人間は自分自身の手で歴史をつくる

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赤旗日曜版の4月11日号に「『日本近代史を読む』監修者 宮地正人さんに聞く〝歴女〟への通史の薦め」という記事がありました。
この記事を読んで、目を見開かされるような感慨がおこりました。
この記事は、龍馬伝などによって、静かな歴史ブームにある中で、通史を学ぶ薦めを説いています。
歴史を好きな人の中には、エピソードが好きな人が多いと思われると宮地さんは語っています。
エピソード主義の特徴は、「楽しみとしての歴史です」と語り、「その歴史に構造はない。変化はあるけれど進歩や変革がない」と続けています。
エピソード主義ではない歴史認識とは何でしょうか。
「自分がどこから来てどこへ行こうとしているのか。自分を立体構造のなかで位置づけられる歴史の理解です。その人間がいかに生き、いかに死ぬか。主体的に生きる歴史理解です」
「人はだれでも歴史意識を持っています。本人が意識しているかどうかは別にして。善悪の判断や、どの党に投票するか、この人はうそをついているかどうか、などの判断は歴史意識なしにはできません。しかし、歴史意識にとどまっていては歴史の論理、つまりどこからどう動いたか、なんで動いたかという論理が組み立てられません。歴史意識を歴史認識に発展させる努力が必要です」
宮地さんはこう語った後、通史を学ぶ必要性をといて、年表で歴史の流れを説明できるようになることと史料からものを考える訓練が必要だと指摘しています。
ぼくが、衝撃を受けたのは、歴史認識を培わないと人間がどう生きるべきなのか、自分がどこから来てどこに行くのかが見えないという指摘でした。
何のために歴史を学ぶのでしょうか。それは、現在の時代を理解するためです。全ての物事には、事の起こりと発展というプロセスがあります。歴史を学ぶということは、さまざまな力が物事に働きから見合って進んできたことを学ぶことであり、同時にさまざまな物事の生成と発展、ときには衰退や消滅の経過を学ぶということです。
これを学ぶことが、現在を深く知ることにつながります。言い方を変えれば、過去から学ばなければ、現代という時代は見えないということです。
さらに、現代という時代が見えなければ、未来を見通すことはできません。
坂本龍馬でいえば、さまざまな作品で描かれている坂本龍馬は、史実から離れるかも知れませんが、その時代の流れを自覚し、開国を熱望し動いたということです。
現在進行形の歴史を感じ取って、その歴史を進歩の方向に進めることを自覚して生きるということは、なかなかできるものではありません。
なぜ、幕末のなかで、多くの人々がそう動いたのか。歴史を学ぶということは、そういうことを学ぶということなのではないだろうかと思います。
自分たちが生きている時代を客観的にとらえて、現在という時代を読み解いていくのは、なかなかできません。なぜか。自分も歴史の流れの中に身を置き、当然その流れの中で動いているので、客観的な視点で時代をとらえられないからです。
過去を描いた大河ドラマや時代劇は、過ぎ去った歴史の流れの中で人間がどう生きたのかを描きます。いわば、歴史の流れを知っているので、全知全能の神の視点をもって、過去の時代を生きた人間を描くことができます。しかし、現代劇は、同時進行している時代の中で、現在と現代を描くということになるので、その時代の中で人間がどう生きたのかを描きにくいのです。
現在という時代を読み解いていくためには、少なくとも明治・大正・昭和・平成へと動いてきた歴史に対する歴史認識が必要になってきます。
日本共産党は、明治から昭和にかけての歴史に対する深い認識の下で、党の理論を組み立ててきました。戦前の日本の境体制の特徴、第1次世界大戦と第2次世界大戦の歴史的な性格の違い、ポツダム宣言を受け入れ日本が無条件降伏をおこなったことの歴史的な評価と歴史的な意義、──こういう点に対する日本共産党の認識は極めて鮮明です。
日本は、明治・大正・昭和・平成という歴史的な経過のなかで、進歩・発展してきました。日本の1868年の明治維新を起点にしても、12010年の現在に至る歴史は、紆余曲折やジグザグを経ながらも進歩と発展の方向に大きく動きました。
第2次世界大戦以後、全世界で平和の流れが非常に大きくなっています。ヨーロッパ、アジア、ラテンアメリカの国々を見ても、いつ戦争が起こっても不思議ではないというような状況にはありません。
人類は、2つの世界大戦を経て、戦争の世紀から脱却しつつあります。
人間は、自分自身の力で歴史をつくる。──そうであるならば、自分とは一体何か、自分はどう生きるべきなのか。ということを見据えて、自覚的に生きる生き方を選択しようではありませんか。
たった一度きりの人生です。自分とは何かという深い認識もなく、時代への認識もつちかえずに、歴史の流れに流され、濁流に呑み込まれて生きるのではなく、歴史をより良い方向に発展させる生き方を選択すべきではないでしょうか。
そっちの人生の方が面白いと思うのですが、いかがでしょうか。
日本共産党は、人類の歴史は、もっと発展すると考えています。時代は紆余曲折を経ながらも進歩と発展の方向に進んでいくという認識をもっています。資本主義という狭い市場経済にととまらず、人間の歴史はもっと豊かな方向に進んでいく。こういう見通しがあるからこそ、楽天的なのだといえます。


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Posted by 東芝 弘明