水道管損傷への対応について

出来事

10月11日に発生した京奈和自動車道の工事による水道管の損傷事故は、工事業者による過失だった。事故による濁り水の発生は、木曜日の昼すぎから土曜日の午後2時頃まで続いた。
今回は、町による損害賠償請求によって、職員の超過勤務に対する手当の支給、橋本市などから借りた給水車の費用、購入した非常用の飲料水パック代、橋本市から借り受けた非常用飲料水パック代等々の費用が出ることになった。さらに今回は、「特例としまして」という但し書き付きだが、役場による水道料金(370円〜460円)及び下水道料金(260円)の減額措置が実施された。
この減額措置が、どのような考え方で行われたのかは、まだ未確認だ。3日分の水道料金を減額したのか、それとも使用水量の増加分を平均して減額する金額を割り出したのか、これについては確かめたい。

破損事故を起こした工事業者は、今回の事故に対して誠実に対応している。役場から聞き取ると、工事業者は、給湯器のタンクに濁り水が入り洗浄が必要になったところに対しては、洗浄作業をおこなっているということだ。水道事業所に連絡にあったお宅に対し、事故を起こした工事業者が出向いて対応している。給湯器のタンク内の汚れ問題は、放置しておけば、故障につながる可能性もある。相談のあったところに対応するだけでいいのかどうかについては、検討の余地があると思われる。

ほぼ、求めていた方向で事態が収拾しつつある。全力を傾注して対応した関係者に深く感謝したい。
ご苦労さまでした。

課題として残ったのは、今回のような事故が発生したときに水道料金の減額を行うかどうかだ。今回の「特例として」という但し書きは、損害賠償請求ができたから対応したとも読めるので、検討の余地がある。給水条例の中に今回のような損傷事故や老朽管の損傷による濁り水が発生した場合は、水道料金を減額することを書き込むべきだろう。その際、火災発生時などの消火栓使用による濁り水の発生などについては、適用除外とすればいい。

綺麗な飲料水を供給し、料金を徴収する水道事業は、水を商品として販売している。綺麗な水を供給できない事態は、商品を供給できないことを意味する。普段よく発生している老朽管の損傷事故は、原因不明の場合が多い。しかし、老朽管の更新事業は、減価償却した資産を更新していなかったために発生したものなので、自然災害や不可抗力だったとは言えない。こういう場合の責任は設置者である町にある。条例にきちんと規定を盛り込むことを教訓として導き出すことが求められる。

今度の事故対応についての教訓は、現在まとめられつつある。今回は、苦情のあったところに全力で水を配るということに終始した。その結果、苦情がなかったところについては、対応しないことになってしまった。飲食店などは、営業中だったので、当然ただちに水を供給するという形になった。今後もこういう対応が求められる。しかし、同時に被害を受けた全家庭に対して対応することも求められる。
今回の事故は、自治区によって対応が分かれた。小さな自治区では、全戸に給水パックを配った地域もあった。給水車に来てもらって、水を供給した地域もあったが、個人の対応にすべて任せた地域もあった。お年寄りの多い地域や若い世代の多い地域などで違いが発生したという傾向もある。
夜の9時に帰宅して、お風呂にお湯をはってはじめて水が濁っていることに気がついた家庭もあった。こういう家庭はかなりあるように思われる。役場は、全力で車による広報活動を行ったが、音による情報の伝達は、その時に聞けないと全く伝わらない。夜の9時には車による広報は行われていなかったようなので、こういう事態が発生した。
「ビラを配布して欲しかった」
という意見はもっともな意見だった。今回の事故によって影響が出たのは3500軒に上る。ここに急遽、チラシを配るとなると、区や町内会の協力が必要になる。当然、すべての家庭に給水を行うことも必要だ。今回のような事故が起これば、全世帯への給水作業が必要になるということだ。今後は違った対応が必要になる。

事故による教訓と今後の対応については、給水車の確保や非常時の給水パックの備蓄、役場の職員への動員の体制、自治区党への協力要請、飲食店などへの対応、広報の仕方、全戸への飲料水配布体制などだろう。検討すべき課題は多い。
今回の事故は、貯水池に送る給水管が損傷する事故だった。大谷の貯水池の水が濁るとどのエリアにまで被害が広がるのかを実際の事故で経験することになった。
どこで管が損傷したらどれだけのエリアに被害が発生するのか、という基本的な情報についても役場は把握する責任がある。
「いつ頃、濁り水はおさまるのか」
このような質問に職員は苦しんだ。事故の収束がいつになるか、なかなか見通せなかったからだ。貯水池が濁ったら、どれだけの水を抜かないと事態が収拾しないのか。こういうことは本当に見極められないのかについても聞いてみたい。

事故に対する対応については、文書を明らかにして、議会にも報告をしていただきたい。そうなるよう求めていきたい。


にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 和歌山県情報へにほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へにほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログへブログランキング・にほんブログ村へ

出来事事故,損害賠償,水道管

Posted by 東芝 弘明