戦争準備のリアル

雑感,出来事

報道ステーションは、米シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)による「台湾防衛」机上演習の報告書を詳しく解説する特集を組んだ。番組では、中国が台湾に軍事進行すれば、日本がアメリカと一緒になって攻撃に参加する。そうすれば、米軍基地と日本の自衛隊基地が攻撃され、大きな犠牲が出るというシナリオが紹介された。紹介のための特集には、何の批判的な見解もなく、軍事の専門家と称するコメンテーターは、日米同盟を強めることによって、中国が台湾に侵攻し戦争になったとしても、戦争には勝てないと思わせることが大切だと強調していた。

大丈夫か。こういう論法は。
コメンテーターには日本国憲法の視点なんてない。対応したメインキャスターの大越健介氏にも批判的視点は感じられなかった。アメリカとの軍事同盟を強化して、戦争に備えるべき。戦争になったら米軍にも自衛隊にも相当な被害が出て、日本の米軍基地と自衛隊基地が攻撃されることを平気で伝える。「報道もここまできたか」と感じた。

ウクライナの戦争は、広がりを見せるNATOとロシアの関係があった。ウクライナがNATOに加盟することをよしとしないロシアが、ウクライナに攻め込んで自分の領土を広げる。ここにロシアの言い分があった。

ここから言えることは、軍事ブロックの強化が戦争を引き起こす可能性があるということだ。日本がアメリカの指示の下で敵基地攻撃能力を持ち、台湾有事を想定して作戦を具体化すればするほど、戦争の現実的可能性が高まる。台湾有事によるアメリカと日本の介入は、中国とアメリカ・日本による巨大な戦争になる。これは明らかではないか。
台湾有事なんてどんなことがあっても起こしてはならないとして、日本はアメリカと中国双方に対し、戦争を絶対に避ける選択肢はあるとし、外交を行うべきなのではないか。

日本には、こういう外交戦略は何もない。アメリカに従って軍事的な対応を強めるだけ強める。この方針のどこに戦争を回避しようとする意図があるのか。日本が果たさなければならない道は他にあるという視点を打ち出して、軍事ブロック=日米安保条約の強化を否定しないと、日本は戦争に突入する。自衛隊は、石垣島など南西諸島で戦争に対抗して、自衛隊の基地を急ピッチで増強している。台湾と沖縄は飛行距離で627㎞、宮古島市と台湾の距離は455㎞。東京と大阪は直線距離で400㎞。沖縄県や鹿児島県が、台湾有事の中で戦場になる。

新聞やテレビが、台湾有事を想定した日米の計画を無批判に伝える。この報道に対して、リアルな目で現実を見る力が求められる。戦争が起こる可能性を当たり前のこととして報道していることに対し、平和が破壊されようとしていることを感じられないとすれば、それこそ「平和ぼけ」だろう。ネットでも何でもいい、今国民の目の前で展開されている戦争の危険を、自分の目でリサーチしてほしい。情報を集めて考え始めれば、今の日米両政府の動きの危険性は目に見える。

絵空事ではない戦争のリアルが、動き始めている。憲法9条に基づく外交戦略を打ち立てないと、日本が、アメリカの戦争に巻き込まれる。正確に言えば、すでにかなりの時間をかけて、アメリカの戦争に日本は深く巻き込まれているが、今ならまだ止めることはできる。国民には主権がある。


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雑感,出来事

Posted by 東芝 弘明