憲法カフェ開きました

出来事

昨日、橋本市のKさん宅で憲法カフェを開き、講師をさせていただいた。弁護士の先生を予定していたが、平日は仕事があり弁護士の方を講師にということが叶わず、ぼくに講師の依頼がまわってきたということだ。
憲法のことを調べるのは面白い。日本国憲法に至る成立過程そのものが、非常に興味深い。明治時代の1890年に施行された大日本帝国憲法と1947年に施行された日本国憲法の関係も興味深い。日本国憲法の成立過程を調べれば調べるほど、第2次世界大戦という戦争が何であったのかが、浮き彫りになって来る。
今回の憲法カフェは、第1回だったので憲法の成立に至る歴史を簡単に紹介した。日本国憲法の成立の動機になったのは、ポツダム宣言であり、このポツダム宣言を受け入れたことによって戦争が終結した。ポツダム宣言を受け入れたのは天皇制政府であり、大日本帝国憲法を改正したのは帝国議会だった。しかも、大日本帝国憲法は、廃止されたのではなく改正されたということだ。

押しつけ憲法論というのは、ポツダム宣言を受け入れた天皇制政府の決断を否定することにつながってしまう。それは、戦後政治の出発をも否定することになってしまう。ポツダム宣言は、日本が誤った戦争への道を突き進んだ軍国主義を除去するために、日本の民主化を図ることを内容としていた。この約束に基づいて生まれたのが日本国憲法だった。当時の政府の中心にいた政治家たちは、自分たちの手で新しい憲法草案を作ったが、その内容は、大日本帝国憲法とほとんど変わらないものだった。同じような時期に民間人による憲法草案が発表されたりしていたが、その中には国民主権と基本的人権の保障などを内容とするものもあった。
政府は、憲法問題調査委員会(委員長・松本烝治国務大臣、松本委員会)をつくり、憲法草案の策定にかかった。政府が「松本試案」を提出しようとしていた矢先の2月1日、『毎日新聞』が「松本委員会試案」をスクープした。この松本試案は、本物の「松本試案」(2月8日にGHQに提出)ではなく、松本委員会の委員であった宮澤俊義が作成したものだった。しかし、GHQは、毎日新聞がスクープしたものこそ、本当の「松本試案」だと判断した。「松本試案」の出来の悪さに驚いたGHQは、ポツダム宣言が求める内容で「マッカーサー草案」を作成することになる。この草案は、2月3日から13日のわずか11日間で作成された。この「マッカーサー草案」が日本国憲法の原型になった。押しつけられた憲法という点では、「マッカーサー草案」が押しつけの具体的中身になるということだろう。
しかし、押しつけられた内容は、国民主権と基本的人権、恒久平和、議会制民主主義、地方自治を内容とするものだった。押してけられたのは誰かを考えると、押しつけられたのは、大日本帝国憲法に固執する政治家だった。国民は、憲法の積極的な内容を支持したと思われる。

ポツダム宣言には、「日本政府は日本国国民における民主主義的傾向の復活を強化し、これを妨げるあらゆる障碍は排除するべきであり、言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立されるべきである。」と書かれている。アメリカをはじめとする連合国は、日本に民主主義を求める運動があったことを自覚しており、基本的人権の尊重を求めている。この流れは、近代憲法の基本であり、日本国憲法は、戦争を終わらせて民主的な国家を形成すべきだという世界史の流れに沿ったものだった。

第2次世界大戦の結果と日本国憲法制定に至る歴史は、現代史を学ぶ上で最良のものの一つになっている。私たち戦後の日本人の誇るべき原点は、日本国憲法の成立にある。

憲法カフェは、ものすごく豊かな内容を持つ憲法を学ぶ最初の小さな一歩だった。憲法を目の前に置けば、非常に豊かな活動が展開できる。昨日の憲法カフェは、語り合い笑い合って、笑顔の溢れるいい集まりになった。憲法をテーマにすれば、さまざまなことが見えてくる。


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出来事

Posted by 東芝 弘明