京丹後市への視察

かつらぎ町議会

1月22日に視察した京丹後市の「ささえ合い交通」について、議長に提出した報告を掲載しておこうと思ったので、2日にわたってブログに載せておきたい。

○ 研修日時及び視察先
日時 平成31年1月22日(火)午後1時30分〜午後3時30まで

視察先 京丹後市丹後庁舎

○ 研修を受けての所感
丹後町で実現していたNPO法人運営の「ささえ合い交通」は、「公共交通空白地有償運送」として住民によるタクシーを実現したもので、運行が実施されたのは2016年5月26日だった。タクシーの運行は、ボランティアである住民が、一定の講習を受けてドライバー登録するもので、自分のマイカーを活用しているところに特徴がある。スマートフォンなどのソフト「ウーバー(Uber)」を作った会社と提携して配車システムを実現しているので、運行中の車があるかどうかが、利用者に一目で分かり、最短では1分ほどで配車できるというものだった。また、ドライバーの都合により運行に参加できない場合は、ドライバー用のスマートフォンソフトで、ワンタッチで運行から離脱できるようになっており、利用者側と運行側の利便性という点で、卓越したシステムを実現していた。

ウーバーについては、ウキペディアには次のような記述がある。
「2015年10月20日、国家戦略特区諮問会議で、内閣総理大臣安倍晋三は『過疎地などで観光客の交通手段として、自家用自動車の活用を拡大する』と述べ、一般の人が自家用車で有償送迎する『ライドシェア(相乗り)』を可能にする規制緩和を検討するよう指示したが、対象は地方を中心とする国家戦略特別区域であるため、日本で一般ドライバーによる、本来のUberサービス開始時期は未定である」

政府のこの動きに対し、タクシー業界は、「ライドシェア」は白タクであり、安全性の確保も利用者の保護もできないなどの理由で反対している。
丹後町で実現している自家用自動車によるタクシー型サービスは、非営利の「公共交通空白地有償運送」であり、この点で道路運送法の問題をクリアしている。また、ドライバーの登録については、研修の義務付けと定期的講習を基本に、日常運行の17条に及ぶルール(ドライバー憲法17条)を守ることのできる人のみを登録する制度にしており、毎日の運行でも、対面によるドライバーの健康チェックを行っている。NPO法人が認めたドライバーでなければ、運転手になれないこの仕組みは、ライドシェアとは全く異なっている。この方法を守るのであれば、ドライバーの管理においては、福祉有償運送とほとんど変わらないだろう。

福祉有償運送との違いは、利用者登録が必要ない点にある。福祉有償運送の場合は、利用者の事前審査と事前登録が必要である。丹後町の「ささえ合い交通」は、観光客でも利用できるもので、利用者を一切限定しないところに特徴がある。
ただし、「公共交通空白地有償運送」は、公共交通の空白地域であれば自由に運行できるが、エリア外の地域に移動したあと、エリア外から地元に帰る場合、「ささえ合い交通」の車に乗って帰ることはできない。この制度はここに制限がある。
丹後町の「ささえ合い交通」は、独立採算制のもとで運行されているので、タクシーの半額程度の利用料金が必要だった。この問題が横たわっているので、思ったほど利用が伸びていなかった。

○ 本町に照らした所見
「ささえ合い交通」は、かつらぎ町の場合、どのようなシステムの導入が必要なのかを考えるひとつのヒントになった。次の日、豊岡市に行って話を聞くと、営利目的のウーバーに住民の情報を渡していいのかどうかという問題意識が示された。この話を聞いて、ウーバーによるシステムでも、運営団体がドライバー管理を行えば、便利なシステムとして活用できるのではないかと思ったが、問題はそう単純ではないなと感じた。
本町の場合、タクシー会社に委託する形での乗り合いタクシーの実現を模索するべきだと感じた。その際、便利な運行システムの課題は、深く検討する必要があるのではないかと思った。


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かつらぎ町議会

Posted by 東芝 弘明