10年後の農業の未来を考えるシンポジウム

出来事

10年後の農業の未来を考えようというシンポジウムが開かれた。農業を実際に行っている人々が、農業の10年後を考えようという企画は意欲的だった。こういう企画を考えて、しかも前向きに話を組織できたこと自体、すごいことだと思われた。いかに農業がだめになっているか、どうしなければならないか、という捉え方が一般的であり、そもそも農家の人々を集めて未来を語り合うということが、なかなか恐くてできない。
そういう状況を突き抜けて、10年後の農業の未来を考えようというテーマで人々を集め、成功させるために多くの人からメッセージを集めてそれを軸にシンポジウムを組み立てたことに拍手を送りたい。パネラーと会場とのやり取りは、積極的なものであり、このようにして集まって、未来を語り合い、話し合い、力を合わせることの大切さが浮き彫りになる集まりになった。

農家は一人親方で、家族経営を基本にしているが、互いの仕事を支え合ったり、協力し合ったりするのは、小さな規模で実現していた。近年は、「人様よりもいい物を作ろう」という競争が組織されて、農家がバラバラになり、いい物を作る人の中にいわば「企業秘密」のようなものができて、技術の共有もままならない状況に置かれていた。しかし、歴史を紐解いていくと農業の中には競争など存在しなかった時期が長かったことがわかる。競争をする必要のない時代は、資本主義でなかった時代だ。封建領主の下で抑圧された支配の仕組みがあっても、村が団結して直訴や一揆が発生したのは、村民の中に競争が存在しなかったからだろう。

紀ノ川農協は、農民組合という農家の組合を組織し、共同組合だけではなく、農家自身の団結を組織している。農家自身の団結と協力、協同を組織していること自体が未来を開く力になる。農業の未来を信じて、技術を共有し話し合って一緒に地域をつくっていく。この方向に未来があり、この努力が日本の農業を守る力になる。
日本は農林水産業の再生なしに再生しないということだろう。自民党が戦後、アメリカの要求を受け入れて日本の農林水産業を破壊してきた罪は大きい。このような方針をとって、農林水産業を抑え込んできたことが、日本の衰退、人口減少を引きおこしている。自給率を50%に引き上げる努力は、地域の農業を再生する努力に他ならない。単なるスローガンではなく50%を目標に、地域の再生力を信じて農業を再生させていく努力が国や地方自治体に求められている。
このシンポジウムは、このことを気づかせてくれるものだった。

こういう企画をさらに続けていくことが求められている。


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Posted by 東芝 弘明