視察からの帰り 2005年11月29日(火)

出来事

朝5時30分に目が覚めて、ホテルの大浴場に行った。もうすでに何人かのお客さんが朝風呂に入っていた。
露天風呂に入ると外気温がかなり下がっていた。風も吹いている。浴槽に紅葉した葉っぱが1枚落ちていた。
朝食は、8時30分からだった。朝、時間があったので1階のロビーに降りてコーヒーを注文した。
視察研修は昨日終了したので、あとはひたすら帰るだけだった。
昨日の研修先は、香川県の香東川(こうとうがわ)流域下水道の浄化センターだった。この浄化センターは、高松市の西部地域と国分寺町、香南町、香川町、塩江町の1市4町の下水の処理をおこなう終末処理場である。
高松市における下水処理には歴史があるので、雨水と下水を一緒に処理する合流式を採用している。最近の下水処理は、分流式を採用しているので、雨水と下水が混ざることはない。
合流式の欠点は、大雨が降った場合、下水道処理施設の処理能力を超える雨水混じりの下水が集まってくることである。
大都市で古くから下水処理がおこなわれた地域では、合流式がとられている場合が多いという。合流式の欠点は、処理能力を超える雨水混じりの下水が集まってきた場合、処理できない下水を放流しなければならないということだ。香東川浄化センターは、1次処理を施した状態で放流しなければならなくなるということだった。ほかの合流式の施設では、許容量を超えた場合、まったく処理しないまま放流しているところもあるということだ。

かつらぎ町を含む1市3町の流域下水道の浄化センターは、分流式をとっている。したがって大雨が降っても処理能力を超えることはない。
香東川浄化センターの施設の面積は、17万6000平方メートル。この地域の計画処理人口は12万1430人。橋本市・高野口・九度山・かつらぎの計画処理人口は12万1400人、浄化センターの面積は、19万平方キロメートル。ほぼ同規模の計画だということになる。しかし、わが地域の流域下水道計画は、今回視察した処理施設よりもはるかに非効率な施設だった。
どれだけ非効率なのかは、受益者負担金を比較すれば具体的に見えてくる。
受益者負担金というのは、下水道というサービスを受ける地域は、特別の受益をうけるということで負担を求めることができるという都市計画法の規定に根拠をもつ負担金である。
計算式も明確に例示されている。末端管渠(かんきょ)整備費相当額が受益者負担金の額になる。末端管渠整備費相当額というのは、自治体内の面整備(公共下水の管を敷設する事業)の費用のうち、自治体が負担しなければならない費用を住民に負担させることができるというものだ。
わが1市3町の場合、受益者負担金は1000平方メートル未満で15万円。かたや高松市の受益者負担金は、1平方メートルあたり150円である。
計算上は同じに見える。しかし、わが1市3町の場合、1000平方メートル未満という規定に特徴がある。この規定でいくと、どんなに小さな面積であっても、すべて15万円の負担をしなければならない。個人の住宅で1000平方メートル(約300坪)という家はほとんどない。
高松市の100平方メートル(30坪)の住宅の場合、受益者負担金は1万5000円。わが地域の場合は、15万円という差になるということだ。
高松市の受益者負担金は、末端管渠整備費充当額が、文字通り1平方メートル150円という数値になった。わが1市3町の末端管渠整備費充当額は、計算上は1軒平均60万円ぐらいになったと記憶している。これの金額を負担していただくことはできないという政治的な判断から、1000平方メートル未満15万円という線を打ち出したということである。
人口密度が高ければ、受益者負担金の額は下がってくる。同じ規模の計画であっても、公共事業の敷設管の距離が長いし、人口密度が低い──これがわが町の公共下水の姿ということになる。
しかも、計画処理人口が、過大計画だといわざるをえないものになっているというところにも、わが町の流域下水道の特徴がある。12万1400人という人口になる見通しはない。この処理人口は、伊都郡と橋本市の総人口よりも2万人以上大きい。紀ノ川右岸と左岸の平坦部を中心とした地域だけで人口が12万人を超えるという計画そのものがまったく実態に合わないといわなければならない。
わが町の流域下水道は、和歌山県らしい机上の計算にもとづく過大な公共事業ということになる。
完全に計画的には破綻した流域下水道計画。
未来はそんなに明るくない。
今日は、ひたすら帰路につくだけの日程で役場に戻ってきたのは4時だった。


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出来事

Posted by 東芝 弘明