地元県議、当選した議員に祝儀を手渡す

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毎日新聞を引用しよう。

門三・和歌山県議:当選のかつらぎ町議に現金--公選法違反疑い
 和歌山県の門三佐博(かどみさひろ)県議(74)=自民党県議団=が、先月25日に投開票された同県かつらぎ町議選の当選者に、当選祝いとして現金を渡していたことが分かった。かつらぎ町は門県議の選挙区内にあり、公職者による有権者への寄付行為を禁じた公職選挙法(寄付行為の禁止)に抵触する可能性がある。門県議は毎日新聞の取材に現金を渡したことを認め、「政党の支部長として支部の金で出した」と釈明している。
 かつらぎ町議選には定数14に対し現職12人、元職1人、新人4人が立候補した。門県議は先月25日夜、当選者の事務所などを回り、町議数人に、現金5万円を入れた祝儀袋を手渡したという。
 取材に対し、門県議は「政党支部の金で、問題ない」と説明。しかし関係者によると祝儀袋に政党支部名でなく、門県議の個人名が記されていたといい、門県議も個人名を書いたことを認めている。受け取った無所属の町議は「お祝いとして県議個人から頂いたと思っている」と話した。【久保聡】
毎日新聞 2010年8月12日 大阪朝刊

この記事についての全員協議会が午前9時から行われた。
この記事の中にある「門県議は先月25日夜、当選者の事務所などを回り、町議数人に、現金5万円を入れた祝儀袋を手渡したという。」──この記述にリアルさがある。ここまでリアルになぜ書けたのか。というのが興味深い。
記事によると、このリアルな記述が事実であることが確認されている。
記事の中で重要なのは、「関係者によると祝儀袋に政党支部名でなく、門県議の個人名が記されていたといい、門県議も個人名を書いたことを認めている。」ということだ。
公職にある政治家もしくは候補者になろうとする個人による当選祝いは、公職選挙法が規定する寄付行為に当たり、寄付行為の禁止に抵触する。
公職選挙法を引用しておこう。

(公職の候補者等の寄附の禁止)
第199条の2 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。以下この条において「公職の候補者等」という。)は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域。以下この条において同じ。)内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。ただし、政党その他の政治団体若しくはその支部又は当該公職の候補者等の親族に対してする場合及び当該公職の候補者等が専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会(参加者に対して饗応接待(通常用いられる程度の食事の提供を除く。)が行われるようなもの、当該選挙区外において行われるもの及び第199条の5第4項各号の区分による当該選挙ごとに当該各号に定める期間内に行われるものを除く。以下この条において同じ。)に関し必要やむを得ない実費の補償(食事についての実費の補償を除く。以下この条において同じ。)としてする場合は、この限りでない。

現職の県会議員が、かつらぎ町民である町議会議員に対し、当選祝いを贈ることは、まさに寄付行為に当たる。この行為は、第199条の2項の規定によって、明文をもって禁止されている。
だからこそ、県議は、今回の当選祝いについて、「政党支部の金で、問題ない」と答えている。こういう事実がないと県議は深刻な事態に直面する。
今回冒頭で引用した記事は、和歌山県内に配達された毎日新聞の記事をさらに短くしたものだ。
県内に配達された記事で県議は、個人で立て替えたが次の日、政党支部の金で精算したと語っている。
まずは、個人のお金で当選祝いをおこなったが、それは支部のお金から支出する予定であり、現に翌日、支部のお金で精算したというのが、県議の釈明だ。
政党による寄付行為であれば、政治家個人による寄付行為ではないので、第199条の2項に抵触しなくなる。
そうであるならば、なぜ自民党支部名で当選祝いを渡さなかったのか。どうもしっくりしない。
県議のこの言い分に対し、記事に最後に受け取った議員の証言が掲載されている。
「受け取った無所属の町議は『お祝いとして県議個人から頂いたと思っている』と話した。」
個人名の祝儀は、個人からのお祝いだったと思っているという証言は重い。
この証言は、自民党の支部から祝い金をもってきたという認識がないことを物語っている。
「県議が個人名で当選祝いをもってきたという事実がある。この事実は重い。受け取る際、県議の個人名による当選祝いは、公職選挙法に違反するのではないか、これは寄付行為にあたるのではないか、という疑いをもつべきだったのではないか。議員の方々は、県議会議員が有権者に対し寄付行為をおこなってはならないということを知っているはずだ。受け取るべきではないと考えるべきだったのではないか」
ぼくはこう発言した。
今日の全員協議会では、これらの一連の事実の重さを確認して、受け取った議員は、当選祝いを県議にお返しすることが確認された。
誰が祝儀を受け取ったかということが気になる方々が多いだろう。
全員協議会では、誰が受け取ったかは、「あえて明らかにしない」ことが冒頭確認され、協議に入った。もちろん、日本共産党の議員が受け取らないのは明らかだし、当選祝いにも駆けつけてこなかったのも明らかだ。女性議員は、私は当選祝いを受けていないと会議で語った。
今回の記事は、毎日新聞の社会面に掲載された。和歌山県版の記事の範囲を超えている。
かつらぎ町議会の見識が問われる事件だった。


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Posted by 東芝 弘明