豊岡市への視察

かつらぎ町議会

今回は、豊岡市への視察について、報告した文書を掲載したい。

○ 研修日時及び視察先
日時 平成31年1月23日(水)午前9時30分〜午後12時まで
視察先 豊岡市役所

○ 研修を受けての所感
豊岡市の車関係の公共交通は、道路運送法第4条の民間路線バス(緑ナンバー車)及び市の運行依頼による巡回バス・コバス(市所有の緑ナンバー車)と同法第78条による豊岡市が国に申請して運行許可を得た市営バス・イナカー(市所有の白ナンバー車)及び地域主体交通チクタク(市所有の白ナンバー車両)によって成り立っていた。すごいなあと思ったのは、道路運送法の4条と78条に依拠し、公共交通に市が全責任を負って実践しているところにあった。法律の徹底的な理解によって事業を進めている優れた例だと思った。

道路運送法の改正によって、市町村が地域公共交通に対して全責任を負うようになったが、豊岡市のように路線バスの在り方も含めて、市が全責任を担う努力をしている例には初めて出会った。法律にもとづいて、地域公共交通の在り方を徹底的に考えて、地域住民のために改善を図ろうとしている姿には感銘を受けた。

公共交通は、市民の足を守る社会資本であるという基本が何度も強調された。この考え方は、市民が移動する権利は、基本的人権に関わるものという交通権の考え方につながるものだと感じた。公共交通は社会資本として市が責任を負うべきだという考え方は、選択と集中によって進められているコンパクトシティという考え方はとらないというところにも現れていた。

豊岡市の公共交通に対する基本姿勢は、地域住民との話し合いの中にも具体的に貫かれていた。イナカーについては、運行を続けるかどうかの基準が乗車人数によって定められており、利用が基準以下になればイナカーを廃止して、チクタクに移行することになっていた。
イナカーを廃止するときの住民との話し合いでは、最初かなり強い反発が出るという。しかし、市は、ねばり強く話し合いを重ね、イナカーからチクタクへの切替を実現していた。市と住民の話しあいを通じて、チクタクを担ってくれるドライバーができ、運行が実現したというのは驚きだった。チクタクを導入する場合、市が車を購入して貸与し、ガソリン代や車の維持管理費は市が責任を負い、事故などの場合についても、ドライバーの責任と市の責任の明確化が図られていた。こういう徹底した考え方が、住民のやる気を引き出したのだと思われる。住民に信頼される市とはどういうものなか。それを感じる視察だった。

市は、市職員ができることは限られているし、ノウハウにも限界がある。民間や大学の知恵と力を活用して、より良い仕組みやシステムを作るという市の基本的な姿勢も紹介され、大学との連携や企業との連携、人事の交流なども紹介された。こういう発想も驚きだった。
豊岡市には、本町にとって学ぶべき点が多面的に存在すると思った。

○ 本町に照らした所見
わがかつらぎ町も、基本的には地域公共交通に対し、自治体としての責任を自覚し、全責任を負うという姿勢で、公共交通問題に向きあう必要があると感じた。そのためには、公共交通が必要不可欠な社会資本であり、住民の移動の権利を保障する交通権という考え方を確立して、課題と向きあう必要があると思われる。
同時に地域公共交通の中で車関係の移動手段については、道路運送法の4条と78条の関係を深く理解して、コミュニティバスと乗り合いタクシーなどの関係を構築して、どういう交通体系を実現するのか、きちんとした考え方の基本を確立すべきだと思った。

これらのことを確立するためには、地域公共交通に関わる職員の体制について、考える必要がある。職員体制を構築できるかどうかは、自治体の仕事の中で公共交通の重要性をどう認識するのかにかかっている。この認識が確立できれば、人員配置はできるのではないだろうか。

今回は、企画公室の課長補佐とともに視察研修を行った。議員が何をどう感じて帰ってきたのか。何を本町の課題だと認識したのかということと、同行した本町がどういう認識をもったのかを率直に語り合う必要性を感じる。
議会と行政にとって、公共交通をどうしていくかは、共通の課題になっていると思われる。直面しているこの課題に対して、互いの認識を深め合うような意見交換の場が必要になっているのではないだろうか。追及する側である議会と追及される側である町当局にわかれて質疑をするだけではなく、共通認識というテーブルに座って自由に討議する場を確保して、認識を深めあう機会を設けてはどうだろうか。


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かつらぎ町議会

Posted by 東芝 弘明