NHKの党首討論 2005年8月29日(月)

出来事

午後1時からNHKで党首討論があった。見た方もいると思う。
自民党総裁の小泉さんと民主党党首の岡田さんとの郵政民営化のやりとりを聞いていると、民主党案のでたらめさがよりいっそう浮き彫りになった。自民党は、曲がりなりにも10年間かけて郵政民営化をスムーズに進めようという提案を国会におこなった。郵政公社になって2年しかたっていないのに民営化をしゃにむに進めることに民主党は反対したようだ。しかし、同党は「民間にできることは民間に」という方向では自民党と一致している。根本的には郵政民営化賛成──これが民主党のスタンスだ。
小泉さんは民主党のよって立つべきスタンスを指摘しながら、岡田代表の質問に対し自民党案に反対なら対案を示すべきだと反問した。
民主党は、選挙戦になって対案を示してきた。その中身は、郵貯の限度額を1000万円から500万円に引き下げるというものである。この方針で郵政を運営すれば、経営が苦しくなるのは明らかだ。
小泉さんは、次のような趣旨の発言をおこなった。
「民主党の案でいえば、郵政は赤字になって、経営が苦しくなる。そうなったら職員をどうするんですか。経営破綻した上で民営化しようというんですか」
この反論に民主党の岡田代表はまともに答えられなかった。
自民党案で郵政事業を民営化したら、経営が公社の時代より悪化して、収益が落ち、さらに現在の公社の国庫納付金より法人税等の税収入が落ちる。
これは政府が作った経営骨格試算によって明らかになっている。政府の試算だから、国会答弁で竹中平蔵さんはこの関係を認めている。しかもこの試算によれば、郵便貯金事業は、完全民営化する2016年度には600億円の赤字に転落する。公社のままだと1385億円の黒字で、郵貯だけでも国庫納付金を600億円も納めることになる。
郵政3事業は、3事業の合計で見ると過去も現在もずっと黒字続きで、平成15年度は、2兆円を超える純利益を生み出している。16年度利益は1兆2000億円台だったが、年度によってはトヨタ自動車を超える国庫納付金を納める計算となる(納付は4年に一度)。
郵政事業の規模は20兆円台で、経費は18兆円だということだから、国民の小口金融と保険を扱う日本最大の金融と保険になっている。
「どの金融機関が最もサービスがいいと思うか」というアンケートで、郵政事業はたえずトップである。金融の事業が、マネーゲームにシフトし、元本保証を1000万円までしか認めないというペイオフ解禁の時代となったなかで、郵政事業に信頼が集まるのは当然のことだろう。金融危機がいわれるたびに、銀行が破綻するたびに、郵便局への信頼が高まってきた。これは当然の成り行きだった。
現在の良好な経営状態を解体し、国庫への納付という点でも民営化の方が成績悪化をまねくのを知っておきながら、小泉さんも竹中さんもどうして郵政民営化に一路邁進するのか。
ここに謎解きのポイントがある(謎解きは別の機会に)。
さて。
自民・公明・民主は、そろって配偶者控除や扶養控除を廃止しようという方針をもっている。
東京都議選の時、自民党は政府税調の答申に対して「タイミングが悪い」といった。
都議選の直前に増税計画を出されたら、当選に差し障りが出てくる、選挙が戦いにくくなるということだったのだろう。
今、自民党は「サラリーマン増税はおこなわない」といっている。小泉さんも志位さんの質問に対してそう答えた。ただし、次のようなニュアンスを含んでいたことは記憶しておく必要を感じる。
「サラリーマンだけに対する増税はおこないません。もっと広く抜本的に税体系を見直していく」
この答弁は、「各種控除の廃止をうたった与党税調の方針を撤回するのかどうか、イエスかノーか」という志位さんの質問に対する答えだった。
小泉さんは、まともに質問に答えず、議論をはぐらかすと言う点では天才的だ。
サラリーマンだけに対する増税はおこなわないという言い方は、サラリーマンに集中的な負担をかける増税を否定していない。否定しないところに現実味がある。
「大企業に応分の負担を」という志位さんの問に対して、小泉さんは、
「企業が国際社会の中で今以上に経済活動がしやすいように税体系を見直す必要がある」という意味のことを言った。
トヨタの奥田会長(経団連会長)は、大企業に対する法人税の引き下げと社会保障負担をゼロにするよう要求している。この要求と小泉さんの今日の答弁は、あうんの呼吸で連動している。
自民党に投票したら、2006年には大増税が待っている。
選挙で語ったら議席に影響するので、「サラリーマンだけに対する増税はおこないません」といいうのだ。国語をもてあそびながらごまかしているのだ。
「この顔がウソをつく顔ですか」
──過去にそういってウソをついた首相がいた。
政権党が平気で国民をだまし、世論を誘導しようとしている。マスコミがそれに荷担している。
ヒットラーは「ウソも100っぺんつけば本当になる」といったが、現在日本では、一度ウソをついて受け入れられたら、マスコミがそれを100ぺん以上に増幅させてくれる。
マスコミを味方に付ければ、「ウソもいっぺんつけば本当になる」


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出来事NHK

Posted by 東芝 弘明