空に吸われし十五の心

雑感

役場の玄関前の東寄りのところに車を停めた。畑の柿の葉が目に入ってきた。黄緑色の若葉が柔らかそうに見える。命が芽吹いている。5月は、命が競い合うようにあふれ出る。
役場の2階の北向きの廊下には明るい光が差し込んでいた。夏の光りを思わせるものだった。夏が季節の中に押し入ってきた。
春はある日突然夏に変わる。夏は一気に立ち上がる。
速きこと風のごとし。

風が街路樹の葉をざわめかせていた。風の流れが葉の動きによって目に見える。葉の先に見える青い空は淡い色をしている。

不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸われし
十五の心

この歌に歌われている空は、真っ青に澄みきった空だろう。真っ青な空を眺めていると、空の色が胸の中にしみ込んでくる。石川啄木はこの感じを「空に吸われし」と表現した。ぼくはそう信じている。

何も考えずに景色を見ていると、季節が胸の中にとけ込んでくる。
心を解放すると季節の動きが胸の中にしみ込んできて、動いている季節が見える。
柔らかそうな黄緑色の柿の葉は、季節の動きを感じさせてくれた。こういう体験をした日の記憶は、意識の中に長く留まる。
小さな幸せが黄緑色の葉の上で光っている。


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雑感

Posted by 東芝 弘明