この言葉は印象的だった。
学校の再編成のあり方を決めるのは住民であり、市は研究して方向を示したが、提言後の議論は、住民レベルでおこなわれて、住民が方向を出していったということだ。
協議の経過をみると各地区が市の案を了承している。中には、自治区・PTA・役員の連名で回答と要望書が出されたりしている。また、学校の再編成が決まったところでは、実行委員会が作られ、住民の要求にもとづいて、学校の名称をどうするのか、スクールバスをどう走らせるか、どのような改修をおこなうか、再編後、学校の跡地と施設をどう活用するのか、などさまざまな問題を話し合って決める方法が取られた。
スクールバスをどのように走らせたらいいのか、学校の施設改善をどうするのか、廃校となる学校をどのように利用するのか、決めるのは住民という姿勢を市は実践したということだろう。
「民主的に再編成をすすめることができたと思っています」
美濃市の教育長は、確信を込めてこう話された。
かつらぎ町の行政運営の仕方とずいぶんな違いを感じた。学校の配置は、行政が方針を決めて住民に理解を求めるという考え方と美濃市はかなり遠いところにある。
かつらぎ町も、住民にふところを開いて話しあいを重ねていけば、方向が見えてくるのかもしれない。難問だと思っていることも話しあいの中で結果が出てくるのかもしれない。
住民自治とは何か。
考えさせられるいい機会になった。


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Posted by 東芝 弘明