少々長い反対討論になった。

かつらぎ町議会

12月19日に行った平成24年度一般会計決算に対する反対討論をのせておきます。

平成24年度かつらぎ町一般会計歳入歳出決算反対討論

平成24年度かつらぎ町一般会計歳入歳出決算について、反対討論を行います。今回、私は、決算審査特別委員会委員長として、決算審査で出された意見と要望事項をまとめて委員長報告を行いました。しかし、委員会の委員長は、かつらぎ町の会議規則を見ても、議事整理及び秩序保持権と委員会の招集権を持っていますが、委員会を代表する権限は持っていません。従って、委員長として報告を行い、同時に議員として反対討論を行うことは、矛盾するものではないということです。

もちろん、壇上で行った委員長報告における指摘事項については、基本的に意見が一致しています。中でも、財政を分析した結果、「一般会計決算は、一息つける状況になっています」とし、会計が好転した理由に20年度から5年間行われた国の経済・雇用対策を上げ、合併後11年目から1本算定に向かって交付税が削減されることを指摘して、本町の財政的課題を鮮明にしたことは、特筆すべき指摘になったと思っています。
本町は、バブル経済の時期も含め、一貫して財政は厳しいと表現してきました。しかし、ここには大きな誤魔化しがありました。住民に対し真摯に向きあう自治体は、率直に財政状況を明らかにし、財政状況を説明する責任があります。今回の決算委員会では、町長を含め、財政が一息つける状況にあることを一致して確認できたことは画期的です。今後も積極的に事実を明らかにし、ともに住みよいかつらぎ町を作るために行政運営をおこなうことを期待いたします。

私の反対討論は、なぜ日本共産党町議団が、24年度の一般会計決算に反対するのかを積極的に明らかにするものです。
予算編成のときに、党議員団は、長期総合計画の実施計画がないのに、行政改革大綱が示され、職員の削減と民間委託をはじめとして、コスト優先で行政改革を先行させようとしていることに危惧を表明し、行政改革が計画どおり実施されると、協働のまちづくりの本来の趣旨が阻害されかねないと指摘しました。

行政改革の露骨な姿勢が端的に表れたのは、天野小学校の廃止でした。平成24年12月議会に天野小学校を廃止する議案が出されました。これは、統廃合は地元同意に基づいて行うとしていた教育委員会と町長部局の基本方針を、自分たちで踏みにじり、問答無用の態度を取って、天野小学校の廃止を押し切ろうとする暴挙でした。
日本共産党町議団は、このとき、引き続き統廃合に向けて協議を行うべき、当面天野小学校は存続すべきという態度を鮮明にしました。これは、教育委員会と町長部局の基本方針を貫くべきだというものでした。
天野小学校区では、天野に移り住みたいという人々の意向をよく調査し、地域ぐるみで親身な受け入れ体制を作って、多くの移住を実現し、若い子育て世代も増え、近い将来小学校に入学する子どもも増えるという状況を実現していました。この取り組みは、協働のまちづくりとして高く評価されるべきものです。
本町は、地域の力を最大限に評価し、地域発の町おこしを行政と住民との協働を作り出すために、地域担当職員を配置して推進を図ってきましたが、天野小学校の廃止を巡って、行政自らが協働のまちづくりを踏みにじってしまいました。この行為は、協働のまちづくりの取り組みを深く傷つけるものでした。質疑の中で協働のまちづくりをどう考えるのかを問いただしても、町長は一貫して言及を避けました。こういう態度だったことも記録に残しておくべきことです。

