NHKへの政治介入事件2 2005年1月15日(土)

雑感

今回のNHKの番組に対する事件で、情報量が多いと感じたのは、「しんぶん赤旗」だった。15日付の14面で「赤旗」は、NHKが朝日新聞に抗議したことを書き、「わい曲はない」と朝日新聞がコメントしたことを書いている。また、同じ紙面で、長井暁チーフプロデューサーを8500人のNHK労組(日放労)が支援したこと、日本ジャーナリスト会議が今回の政治介入に対して抗議声明を発表したことも伝えている。
朝日の取材に対する安倍氏と中川氏のコメント、報道を受けて出した両氏のコメント、NHKの見解が出てからの両氏のコメント、この3つのコメントを比較できるように記事を組んだのも「赤旗」だった。
興味深かったのは、昨日紹介した裁判の関係だ。
「赤旗」は、今回の番組改変問題について争われている裁判が、1月17日の口頭弁論で結審する予定だったが、東京高裁は「一連の報道を受け、審理継続の方針を示した」ことも伝えている。この裁判の原告団である市民団体は、NHKの長井暁チーフプロデューサー、安倍晋三自民党幹事長代理、中川昭一経済産業相の3人を承認申請した。
裁判の行方が注目される。
今回の政治介入事件に対し、韓国、中国、マレーシアが強い反応を示し、民主、共産、社民の3党は、事実解明に向け一致して追求することになった。
「事実によって語らしめる」という態度が、報道として一番大事だと思う。
今日、私が目を通した新聞は、「朝日」、「毎日」、「読売」、「赤旗」の各紙。
新聞紙上でこの事件について多方面にわたって書いているという点で赤旗が一番内容が濃かった。
インターネット上では、紹介した記事と同じ主旨の記事のほとんどが、
mainichi-msn
でも確認できるようだ。
/ここからは感想です/
おそらく一つの事件が起こると、さまざまなリアクションがおこり、新聞社にも情報が集まってくるようです。しかし、それぞれの新聞社は、編集方針をもっているので、集まってきた情報の取捨選択が起こるのでしょう。同じ情報を入手しても、新聞社によって扱い方が変わり、それが各新聞社の違いとなるようです。
読売新聞の報道姿勢は、「朝日」、「毎日」、「赤旗」と大きく違いました。報道姿勢は、NHK寄りです。また従軍慰安婦問題に対しては、独特な見解を社説で展開しています。次のリンクで社説を読めます。
1月15日付・読売社説(2)
この社説の最後から2つ目のパラグラフの文章が従軍慰安婦に対する読売の認識です。
また、この2つ前のパラグラフでは、<「女性国際戦犯法廷」では、天皇が「強姦」の罪などで起訴され、有罪が言い渡された>と書いています。
この書き方だと、天皇が直接「強姦」の罪を犯したので起訴され、有罪になったと読めます。こんな事実は一切ありません。読んだ方は、「女性国際戦犯法廷」が極端で一方的な判決を下したと受け取る可能性が大きいと思われます。この文章のミソは、強姦にカギ括弧を付け、しかも<「強姦」の罪>としているところです。強姦罪としていないので、天皇が直接強姦罪で罪に問われたわけではないと、説明するのかも知れません。
読売新聞の社説では、この極端なものとして描いた「法廷」を批判して、<このような性格の「法廷」の趣旨に沿った番組が、「制作現場の自由」としてもしそのまま放送されたとすれば、NHKの上層部はあまりに無責任、ということになる。>と締めくくっています。
これは、読売新聞の都合のよいように要約して、それを否定してみせるというやり方だと思います。自作自演です。
今紹介した読売の社説と次の文章とを比較して下さい。これは、チーフプロデューサーの発表文の一節です(番組はどのように改変されたかを説明した文章)。
<「女性国際戦犯法廷」が、日本軍による強姦や慰安婦制度が「人道に対する罪」を構成すると認定し、日本国と昭和天皇に責任があるとした部分を全面的にカットする。>
説明するまでもなく、日本軍がおこなった強姦や慰安婦制度に対し、天皇にも責任があることを語った文章です。
社説は新聞社の顔です。こういう編集の仕方をする読売新聞は、事実を伝える新聞から遠く離れた地点に立っているといわざるをえません。


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雑感NHK

Posted by 東芝 弘明