『Love Letter』

雑感

LoveLetter

昨日の夜中、お風呂から出て、WOWOWから録画してあった映画『Love Letter』を観た。中山美穂さんが一人二役を演じた映画で岩井俊二監督の劇場用長編映画の第1作となる作品だった。主演男優は豊川悦司さん。公開は1995年3月となっている。中山美穂さんが25歳の時の作品だろう。
何気なく見始めた映画だった。映画は、主人公の一人渡辺博子(中山美穂)が、雪の中に仰向けに寝て空を見上げているシーンから始まった。恋人の3回忌法要に参列するために彼女は雪の中にいた。
彼女の婚約者だった藤井樹(たつき)は、2年前雪山で遭難し帰らぬ人になっていた。藤井家はかつて北海道の小樽に住んでいて、樹は中学校卒業間際までそこで生活していた。住んでいた家は、国道建設による立ち退きによって道路になっているのだという。博子はそのことを知ったときに、樹の卒業アルバムに載っていたかつての住所を調べて手紙を出す。
物語は、ここから動き出した。
宛先のない「天国(の樹)に出した」はずの手紙は、小樽の藤井樹(中山美穂)という同姓同名の女性の元に届く。神戸に住む博子と小樽に住む樹との間で奇妙な手紙のやり取りが繰り返される。

最初、一人二役という設定が理解できず、混乱しながら映画を観ていた。博子が出した手紙を博子が受け取るというように見えたので、映像を見ながら混乱してしまった。博子の新しい恋人である秋葉茂(豊川悦司)は、亡くなった藤井樹の親友の一人だった。彼は、藤井樹という名前から届くワープロ打ちの奇妙な手紙を見て、小樽に行こうと提案する。二人が小樽に着いて、住所を探し当てる頃からようやく話の全容が見えてきて、中山美穂が一人二役を演じていることが分かってきた。髪型が同じ、服装だけが違い、性格が少し違うという設定の元で、奇妙な手紙のやり取りがより一層奇妙なものに見えていた。

話の骨格を見えないように描いている。そう感じた。神戸も冬、小樽も冬、どちらの街も雪景色を描いた中で、観る人が混乱するように描かれており、途中からすべての謎が解けるという仕掛けになっていた。ぼくは、博子と茂が小樽に行き、藤井樹の家を探し当てるまで謎解きが十分できなかった。一人二役という設定が理解できたときに謎が解けるので、混乱しながらボーッとして観ていた自分を目覚めさせるような思いが残った。1度観たらどうしてももう一度見直したくなるような演出だった。
市立の図書館に勤める藤井樹(中山美穂)の感じがいい。後半は、彼女が同姓同名だった同級生の藤井樹(柏原崇)の中学校時代を思い出すシーンが描かれていく。中学生女子の藤井樹は、酒井美紀が演じている。中山美穂に少し似ている酒井美紀さんが印象深く描かれている。
20年前の映画だったので、ネタバレのような文章を書いた。観たことのない方は、『Love Letter』について、ぼくが書いたような文章を読まない方がいいかも知れない。読んでしまった方は、最初から混乱しないで映画を観られるといういい面もある。ここに書いたことを事前に知っていても、映画の魅力は半減しないと思う。Amazonのレビューを見ると、多くの人が何度も見たい作品だと書いてあった(言い訳かな?)。

さわやかな印象を与えてくれる映画を観てから眠ろうとすると、なかなか寝付けなかった。

WOWOWは、昨年TBSで放映されたMOZUに引きずられ、娘に促されて有料視聴するようになったものだ。見始めると、嫁さんが、映画や演劇を録り溜めて見るようになった。コマーシャルの全くないドラマと映画はなかなかいい。

今朝、玄関に男の人が入ってきて、本を配達してくれた。『東芝弘明の日々雑感3』2006年1月から6月までの本だった。読んでみると、記憶がない記事がいくつも存在する。うっすらと印象だけが残っているものと覚えているものとが混在している。
Fさんからホワイトボードを頂いた?。これは、事務所にあるあのホワイトボードだ。でもFさんって誰?。思い出そうとしても記憶が結べない。
日記を書く行為は、「人生を2度生きる」ということに等しいと言った方々がいる。でもね、時間が経って日記を読み返すと記憶がすっかり失われているので、人生を三度生きることにつながるような気がする。

書いても忘れることの方が多い。
忘れるということはすばらしい。


にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 和歌山県情報へにほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へにほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログへブログランキング・にほんブログ村へ

雑感

Posted by 東芝 弘明