行政運営のずさんさは、フルーツ王国振興公社の設立にも如実に表れました。フルーツ王国振興公社は、早い段階からNPO法人にすることが選択され、設立検討委員会が2月に立ち上がりましたが、12月1日の設立まで10か月もかかりました。公社のために組まれた総予算は1831万3376円に上りますが、この予算の大半は、設立準備使われたことになります。
24年度は、かつらぎ町が、フルーツ王国振興公社を設立した年度であり、町の方針そのものが問われました。決算委員会は、公社について財政計画と事業計画の提出を求めましたが、提出されたのは簡単な財政計画のみでした。事業計画のないことが、事業の無計画さを端的に物語っています。
1800万円もの補助金を支出するのに、どうして自治体が関与できないNPO法人を設立したのか。どうして物産販売に主軸をおくような運営を選択したのか。どうして設立に10か月もかかったのか。これらを産業観光課に問いただしても、明確な答えは返ってきませんでした。
一連の経過をみれば、NPO法人の選択、物産販売への特化は、産業観光課以外の意志が働いたことを浮き彫りにしています。NPO法人の選択、物産販売への特化は、明らかに運営方針上の誤りだったといわなければなりません。
物事には、発展の歴史があります。産業観光課は、ふるさと雇用を活用して臨時職員を雇い、これらの職員を観光協会として活動させてきました。これは、産業観光課の働きかけによって、新に観光農園に取り組む例が誕生する、かつらぎ町に来る観光客が100万人を超える、などの成果の上に立って実施されたものであり、観光への取り組みを重視すれば、活性化につながるという見通しに立ったものでした。しかし、フルーツ王国振興公社の設立は、ことの経過を踏まえず、発展方向を見失うものでした。事態を発展の軌道に戻すことが求められています。委員長報告にあるように、率直な反省と運営方針の転換を求めるものです。
天野小学校の廃止とフルーツ王国振興公社の設立問題は、地域おこしやまちづくりを真摯に考えていないことを、傷に塩を塗るがごとく、痛切に自覚させるものとなりました。このような姿勢を変えないかぎり、かつらぎ町の発展は望めないと言わなければなりません。

もう一点、絶対に許せないのは、町職員の残業代の未払い問題です。平成24年度は、職員の退職を巡って残業代を支払うかどうかが焦点となりました。「残業代を請求されたら支払う」という12月議会の答弁を踏まえ、対応がおこなわれました。その結果、請求した人には残業代を支払い、請求しない人には残業代を支払わないという対応が行われました。現職の職員については、永久代休にカウントしている残業代を支払いませんでした。
本町は、超勤の予算を消化した以後は、職員に残業代を支払わず、代休を取るよう指示し、残業時間を永久代休としてカウントしています。永久代休という言葉は本町独自の造語です。
残業を代休に振り替える際に絶対に行わなければならないのは、割増賃金の支払いです。つまり、2割5分増しの残業代は、給与支払いから次の給与支払いの期間において必ず精算しなければなりません。本町は、予算消化後は、割増賃金を払っていません。これは、明らかな違法行為です。
残業時間を代休に振り替えるにしても、振り替えることができるのは、給与支払日から次の給与支払日の期間だけです。当然代休日は、残業の振り替えなので勤務をした扱いになります。残業を永久代休として、数か月に渡ってカウントすることは許されません。
残業時間を平日勤務に振り替えるのは、労働者の健康を保持するために行うものであり、この趣旨からいえば上司は、振替日を指定して、代休を与える必要があります。この場合、労働者の労働時間は、平日勤務と残業とが相殺されるので、過重な労働時間が解消されることになります。上司が代休を命令によって指定しないと健康上の理由で代休を与えるという主旨は貫徹しません。永久代休としてカウントして、平日も夜も勤務を続けさせることは、長時間労働を野放しにし、かつ残業代を支払わない許されざる違法行為だということです。
町当局は、残業代を支払わなければ、法によって2年で時効が成立することを十分自覚しています。時効が成立すれば、残業そのものが消えてしまいます。永久代休をカウントし代休の権利があるとしながら、残業代を請求されれば、2年間のみ支払うという行為は、不誠実の極みです。

地方自治体の一般職に対して、労働基準監督署は指揮監督権を持っていません。本町が実施している違法行為を正す権限は公平委員会にあります。しかし、公平委員会の判断を待つまでもなく、町長がこの問題に対し、法律を守って原則に立ち返るよう求めます。

