会議の中に「オープンダイアローグ」を

雑感

町当局は、基本構想と基本計画の素案をもとに審議会に諮問し、答申を得るべく審議会での検討を重ねてきた。町議会は、この審議会の議論を見守りつつ、10月からスタートさせた長期総合計画調査検討特別委員会で5か月、所管事務調査を行い、当局との意見交換を重ねてきた。この議論の中で2024年1月、特別委員会は提言を町長宛に提出した。
町当局は、審議会での意見と議会からの質疑と提言を踏まえ成案を作成し、3月4日の本会議に基本構想と基本計画を議案として提出した。同日、議会はこの議案を特別委員会に付託した。特別委員会は、3月12日、3時間の会議日程の中で質疑をした後、議員間協議を踏まえ、討論の後、全員一致で原案どおり採決した。

議会がこのような方法で所管事務調査を重ね、さらに提言も出して基本構想と長期総合計画にたいする検討を行ったのは初めてのこととなった。議案に対して議員間協議(自由討議)を行ったのも、初めての経験となった。

少し話題を変える。
会議の活性化を研究してきたぼくは、実践倫理宏正会の「倫風」の記事を頼りにして「オープンダイアローグ」についても学び始めた。本を読みながら、「オープンダイアローグ」という方法を会議の運営の中に取り入れたいと思っている。
「オープンダイアローグ」という考え方と対話の仕方は面白い。対話と会話、議論とは違う。対話が展望を開く。ここに面白さがある。「対話を開く」と心が開かれる。心を開くためには、人間の「主観」が極めて重要な役割を果たす。客観的な事実に基づく意見交換ではなく、主観的な感想が心を開き、違いをていねいに確認していくと一致点が広がるという面白いことが起こる。話を聞いている人に提案はしない。相談者を目の前において、みんなで噂話のように話をするリフティングという時間が、心と心の交流を広げる。ここが面白い。

会議の中に「リフティング」という形を取り入れると面白いことが起こりそうだ。「本人のいないところで話をしない」というのが極めて大事。本人の目の前で本人に対する話をする。
会議は議案の提案が必要になる。一方、「オープンダイアローグ」には提案がない。しかし、提案のある会議にも「オープンダイアローグ」の考え方は導入できると思っている。主催者側の会議への提案、参加者からの対案や提案、これによって会議がなり立っている。もちろん、会議なので議論の末に結論を出し、確認が行われる。「オープンダイアローグ」とは真逆の「会議」という中に「オープンダイアローグ」の考え方を取り入れる。ぼくのやろうとしていることに教科書はない。

提案から議論を深めるプロセスの中に「オープンダイアローグ」を取り入れることはできるだろうと思い始めている。会議で意見がバラバラになったとしても、まったく怖くない。会議に参加している人を信頼して、依拠すれば議論の道筋は明らかになり、一致点に到達する。このプロセスの中に「リフティング」を取り入れる。意見の違い、本人の主観を大事にしながら、違いを確認しつつ一致点を見いだすという面白いことに挑戦している。今回の基本構想・長期総合計画案の審議の仕方にも「リフティング」的な場面を取り入れた。そういうプロセスを経て全員一致となったのは面白かった。

会議の中で発生する感情的な対立について一言。
激論になって、感情的な対立が会議の中に発生するときは、会議進行役のファシリテーターが話の間に入って感情を沈める必要がある。エキサイトしている人を説得するのではない。感情的にぶつかり合っているときは休憩もして、感情の高ぶりを沈める。ワンクッション置くだけで感情のぶつけ合いが収まることもある。
意見交換はするが対立はさける。対立したときは会議の中で対立を解消する。2人の人が口論をはじめたときは、この2人以外の人が議論について意見交換を行う。そのときは対立した2人の気持ちを受け止めて意見交換を行うのがいい。そうすれば解きほぐしが始まる。この方法は「リフティング」に似ている。会議の中で起こったことを、後日、会議外で解決しようとするのは間違い。多くの場合、この方法をとると、人間関係に冷たいものが挟まり、関係まで壊れてしまう。対立はその日の会議の中で解決する努力を行う。解決できるかどうか。それはやってみないと分からない。


にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 和歌山県情報へにほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へにほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログへブログランキング・にほんブログ村へ

雑感

Posted by 東芝 弘明