私は数年前から、残業代の未払いを重視して、解決を求めてきました。この問題についての到達点は、決算委員会に法律と条例の資料が出されたこと、「勤務時間の割り振りは条例に根拠があり違法ではない」という見解が出されたことにあります。
決算委員会で担当課長は、「職員の勤務時間、休暇等に関する条例」の第4条第1項の規定によって、勤務時間の割り振りは違法ではないという答弁を行いました。これは驚くべき答弁です。もし、条例によって、残業を永久代休として数か月もしくは幾年にも渡って割り振れるという解釈が成り立つのであれば、それは、明らかに条例の不備であり、改める必要があります。

労働時間と賃金は、働いたら働いた時間に応じて賃金を支払うという原則によって成り立っています。残業をしているのに、事実上残業代を支払わず、永久代休が数百時間も数千時間も累積し、未消化のまま退職している事態が、法に触れていないというのは、法律の異常な解釈以外の何ものでもありません。
私の数年に及ぶ追及に対して、このような法解釈が到達点だというのは、極めて恥ずかしいことではないでしょうか。このような法解釈が、かつらぎ町の行政水準だとでもいうのでしょうか。

私が、残業代の未払いを追及し改善を求めてきた理由は2つあります。
1つは、法令遵守を守る自治体を作ることが、地方自治体にとっては、命と同じくらいに大事だということです。決算委員会では、法律の原則を踏まえない対応が散見されました。かつらぎ町には、自治体の質が低下しているような事態があります。
行政の質の低下と雇用のルールを守らないことは深くつながっています。労働者にとって働くルールは、最も根本的な問題であり、この分野での違法な状態は、すべてのことに深刻な影響を与えます。
雇用主として残業代をまともに支払わない自治体の長が、職員に信頼されるでしょうか。町長が法令遵守や質の向上を訴えるのは、自己矛盾を引き起こしているのではないでしょうか。雇用のルールを無視する行為は、自治体の法令遵守の姿勢を台無しにする許しがたい問題だということです。

2つは、残業未払いが職員の士気を破壊しているということです。労働者は、労働時間によって管理されます。一生懸命働いても残業が発生し、残業したら残業代を得るというのは、当たり前のルールです。残業未払いは、一生懸命働いた職員を全く評価しない仕打ちです。また、代休を取れといいつつ、代休を保障しない現状は、真面目に残業している職員の心身を破壊するものです。町当局は、残業未払いが、働く者の誇りを踏みにじっていることを自覚すべきです。
本来、正常な雇用主は、労働時間を徹底的に管理し、残業代を含め賃金を支払うことによって、仕事量を見極めます。しかし、サービス残業が当たり前の職場では、必要な労働量が明確にならず、人員確保の必要性さえあいまいになります。
本町は、財政的な理由で職員を減少させてきました。合併した翌年である平成18年4月1日の職員数は、278人ですが、平成24年4月1日の職員数は、226人となり、6年間で52人減少しています。このような状況なのに組織運営の改善方針はありません。結局は、長時間労働が組織運営の改善方針を必要としない原因になっています。これは、課長を頂点とする課のマネジメントを根底から破壊するものだといわなければなりません。

雇用のルールの確立は、避けて通れない課題であり、違法な状態を続けるかぎり、本町に法令遵守の姿勢を確立することはできないし、職員の士気は上がらない。自治体として質の向上は望めない──これがこの問題に対する結論です。

以上が、私の反対討論です。
本町は、職員を減少する中で、過疎化、少子化、高齢化に立ち向かい、地域経済の活性化と住民自治の活性化に取り組まなければなりません。少ない職員体制のもとでも、専門的な知識や資格をもった職員を必要な部署に配置し、職員の質を高め、住民の願いに深く応えるようになるべきです。そのためには、議会の活性化も必要です。本町が、そういう方向に向かって、現状を打破することを願って、反対討論を終わります。


にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 和歌山県情報へにほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へにほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログへブログランキング・にほんブログ村へ

かつらぎ町議会

Posted by 東芝 弘明